[レベル: 中級]
Search Console の AI パフォーマンスレポートが一部の日本のサイトにもリリースされています。
AI パフォーマンスレポートは当初は限られた英国のサイトだけに試験的に提供されていました。
その後、英国外のサイトにも導入が始まり、これには日本も含まれていたようです。
ただし、すべてのサイトに対してではなく限定したサイトだけという状況は変わっていません。
AI パフォーマンスレポートからわかること・わからないこと
うちの会社の小丸くんが管理するサイトの 1 つで AI パフォーマンスレポートが使えるようになっていました。
次のデータを出してもらい、Gemini/ChatGPT/Claude にどんな傾向が見られるかを分析させました。
- AI 検索でインプレッションが多い上位の URL
- その URL の検索結果でのインプレッション数
- その URL の検索結果でのクリック数
- その URL の検索結果での CTR
- その URL の検索結果での CTR の高さの順位
あらかじめ断っておくと、たった 1 サイトのかなり限られたデータでの分析です。
信頼性が高いとは決して言えません。
あくまでも、わかる範囲でこういう傾向があったという所感です。
3 つの LLM が共通して指摘したのは次の傾向です。
- AI 露出とクリックの不一致:
AI 表示回数がトップクラスの URL が、通常の検索クリック数順位では大きく沈んでおり、CTR も極端に低いという点が見られた。つまり、AI 表示回数とクリック数は連動していない。AI Overviews などの回答内でユーザーの疑問が完結してしまい、サイトへの遷移が起きていない可能性(ゼロクリック化)が疑われる。
⚠️捕捉あり、後述 - ベンチマークすべき URL:
特に、AI 表示回数が格段に多いのに、CTR・クリック数とも極端に悪い URL は「AI でよく使われるが、クリックは取れない代表例」としてベンチマークとして入念な調査の対象になる。
一方で、AI 検索にも多く表示されつつ、CTR もクリック数も高いという、AI検索と検索全体の両方に強い URL も存在する。こうした URL もベンチマークの対象になる。たとえば、「もっと詳しく読みたい」と思わせるタイトル、スニペット、引用が表示されているのかもしれない。比較・一覧・料金・手順・事例など、クリックを促す要素の存在も考えられる。
ベンチマークすべき URL として 2 パターンを示しましたが、「AI 表示は中位以下だがクリック効率が良い URL」も加えてもいいかもしれません。
AI 占有率と逆相関
「AI表示回数 ÷ 検索表示回数」を算出し、これを AI 占有率(またはAI依存度)と定義すると、CTR との間に明確な逆相関が見られました。
この占有率が高ければ高いほど CTR が低くなっていたのです。
データをさらに深く読み解くうえで、こうした数値化は説得力を増します。
結論:AI パフォーマンスレポートから言えることはほとんどない
「検索パフォーマンスのデータには AI の表示やクリックも合算されている」という前提が非常に重要です。
ゼロクリックとして、AI の回答がクリックを減らした可能性を疑いました。
しかし逆に、「AI 経由のクリックがクリックを押し上げている可能性」も考慮しなければなりません。
加えて、低 CTRは、「AI がクリックを奪った(ゼロクリック化)」のか、「もともとクリックされないクエリだった」のか判別できません。
因果を見るにはクエリ別の時系列比較などが別途必要です。
ですが、クエリデータは現状では提供されません。
Bing ウェブマスターツールの AI パフォーマンスレポートのようにグラウンディングクエリくらいは提供してくれると助かるのですが……
💬GSC の AI パフォーマンスレポートの URL と Bing WMT の AI パフォーマンスレポートの URL を突き合わせて、グラウンディングクエリを推測するという方法も考えられそう。個々のグラウンディングクエリは一致しないとしても、新しく追加されたトピック分析は一致している可能性が高いかも
クエリデータはともかくとして、AI 検索と通常検索の分離は必須です。
検索全体のインプレッションから AI インプレッションを引けば分離できそうに考えるかもしれませんが、AI Overviews とウェブ検索の両方に URL が表示されるケースもあります。
この場合、インプレッションは 1 回としてカウントされます。
どちらがクリックされても、レポート上は区別されずに 1 回のクリックです。
英国 CMA による勧告への対応の逃げ口として、とりあえずこんなもんでいいんじゃね?ということでの AI レポート提供ということでは決してないでしょうが、現状では入手できるデータの種類が極めて限定されており、分析・改善に活かしにくいというのが、AI パフォーマンスレポートに対する僕のファーストインプレッションです。
