Googleのマット・カッツに聞いた、パンダ・アップデート最新情報など from SMX Advanced 2011

SMX Advanced 2011レポートの第一弾は、GoogleのMatt Cutts(マット・カッツ、写真右)氏とSMX代表のDanny Sullivan(ダニー・サリバン、写真左)氏のQ&Aセッションの内容です。

パンダ・アップデートを筆頭に、新たに導入さればかりのrel=”author”タグについてなど、さまざまなQ&Aがありました。

マット・カッツとダニー・サリバン

このQ&Aセッションにプラスして、Matt Cuttsとランチを食べながら僕が直接聞いてきたことも交えてレポートします。

マット・カッツとランチ

では行きます。

パンダ・アップデート関連

スクレイピングサイト(コピーサイト)がオリジナルサイトより上に来ている問題について

認識していて解決のために取り組んでいる。この問題に対処するアルゴリズム変更が承認されたばかりだ。

パンダ・アップデートの更新について

今年いっぱいは更新を続ける。
まもなく次の更新(上のスクレイピング対応)を実行する予定。
2/24にv14/11にv25月初めにv2.1、今後はもっと間隔が狭まるかもしれない。
英語以外の言語への完全な展開がいつのなるかは分からない。
一度実行した変更を元に戻すことはない。
絶えずの更新ではなく、(間隔を空けた)手動での更新になる。多くのコンピュータパワーを消費するため、再計算に時間がかかるから。

↓、出番を待っている子パンダたち(笑)
子供のパンダ

例外サイトについて

例外扱いするサイトを手動で設定することはない。

パンダ・アップデートはユーザビリティを見ているのか

サイトが良いユーザーエクスペリエンスかどうかユーザーが判断するのを真似るようにパンダでは試みている。ユーザービリティはその鍵の1つ。
ユーザービリティを判断する直接のコードは書いていない。しかしユーザビリティを向上させるのは良いこと。たとえばページスピードがランキングに影響しているのは全体の1%足らずだが、最適化するのは良いこと。
(「直帰率とかユーザーの行動を見ているか」との僕からの直接の質問に対して)パンダが見ている具体的な指標については言えない。ただしv2のアップデートでは、ユーザーによるブロックデータをシグナルとして取り入れた。

画像投稿サイトのようにテキストが少ないサイトはどうすべきか

普通は心配いらない。Flickrはテキストがそれほどないが、ユーザーに価値を提供している。

パンダ・アップデートからのリカバリについて

パンダ・アップデートはサイト単位。
本当に良いコンテンツを提供していれば、上位表示を維持できるだろう。

rel=”author”タグ関連

※rel=”author”タグは、コンテンツの作者を示すためにGoogleが導入したばかりの新しい仕組みです。後日このブログで解説します。

Google特有のタグ。Schema.orgの規格でも同じ働きを持つマークアップがあるが、Googleに対してはこちらを先に使うのがいいだろう。もちろん両方使って構わない。

ドメインの間で著作者の評価を受け渡しできればいいと望んでいる。個人のPageRankとも言うべき「Author Rank」になればいい。将来的には、質の高い記事を書く著者のコンテンツを高く評価できるようにしたい。

今のところサポートしているのは同一ドメイン内のみ。rel=”canonical”がそうだったように、使われ方を見て、将来的にはクロスドメインで利用できるようにしたい。

サイトのブロックとGoogle +1関連

※サイトのブロックは、特定のドメインのページを検索結果に表示させないようにするパーソナライズ機能の1つです。Google Chormeの拡張機能Google.comの検索結果ページで利用可能です。
Google +1は気に入った検索結果にマークを付ける機能です。先日ウェブページに設置する+1ボタンが公開されました。

自分のサイトがブロックされているかどうか知る手段は提供していない。
ブロックされたサイトのデータは、パンダ・アップデート2で、確証が持てた場合には利用している。

Google +1のデータはまもなく見られるようになる(別のGoogleの人に尋ねたところ、Googleウェブマスターツールで見られるとのことでした。今はまだ見せるほどの量のデータが集まっていないそうです)。

Facebookのシェアとランキングの相関関係について

※SEOmozの調査データによると、Google上位表示ページとFacebookのシェアの数に非常に高い相関関係が見られました。

完全に無関係。Googleは、Facebookシェアのデータをブロックされていて見れないから使っていない。
相関関係と因果関係は違うことを示すよい例。
シェアが多いということは良いコンテンツということで、良いコンテンツだからリンクが集まるのだろう(結果として上位表示する)。

JCPennyについて

JCPennyは有料リンクの購入が原因でペナルティを受けた米国の大手デパートメントストアです。ようやくペナルティを解除されました。

JCPennyは、.eduドメインからのリンクをたくさん得たからランキングが戻ったわけではない(別のセッションで、JCPennyは復活するために.eduドメインのリンクを200本集めたと説明があったようです)。.eduや .govといいったTLDのリンクで上位表示させることはない。.eduや .govのサイトはリンクが多く集まるから(そこからのリンクが評価されるの)だろう。
JCPennyがペナルティを解除されたのは、有料リンクを取り除いたからだ。

ここからあとは、すべて僕が直接聞いてきたことです。

ページの表示速度のグローバル展開について

※現在、ウェブページの表示速度がランキングアルゴリズムに採用されているのはGoogle.comだけです。

国によってインターネットの回線状況が違うから、慎重に計画している。たとえば中国では回線速度がずっと遅いだろう(米国以外への展開はしばらくなさそうなニュアンスでした)。

site:コマンドでトップページが1位に出てこないことがあるのはなぜか

被リンクの状態によってはそうなることもある。たとえば内部ページにリンクが多く集まっている場合。
問題があるようなら再審査リクエストを送るといい。

再審査リクエストについて

日本語のリクエストは日本語が分かるスタッフがちゃんと見ている(米国にも日本にもいるらしいです)。
言語設定やIPアドレスなどから判断して、日本語のリクエストは日本語を理解するスタッフのもとへ送られる。確実にするには、日本語インターフェイスにしておくといい(これは別のGoogle社員から聞きました)。「&hl=ja」パラメータを付けると日本語にできる。

ウィジェットベイトについて

「ウィジェットベイト」は被リンク獲得に使える手法ですが、悪用するとペナルティを受けます。
※これは僕ではなくランチに同席していた他の参加者の質問への回答です。

「Powered by」のあとにサイト名でリンクするようなのはほぼ問題ない。旅行サイトが「Cheap hotel」(格安ホテル)のように関係するキーワードを混ぜるのは、まあまあ許容範囲だが、リンクの価値を無効化するかもしれない。関係のないキーワードは当然NGだ。
ウィジェットにリンクを設置するのではなく、そのウィジェットの利用者が自発的に製作元のサイトにリンクを張ることが理想的。

日本でのスパム対策について

※去年のPubConで、Matt Cuttsは日本でもスパム対策を強化すると言っていたので状況を尋ねてきました。

対応するチームがよく頑張ってくれている。良くなってきているはずだ(それでもまだスパムサイトを検索結果で見かけるから、引き続き頑張ってほしいとリクエストしてきました)。

最後にMatt Cuttsがよく言う、今回も出てきた名言を紹介しておきます。

Chase after what users are going to love because that is what we (google) are chasing after.

ユーザーが本当に好きなことを追い求めろ、なぜならそれが私たち(Google)が追い求めているものだからだ。

Googleの今のアルゴリズムのみを研究して上位表示達成に力を入れるのではなく、ユーザーを相手にしたコンテンツとサイト作りに注力しろということですね。

ユーザーに焦点を当てたSEOを施策していれば、「SEOオワタ」なんていうピント外れの発言は絶対に出てきません。w