「SSLサイトのランキングを上げたいが現実的には難しい」とGoogleのマット・カッツ

[対象: 上級]

SSL化したサイトの評価を上げたいと個人的には思うが、アルゴリズムとして実際に組み込むことはないだろう。

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GoogleのMatt Cutts氏は、先日開催されたSMX West 2014でこのようにコメントしました。

個人的には優遇したいが現実的には難しい

Matt Cutts氏個人の意見としては、SSLを導入しているサイトをより高く評価し検索順位を上にしたいという気持ちはあり、2014年にそういった状況を見ることができたらいいとは思っているけれど、現状はそのようになっていないし実現するには程遠いだろうとのことです。

問題点としては次のようなものがありそうです。

  • 社内の反対意見
  • SSLを導入したくても導入できないサイトがあるかも
  • サーバー証明書を発行する企業の株価上昇につながりかねない

本当に実現するとなると解決すべき問題がほかにもたくさん出てくるでしょう。

当面は、SSLであるかどうかが検索順位に影響することはなさそうです。

それでもユーザーのプライバシー保護のためにはSSL化を検討したい

何人ものGoogleの社員がサイトの常時SSLを強く押しているので、ランキング要因になる日が来るかもしれないと僕は予想しました。

Matt Cutts氏からこの発言を引き出した、Barry Shwartz(バリー・シュワルツ)氏も同じような予感を抱いたんじゃないでしょうか。

でも、少なくとも今すぐにどうこういうことはなさそうです。

とは言っても、サイトを完全にSSL化することはユーザーのプライバシー保護の観点からは間違いなく推奨できることです。

GoogleのJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏は、Matt Cutts氏の発言に対して次のようにGoogle+でコメントしています。

 

個人的には、Googleからのプッシュがなかったとしても、TLS(SSLは古い呼び方)にウェブサイトを移行することはとても道理にかなっていると思う。

まだ(SSL化を)導入していないなら、自分のサイトにTLSを設定するには何が必要かをよく読んで調べることを強く勧めるし、実践練習として実装してみてもいい。

Googleは、先日、100%完全にGmailをHTTPS接続にしました。
Google自身がユーザーのプライバシー保護に力を入れている証拠です。

SSL優遇の可能性を僕が記事にしたときに、よく記事を読まずに「Googleの評価を上げるためにSSLを導入したほうがいい」と本末転倒な考えに至ってしまった人が少なからずいたようです(僕の書き方に注意が足りないところがあったのかもしれませんが)。

なかには、SSL化のためにサーバー証明書の購入を進めてきた会社もあるようです(これは悪質な業者だと言いたくなります。こういった業者との取り引きは考え直したほうがいいかもしれません)。

SSL化するかしないかを決定する際の最も重要な要因として、SEOを持ち込まないようにしたいものです。

「Matt Cutts氏がランキング要因にすると言ったから、言わなかったから」ではなくユーザーのプライバシーを保護することがあなたのサイト運営にとって重要であれば、常時SSLを真剣に検討してください。

P.S.
HTTPからHTTPSへの移行の実行に際しては、重複コンテンツを発生させないとか、リダイレクトを確実にするとか、パフォーマンスを落とさないようにするとか、SEOの観点から考慮する点はたくさんあります。