[レベル: 上級]
2026 年 9 月ごろから、順位チェックツールの数字が実際の検索結果と合わないという声が増えています。
この記事では、Nozzle、DemandSphere、SISTRIX、Search Engine Roundtable の報告をもとに、要点をまとめます。
Google がボットにニセの検索結果を返している
Nozzle の Derek Perkins 氏によると、Google は 3 つの対策を組み合わせているそうです。
- 住宅用プロキシ網などを狙った広範囲の IP ブロック
- CAPTCHA の増加
- 怪しいアクセスに対して間違ったデータを混ぜた検索結果を返す
Nozzle は 3 つ目を「poisoning(毒入り)」と呼んでいます。
poisoning 検索結果がやっかいなのは、エラーも CAPTCHA も出ず、見た目は普通の検索結果ページだという点です。
ツール側は本物の検索結果だと思ってランキングデータを取得してしまいます。
poisoning はどのくらい起きているのか
Nozzle が約 2,750 万件の検索結果を分析したところ、9 月 13 日以降の 8.0% が poisoning でした。
それ以前は 0.17% です。
ピークの 9 月 27 日から 29 日には全体の約 4 分の 1 に達し、10 月 1 日以降も 1 日あたり 5 から 11% ほどで続いています。
DemandSphere も、自社が取得する検索結果の約 11% に影響が出ていると報告しています。
国や業界、検索の種類によって差があります。
国別ではオーストラリアが 11.5%、米国が 8.5%、英国が 3.0% でした。
業界別では法律関連が最も高く、ピーク時は 51.3% に達しています。
「near(近くの)」系の検索や、検索数の少ないロングテールも影響を受けやすいようです。
毒入り検索結果で起きていること
poisoning 検索結果では、通常のオーガニック結果に残る「いつものサイト」が 20.7% しか表示されていません。
通常は 88.5% です。
空いた枠には Reddit、Facebook、LinkedIn、Instagram、Quora などが入りやすくなります。
AI Overview の表示率も、54.2% から 34.9% に下がります。
その結果、自社サイトが本来 10 位以内にいるキーワードでも、58.6% の poisoning 検索結果でトップ 10 から消えて見えます(通常は 2.7%)。
実際には順位が変わっていないのに、ツール上では急落したように見えるわけです。
多くは数日で元に戻る
poisoning 検索結果の 80% は 1 回の取得だけで終わり、77.9% は 3 日以内に通常の結果に戻ります(中央値は 2 日)。
そのため、9 月下旬に 1 日だけ順位が落ちてすぐ戻ったような動きは、poisoning 検索結果が原因の可能性が高いと Nozzle は説明しています。
たびたびの仕様変更
Google は 2025 年 9 月から 100 件表示のパラメータを廃止し、1 回の検索で最大 10 件しか返さなくなりました。
また、2026 年 6 月ごろからは、検索結果のクリックを /goto という内部 URL 経由にしています。
さらに、100 位まで結果が続かないキーワードも増えました。
こうした度重なる仕様変更により、「100 位以内のキーワード数」のような指標は以前より当てになりません。
ツールの対応はまちまち
SISTRIX は、複数のチェックを通ったデータだけを公開し、通らなかったキーワードは取得し直しています。
9 月からオンデマンド更新も止めたため、更新が遅れるキーワードがあります。
DemandSphere は、影響の割合を確認できる Observability レポートを準備中です。
SE Ranking は、一部のキーワードで順位が欠けたものの、大部分は解消したと発表しました。
もっとも、Google に対策された poisoning 検索結果を認識できずに「問題なし」とツールが判断してしまう可能性もあります(むしろ、大半のツールが誤判断してしまうかもしれない)。
Google の狙いは公式には不明
今回の情報源に、Google 自身の説明は含まれていません。
Nozzle、SISTRIX、(SER の)シュワルツ氏は、狙いは AI ツールによる検索結果の大量収集や SerpApi のスクレイピング(訴訟の棄却)であり、SEO ツールは巻き込まれただけだと見ています。
信頼できるのは Search Console のみ?
多くのサードパーティ製ランキングチェックツールが軒並み Google による検索結果スクレイピング阻止の影響を受けています。
こうなってくると、信頼できるのは Search Console だけということになります。
とはいえ、自動ボットによる検索結果スクレイピングが機能しなくなったことで、Search Console のレポートにも見慣れない変化が発生しているケースがあるようです。
事例を Lily Ray 氏が共有しています。
Interesting: could this be tied to Google's recent anti-scraping measures?
These are 3 queries in GSC with very unnatural patterns – hundreds of thousands/millions of impressions in 12 months with almost 0 clicks.
Impressions stopped showing up in all 3 cases around Sept 21. pic.twitter.com/kHa095f5NY
— Lily Ray 😏 (@lilyraynyc) October 12, 2026
興味深いですね。これは Google の最近のスクレイピング対策と関係しているのでしょうか?
これらは Google Search Console における極めて不自然なパターンを示している 3 つのクエリで、過去 12 か月間で数十万〜数百万回もの表示回数があるにもかかわらず、クリック数はほぼゼロです。
3 つのケースすべてにおいて、9 月 21 日頃を境に表示回数が記録されなくなっています。
インプレッションが非常に多いにもかかわらずまったくクリックされていないクエリは、ツールが偽装した検索によって発生していた可能性が濃厚です。
ツールが機能しなくなったことで、インプレッションも発生しなくなりました。
結果として、特定のクエリでそれまで大量に記録されていたインプレッションが突如としてゼロになったのです。
◇ ◇ ◇
リソースと技術力があるツールベンダーは、遅かれ早かれ対応してくるものと思われます。
そうでないツールベンダーは、ランキングチェックツールのサービス / プロダクトを継続提供できなくなることも予想されます。
自社のサイトに関しては、Search Console で順位取得できても、競合サイトはできません。
ランキングを主要 KPI に据える時代の終わりが近づいているのかもしれません。
