Google、「画像で検索」の識別能力を格段に向上、Knowledge Graphとの連携も

[対象: 中級]

Google画像検索では、「画像で検索」機能といってキーワードではなく画像から検索することができるようになっています。

たとえば、お気に入りのバンドの写真で検索を実行すると、類似の画像、そのバンドのウェブページ、同じ写真が含まれているサイトなどが見つかります。

この「画像で検索」機能の3つの改良をGoogleはアナウンスしました。

  1. 画像識別能力の向上
  2. Knowledge Graphとの連携
  3. 画像に関連する最新のニュース結果

順に説明します。

画像識別能力の向上

下のキャプチャはエベレスト山の画像を「画像で検索」にかけた結果です。

ただ単に「山」に関する検索結果を見せるのではなく「この画像の最良の推測結果」(英語では“Best guess for this image”)として、きちんと「エベレスト山」に絞った結果を返しています。

写真が「エベレスト山」であることを認識できるからこそ可能になります。

日本語には完全に対応していないのか、「エベレスト山」ではなく「この画像の最良の推測結果:mount everest」と英語での検索結果になってますね。

Knowledge Graphとの連携

米Google(google.com)では、検索した画像がKnowledge Graphの情報を持っている場合は、右パネルにKnowledge Graphを表示します。
※Knowledge Graphはこの記事の終わりに補足説明します。

「画像で検索」で表示されたKnowledge Graph

これってかなりすごいことで、「Entity(エンティティ)」を構成する要素として視覚的な要素もGoogleが認識している証拠です。

なお画像検索でのKnowledge Graphは「画像で検索」の結果だけが対象です。
キーワードによる画像検索では表示されません。

画像に関連する最新のニュース結果

「画像で検索」で検索した画像に関連した最新のニュースがある場合は、その結果を返します。

「画像で検索」による最新のニュース結果

キャプチャではいちばん早い結果で10時間前になっていますが、そのニュースが発表されてから数分以内には検索結果に出せるとのことです。

Knowledge Graph

最後に補足で「Knowledge Graph(ナレッジ・グラフ)」について概要を説明します。

Knowledge Graphは、今年の5月半ばにGoogleが導入した新しい検索サービスです。

検索したキーワードに関連する種々の情報を検索結果ページの右パネルにまとめて表示します。

上で見せたMount Everest(エベレスト山)のKnowledge Graphには次のような情報が掲載されていました。

  • エベレスト山の写真
  • エベレスト山の簡単な説明(Wikipediaから引用)
  • 標高: 29,029フィート (8,848 m)
  • 初登頂の年月日: 1953年5月29日
  • 初登頂者: テンジン・ノルゲイ/エドモンド・ヒラリー
  • 山脈: ヒマラヤ山脈
  • K2やキリマンジャロ山などエベレスト山とともに検索されるほかの山の写真

エベレスト山に関するウェブページや写真などのコンテンツのURLではなく、Googleが知っているエベレスト山の一連の情報をKnowledge Graphは検索結果に表示しています。

下はテキサス・レンジャーズ所属の日本人大リーガー、「Darvish(ダルビッシュ)」のKnowledge Graphです。

ダルビッシュのKnowledge Graph

生年月日に所属チームのほか、年俸まで出ています。
配偶者も出ていますが離婚したので「2007〜2012年」となっているのが怖いですね。

下はトム・クルーズ主演のアクション映画、「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」のKnowledge Graphです。

ミッション・インポッシブル 4のKnowledge Graph

ジャケットカバーや公開日、監督、出演俳優、過去のシリースなどが出ています。

このように、人物や動植物、場所、建物など“ものごと”に関連する情報を検索結果にまとめて表示するのがKnowledge Graphです。

Everestや、Darvish、Mission: Impossibleを文字列でなく、それらが持つ意味、言い換えるとエンティティを理解するセマンティック検索に相当します。

セマンティック検索については以前に解説した記事を読み返してください。

Knowledge Graph自体はまだまだよちよち歩きのセマンティック検索で今すぐ検索に大きな影響を与えるものではありません。
ただ今後どのようにGoogleがセマンティック検索を発展させていくかは注目に値することは確かです。
予想もしないような大変革をもたらす可能性を秘めています。

現在はKnowledge Graphは米Googleだけでの提供で他国への展開は未定です。
日本にも導入されたとしたらそのときにまた詳しく解説したいと思います。

【UPDATE】
日本でもナレッジグラフが開始しました。