Google、著者情報プログラムを完全廃止

[対象: 中〜上級]

GoogleのJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏は、著者情報プログラムを完全に廃止したことをGoogle+でアナウンスしました。

この記事では、ミューラー氏の発表やミューラーが直後に開催したオフィスアワー ハングアウトSearch Engine Landの記事などをもとに著者情報廃止に関する状況をまとめます。

著者情報プログラムは完全に終了

3年少し前に導入が始まった著者情報のプログラムは完全に終了しました。

Googleは、検索結果での写真とGoogle+フォロワー数の表示を3か月前に撤廃しました。
これはユーザーインターフェイス上、つまり見た目の変更であり、著者情報プログラム自体がなくなったわけではありません。

しかし今回は著者情報プログラムそのものの廃止です。
このプログラムはもはやGoogleには存在しません。

廃止の理由

著者情報が廃止に至った主な理由は次の3つです。

  • 著者情報があってもなくても検索結果のクリック率にたいした違いがない
    著者情報の表示は検索結果でのクリックを大きく増やすことも減らすこともなかったそうです。
  • ユーザーに支持されなかった
    上のクリック率の上昇が思ったほどでなかったことにも関連します。期待したほどには著者情報はユーザーにとって役に立っていなかったそうです(Googleにとっていちばん大切なのはウェブマスターではなく検索ユーザー)。
  • 普及が進まなかった
    著者情報を実装するサイトが増えませんでした。
    導入時の著者情報は、rel=”author”とrel=”me”のmicroformatsを使う複雑なものでした。その後、rel=authorパラメータやメールアドレスによるヒューリスティック認証など設定を導入し簡単にしてきましたが、普及率は低くとどまっていたそうです。
    また実装していても正しく設定できていないサイトが多かったことも、普及率の低さに響いています。

著者情報の設定は削除すべきか

サイトに設定している著者情報の設定は、削除してもそのままでもどちらでも構いません。
Googleは無視します。

将来的に、別の会社が何らかのプログラムで利用する可能性がひょっとしたらあるかもしれないので、残しておくことに意味がないわけではありませんが、いずれにしても何に対してもGoogleはもはや利用しません。

rel=”publisher”もあわせて廃止か?

著者情報 (rel=”authorship”) の廃止は rel=”publisher” には影響しません。
rel=”publisher” は今後もサポートします。

[鈴木メモ] とはいえ、rel=”publisher”を何かに使ってる様子はまったくといっていいほど伺えませんよね。

構造化データ テスト ツール

著者情報を設定してあるページを構造化データテストツールで検証しても、著者情報はもう表示されません。

[鈴木メモ] 1つ上の rel=”publisher” は正しく設定できていれば「サイトオーナーのマークアップ」として表示されます。

プライベート検索では引き続き写真と名前を表示

プライベート検索(パーソナライズ検索)では、そのGoogle+を投稿したユーザーの名前とプロフィール写真が引き続き表示されます。

プライベート検索で写真が表示されるGoogle+の投稿

著者情報の写真表示をやめたときでも、Google+の投稿には写真が表示されていました。
この仕様に変更はありません。

[鈴木メモ] もっともGoogle+の投稿の写真表示は、厳密には著者情報とは呼べないかもしれません。

オーサーランクへの取り組み

GoogleのMatt Cutts(マット・カッツ)氏は、将来的には、rel=”author”をランキング要因にしたいと言っていました。

「コンテンツの著者が誰であるか」を検索結果を決める1つの指標として組み込みたいという希望です。

SEOの世界では(Googleが使っているわけではない)、「オーサーランク (Author Rank)」という言葉で表現されることもあるランキングシグナルです。

オーサーランクは著者情報と密接に関わっていると考えられてきました。
著者情報を廃止するということは、オーサーランク確立への取り組みも中止になるのでしょうか?

Search Engine Landの追加記事によれば、Googleは、コンテンツ著者の信頼度をランキング要因に組み込むこと、すなわち僕たちの言葉で言うオーサーランクが確立可能かどうかへの模索は続けていくとのことです。

また、著者情報は、ランキング要因にはなってなかったものの、In-depth articlesには利用されていました。

しかし著者情報の廃止は、In-depth articlesには影響を与えないようにするとのことです。

[鈴木メモ] In-depth articlesへの著者情報の利用は、強いシグナルというよりはその記事のクオリティを確かめるような補足的な目的だったのかもしれません。

以上です。

今回の著者情報の廃止を残念に感じている人も多いのではないでしょうか。
僕はそのうちの1人です。

でもすでに決まった(というより実施された)ことなので、とやかくいっても仕方のないことです。

著者情報以外の手段でGoogleが“個”を認識し、その人のオーソリティを測れるようになることを期待します。

ミューラー氏は次のようにもGoogle+の発表で言っていました。

Going forward, we’re strongly committed to continuing and expanding our support of structured markup (such as schema.org). This markup helps all search engines better understand the content and context of pages on the web, and we’ll continue to use it to show rich snippets in search results.

今後の話をすると、schema.orgのような構造化データのサポートを継続し拡大していくことに私たちは熱心に取り組んでいくつもりだ。構造化データのマークアップによってウェブにあるページのコンテンツと状況を検索エンジンはより良く理解できるし、検索結果で表示するリッチスニペットとして使い続ける予定だ。

構造化データなどなくてもモノゴトの意味をGoogleがしっかりと理解できる日がいずれは来そうです。
でもそれは近い将来の話ではないでしょう。
それまでは、セマンティック検索の理解と構造化データの実装により多くの力を注ごうかと僕は考えています。