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Google およびその親会社である Alphabet の CEO である Sundar Pichai(スンダー・ピチャイ)氏が、スタンフォード大学主催のフォーラムで、Google 検索の進化についてインタビューに答えました。
この記事ではハイライトを紹介します。
Google 検索の進化と AI
ピチャイ氏は、Google 検索の進化、とりわけ AI テクノロジーの採用について次のように発言しました。
モバイルが登場したとき、Google 検索は大きく進化しなければならないことを私たちは理解していました。それは「強調スニペット」と呼ばれ、10 年近く前から、Google では AI を使って多くの質問に答えるようになっています。社内ではこれを「ウェブアンサー」と呼んでいます。……私たちは可能な限り常に質問に答えてきました。しかし、情報を探している人のなかには答えが欲しい場合もある一方で、世の中にある豊かで多様な情報も欲しい場合もあると感じていました。このバランスをとることは重要であり、私たちは常にこのバランスをうまく保ってきたと思います。
私にとって、これらはすべて異なる技術によって答えられるようになったという点が今までの状況との違いです。私たちは今後もそれを続けていきますが、この進化は検索において、長い間続いているものです。
私たちはこのようなことを長い間 Google 検索で行ってきました。ユーザーから支持され、高いエンゲージメントがあり、信頼されています。私はこれを自然な継続だと考えています。15年前、ウェブ検索といえば、テキストと 10 本の青いリンクが並ぶだけのものでした。しかし LLM や AI により、それをより強力に実行できるツールができたわけです。Google検索の「Search Generative Experience」で採用されているのはまさにこのアプローチであり、今後もこの方向に進化させていくつもりです。
たとえば、「アメリカの人口は何人?」のような質問には、直接答えを出せる場合があります。また、ウェブ上に存在する幅広い意見を表示させたい場合もあり、これはまさに検索が得意とするところです。要約を表示しているからといって、これらの原則から逸脱しているわけではありません。要約は、依然として幅広い意見へと導いてくれるのです。
Google 検索は以前から AI を活用して質問に答えています。
AI の活用をさらに推し進めていくそうです。
ただし、AI が検索機能を向上させるとはいえ、役立ち、信頼できる情報源であることに重点を置いている点は変わりません。
AI が社会に与える変革
ピチャイ氏は、検索における AI の積極的な採用とともに社会に与える影響についても言及しています。
- 現在のテクノロジーは強力だが、まだ未成熟であり、間違いを起こす可能性がある
- AI が多くの人の生産性を向上させるというシナリオが最も現実的だと考えている
- 新しい仕事が生まれるだろう
- 急速に発展するAIのような技術には、社会に大規模な混乱をもたらす可能性があるという重圧を、私たち全員が感じている
- 今後 5 ~ 10 年の間に、(医療などの分野で)プラスの影響がマイナスを上回ると、楽観的に考えている
ピチャイ氏は、Google 検索を強化するための手段として AI を捉えています。
そうすることで、より優れた要約や直接的な回答、そしてより充実した検索体験を提供できると考えているからです。
しかし、一方でユーザーのニーズこそが最優先であり、明確な回答を提供することと、ウェブ上の多様なコンテンツを探求できるようにすることのバランスが重要であるとも述べています。
正確性と信頼性を維持しつつ、より強力で有益な検索体験を実現することに主眼を置くスタンスに変化はありません。
こちらが、ピチャイ氏のインタビューの動画です。