[レベル: 上級]
米国の SEO コンサルタントである Cyrus Shepherd(サイラス・シェパード)氏が、130 人以上のトップ SEO 専門家を対象に、Google の AI 検索に最も影響を与える要因を調査しました。
通常のウェブ検索のランキング要因についてもシェパード氏は調査し、結果を先日公表していました。
その続編です。
調査結果 概要
AI Overviews や AI Mode といった Google 検索の AI 機能で参照・引用されるために最も重要なのは、「クロールと利用の許可」、「検索意図への合致」、「LLM の事前記憶(ブランド認知)」、「独自かつ検証可能なファクト」でした。
一方で、「llms.txt」や「チャンキング(AI 向けの機械的なテキスト細分化)」といった AI 特化型の局所的なテクニックはほぼ効果がない・不要と評価されています。
全体として、Google AI 検索における露出は従来のオーガニック検索評価やブランドの信頼性と強く連動しています。
AI 検索対策の本質は、小手先の技術ではなく、信頼性の高い独自情報の提供とアクセス性の確保にあることが浮き彫りになりました。
調査方法と注意点
調査方法の概要は次のとおりです。
調査方法
- 対象者:130 人以上のトップクラスの SEO 専門家
- 調査対象:Google の AI 機能(AI Overviews および AI Mode)における引用・表示
- 質問内容:「各要因が、ページや情報源が Google の AI 回答に表示・選定・引用されることにどの程度影響を与えると思うか?」
- 評価手法:
- 定量評価:各要因を「+3(強い好影響)」〜「0(影響なし)」〜「-3(強い悪影響)」の 7 段階スケールで評価し、平均スコアを算出
- 定性評価:各要因に対する自由記述コメントを収集し、専門家の見解や根拠を補足
データを解釈する際の注意点
- 「実証データ」ではなく「専門家の主観・意識調査」である
Google の内部アルゴリズム解析や大規模な A/B テストなどの実証実験結果ではなく、あくまで「現時点で専門家たちがどう認識しているか」という見解の集計です。 - Google AI 自体が発展途上・手探りである
回答した専門家自身からも「Google AI はまだ実験や推測の段階であり、確固たる答えを持っている人はいない」「『分からない』が本音の項目も多い」という指摘が上がっています。 - 情報が急速に陳腐化するリスクがある
「この調査結果はすぐに古びてしまう可能性がある」とコメントされているとおり、Google の AI 検索システムは現在も急速に仕様変更やアップデートが繰り返されています。
調査結果の主要ポイント
調査結果から得られた Google AI 検索に影響する要因は次の 3 つの柱に集約されます。
- 掲載資格を満たす
- AI が使える具体的根拠を提供する
- Google からの信頼を得る
それぞれを説明します。
掲載資格を満たす (Make your content eligible)
- AI のクロール許可とスニペット利用資格が最も重要な条件(+2.20 / 第 1 位)
技術的にページをクロール・インデックスでき、かつ AI 機能でのコンテンツ利用が制限されていないことが最優先される前提条件です。 - ユーザーの検索意図・質問への直接的な回答(+2.15 / 第 2 位)
従来の SEO 同様、ユーザーの疑問を直接解決している記述が AI の引用対象となります。 - オーガニック検索順位およびファンアウトクエリでの上位獲得(+1.89 / +1.91)
Google AI は 1 つの質問に対し内部でクエリ・ファンアウトを展開して RAG を実行します。主クエリだけでなく、派生する関連クエリ群で検索上位に入っていることが、AI 回答への採用率を直接左右します。
AI が利用できる具体的な根拠を提供する (Give Google specific facts it can use)
- 引用しやすい固有の事実 × 独自・一次情報の相乗効果(+2.07 / +1.85)
すでにネット上にある平均的な数字を並べても引用価値はありません。「自社独自の実験・データ・取材・実体験」といった他社が持たない事実こそが、AI エンジンにとって「代替不可能な引用ソース」となります。 - 情報の抽出性(構造)と回答の目立たせ方(+1.69 / +1.65)
見出し・箇条書き・表などを用いて、ページの冒頭近くでダイレクトに回答を提示することが推奨されます。なお、文章を過度に細分化する「チャンキング」は不要との意見が大半でした。
Google からの信頼を獲得する (Make Google trust you)
- LLM のパラメトリックメモリ(事前学習の記憶)の壁(+2.08 / 第 3 位)
検索時のリアルタイム取得以前に、LLM 自体の学習データ内にブランドやエンティティがどう認知されているかが回答バイアスに直結します。これは極めて強力な要因ですが、短期間の施策で動かすのは最も困難とされています。 - ウェブ全体での合意・裏づけおよび発信元の評判(+1.81 / +1.78)
独自データを主張しても、無名なサイトや他サイトと整合性が取れない情報は AI に除外されます。「ウェブ全体で基本的な事実の合意が取れていること」と「ドメイン・発行元の権威性」があって初めて独自情報が採用されます。
優先度の低い要素・過大評価されている手法
一方で、AI 検索には影響しないと考えられる要因も調査結果から判明しました。
- 構造化データ(+0.80):記事全体としては中程度の評価にとどまります。ただし、「商品・EC データ(ショッピンググラフに送られる情報)」に関しては AI ショッピング結果で例外的に強い力を発揮すると指摘されています。
- llms.txt(+0.05):ほぼ効果なしの評価。約 50 万ドメインを調査した複数の研究でもでも「AI ボット自身が能動的にこのファイルを参照しに行くことはない」と判明しており、業界で最も過大評価された施策と断定されています。
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先に触れたように、実証実験結果ではなく、SEO 専門家たちによる経験則や自身での調査に基づく「独自の見解・意見」です。
したがって、「点数が高い項目を行えば必ず掲載される攻略マニュアル」として過信・盲信するのではなく、現時点で優先して取り組むべき仮説や無駄な施策(過大評価されたバズワード)を省くための判断基準として活用するのが適切でしょう。
