CrUXデータが不十分なページのCore Web VitalsをGoogleはどうやって評価するのか?

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Core Web Vitals(コア ウェブ バイタル、以下 CWV)が 2021 年 5 月から ランキング要因に組み込まれます(モバイル検索だけで?)。
実際の Chrome ユーザーのデータ、すなわち Chrome User Experience Report (Chrome ユーザーエクスペリエンス レポート、以下CrUX) が CWV のもとになっています。

ランキング要因としての CWV はページ単位で評価されます。
十分な CrUX が集計できていないページの CWV を Google はどのように評価するのでしょうか?
たとえば、

  • 新規に公開したばかりのページ
  • アクセスがとても少ないページ

こうしたページは、CWV を判断するために十分な CrUX データが集まっていません。
CWV の評価はどうなるのでしょうか?

すでにある CrUX からそのページの CWV を予測

CrUX の集計データが十分に集まっていないときは、サイトのほかのページの CWV をもとにしてそのページの CWV を Google は推測します。

サイト内のページの CLS が全般的に悪ければ、そのページの CLS も悪いだろうと予想して低評価を与えるかもしれません。
共通しているだろうと Google は想定するからです。

推測する場合には粒度をなるべく細かくするようです。
どういうことかというと、類似したページを参照して、そのページの CWV を予想します。

Search Console の「ウェブに関する主な指標」レポートも、類似したページでまとめられています。
そのページのレイアウトやコンテンツ、URL などから Google はページをグループ化しています。

同じような感じで、類似ページの CWV を参考にして CrUX データがないページの CWV を推測するのでしょう。

すでにある CrUX からそのページの CWV を予測することに関しては、Web担当者Forum の連載コラムでも解説したことがあります。

暫定的に CWV を決めておき、CrUX が十分に集まった段階でそのページ固有の CWV を決定することができます(なお CrUX は直近 28 日間の集計値)。

新規ページの品質評価も同様

Google の John Mueller(ジョン・ミューラー)氏によれば、既存のデータから評価を推測するのは CWV に限らないとのことです。
そのほかの指標、たとえば品質評価にも当てはまります。

そのページの情報が十分にないときは、そのサイトに対するこれまでの Google の評価をもとにしてコンテンツ品質を予想します。
公開した直後は上位表示していたのに、数日たつとランキングが大きく下がってしまうなんていうケースは、この推測による暫定評価が理由のことがありえます(このブログで以前に解説しました)。

また、昔話題になった、新規公開したばかりのサイトが最初のうちだけ上位表示できる “Google Honeymoon(グーグル ハネムーン)” や、反対に新規サイトはしばらくの間上位表示できない “Sabdbox(サンドボックス)” も推測という仕様によるものかもしれません。

そのサイトに対する十分な情報が集まるまでは、予想に基づいた評価を Google は割り当てるのです。
時間の経過ととにそのサイトのことをよくわかってくれば、相応の評価を確定できます。

CWV にしても品質にしてもそのほかの指標にしても、一定の量のデータが評価には必要な場合があるということですね。

[H/T] John Mueller