“オーソリティ”を評価する単独の検索アルゴリズムはGoogleには存在しない

[レベル: 上級]

Google がランキングを決定するために使用する検索アルゴリズムに、「Authority(オーソリティ)」という単一の指標はありません。
非常に多くの要素をもとにして、Google は信頼性を評価します。
また、オーソリティはサイト全体としてではなく、ページ単位で判断されます。

検索におけるオーソリティ

検索の世界における“authority”は、日本語では、「権威」や「信頼性」を表す言葉として用いられます。
とはいえ、ぴったり合致した単語が日本語にないので、そのまま「オーソリティ」として使われることも珍しくありません。

Google が最近実施したアウルアップデート公式アナウンス記事では、“authority”という言葉が2回使われています(正確には、“authority”の形容詞である“authoritative”が使われている。“authority”は名詞)。

we’ve improved our evaluation methods and made algorithmic updates to surface more authoritative content.

We’ve adjusted our signals to help surface more authoritative pages and demote low-quality content

※強調は僕による

日本語の翻訳記事では、1つ目の“to surface more authoritative content.”の部分は省略されています。
2つ目は次のように訳されています。

より信頼性の高いページを表示し、低品質のコンテンツのランキングを下げるように、シグナルを再調整しました。

信頼性を測る指標はあるのか?

さて、Google の検索アルゴリズムには、オーソリティ/信頼性を判断する指標が存在するのでしょうか?

PageRank みたいに、Authority Rank のようなランキングシグナルが存在するのでしょうか?
たとえば、「このサイトは Authority Rank が 5」で、「このサイトは Authority Rank が 7」のように数値化されているのでしょうか?

Search Engine Land の Danny Sullivan(ダニー・サリヴァン)氏によれば、オーソリティをそのものを表す指標を Google は使っていないとのことです。

We have no one signal that we’ll say, ‘This is authority.’ We have a whole bunch of things that we hope together help increase the amount of authority in our results

「これがオーソリティだ」と言うような、単一のシグナルは私たち(Google)にはない。検索結果での信頼性(オーソリティ)の度合いが増すのに役立つだろうと私たちが考える、非常に多くの要素がある。

「オーソリティ」を示すズバリそのもののランキングシグナルを Google は持っていないとのことです。
さまざまな要素をもとにして総合的に判断する、「概念的なもの」としてオーソリティをとらえるとよさそうです。

オーソリティを判断するために、どんな要素を具体的に使っているかは明らかにしていません。
リンクだったりコンテンツ品質だったり、トピックによっては新しさ、そういったものがたとえば関係してくるのかもしれませんね(僕の個人的な想像です)。

いずれにしても、「このサイトはオーソリティが高い」、「このページはオーソリティ低い」と単純に計測するような単独の指標を Google が検索に用いていないのは確かなことです。

オーソリティはサイト単位?ページ単位?

オーソリティを単独で示すシグナルが存在しないとしても、信頼性が高い結果を Google は提供しよう努力しています。
オーソリティ/信頼性は、サイト全体で共有されるのでしょうか?
それともページごとに判断されるのでしょうか?

Google によればオーソリティはページ単位で判断されるとのことです。
つまり、「このサイトはオーソリティが高い」という表現は正しいとは言えないようです。
YouTube だから、Twitter だから、すべてのユーザー(=ページ)の信頼性が高いと言うことができないのと同じです。

人気があるサイトの場合は、新規に公開したページでも、比較的簡単に上位表示することを僕たちは知っています。
ドメインパワーが強いからと僕たちは考えてきましたが、必ずしもそういったことではないのかもしれません。
人気があるサイトは、オーソリティが高いページがすでにたくさん存在し、そういったページが新規に公開したページにもプラスに作用(たとえば内部リンクによる PageRank の受け渡し)しているとも考えられます。

サイトの表示速度やマルウェア感染など、サイト全体に及ぶ指標が存在しないわけではありません。
しかし、一般的には、個々のページ単位で Google は評価します。

ペンギンアップデートは以前はサイト全体に影響するアルゴリズムでした。
ですが、コアアルゴリズムに組み込まれた現在のペンギンはページ単位で評価するように改良されたのを覚えている人もいることでしょう。

オーソリティに話を戻すと、そういった単独の指標はないものの、ページ単位でオーソリティは判断されます。

オーソリティを表す単一指標がなくてもやることは同じ

「オーソリティ」というランキングシグナルを Google が使っていないということは、SMX West 2017 の AMA セッション で Gary Illyes(ゲイリー・イリェーシュ)氏もコメントしていましたね。

Q. ページオーソリティ や ドメインオーソリティ というシグナルを Google は持っていないのか?

ランキングのコンセプトとしては持っていない。個々の URL、ドキュメントに対してシグナルを持っている。ほとんどのシグナルはサイトワイドではない。サイトではなく URL を検索結果に出すからだ。

Moz の Open Site Explorer レポートする DA (Domain Authority) のようにドメインの評価を数値化したデータを提供するツールがあります。
ただし、これはあくまでもそのツールの開発元が独自に設計したものであり、Google とは一切関係がないことは認識しておく必要があります(ツールやその数値の有用性を否定するつもりはありません)。

「オーソリティを高めるためにはどうしたらいいのか?」という悩んでいる人もいることでしょう。

しかしながら、Googleには、オーソリティを純粋に測るランキング要因は存在しません。
したがって、オーソリティ度に直接響く要因を分析することに意味はありません。

結局は、正確性があってユーザーの役に立つ、高品質なコンテンツを提供することがオーソリティ・信頼性を高めることに繋がります。
僕たちが目指すべきところは何も変わりませんね。