Google、フェイクニュース対策として“プロジェクト アウル アップデート”を実施

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検索品質の向上を目的として、Google はいくつかの重要な変更を実施しました。

Project Owl(プロジェクト アウル)という名前のプロジェクトのもとに進められたこの変更について、この記事では主要点をまとめます。

なお Project Owl の詳細は公式ブログ記事で発表されています。

また、Project Owl を率いた2人の Google 幹部に Web担当者Forum の安田編集長がインタビューしています。
こちらでは、公式発表では触れられていない、さらに突っ込んだ話を聞けます。

フェイクニュース対策を狙った Project Owl

Project Owl によって Google は次のような変更を実施しました。

  • アルゴリズム改良
  • 評価ガイドラインの改訂
  • オートコンプリートおよび強調スニペットのフィードバックシステム提供

アルゴリズム改良

今回のアルゴリズム改良は、主として“フェイクニュース”対策をターゲットにしています。

フェイクニュース (Fake news) とは、事実に基づいていなかったり、意図的に誤解を誘ったり、攻撃的だったり、差別的だったりする、偽もののニュースのことです。

キーワードの詰め込みや隠しテキスト、低品質コンテンツの量産といった従来のウェブスパムとは性質が異なり、フェイクニュースの検索結果の露出を既存のアルゴリズムでは防ぐことが困難でした。
記事としては見かけ上まったく問題ありません。
むしろ、多くのユーザーを引き寄せる構成になっていることもしばしばです。

問題は、その信用性です。
事実を歪曲していたり、完全なでっち上げだったり、正確性に極めて乏しいのが危険な特徴です。

フェイクニュースが現れる検索は、全体の 0.25% と微々たるものです。
フェイクニュースは今に始まったことではなく、以前からも存在していました。
しかしながら、最近になって フェイクニュースが社会的にも大きな問題になってきたました。
こうした背景を受けて、Google は対策に乗り出したのです。

情報が真実かどうかの“ファクトチェック”は依然として実現していませんが、より信頼性の高いページを表示し、低品質のコンテンツのランキングを下げるようにアルゴリズムを改良したとのことです。

検索品質評価ガイドラインの改訂

フェイクニュース対策のアルゴリズムが想定どおりに機能しているかどうかを判定するために、検索品質評価ガイドラインを改定しました。
評価ガイドラインは、人間の評価者が検索結果の品質を判定するために用いるマニュアルです。

2017年3月版のガイドラインでは、情報の正当性に問題があるウェブページに関わる評価項目を大幅に追加しました。

最新版の検索品質評価ガイドラインの変更点については、Web担当者Forum の連載コラムで解説しました。
詳しくは、そちらを参照してください。

Project Owl のアルゴリズム改良による検索結果の品質を把握するためのデータとして、人間の目による評価を収集します。
そして、さらに改善が必要な部分を特定するために利用します。

オートコンプリートおよび強調スニペットのフィードバックシステム提供

フェイクニュースはオーガニック検索だけではなく、オートコンプリートと強調スニペットにも悪影響を与えています。

オートコンプリートに、好ましくないキーワードの予測候補が出現するとがあります。
強調スニペットに、間違った情報が引用されることがあります。

そこで、ユーザーからのフィードバックシステムを Google は提供しました。

オートコンプリートから「不適切な予測の報告」を送信できるようになりました。

オートコンプリートから「不適切な予測の報告」を送信

不適切だった予測候補のキーワードとともに、その理由を次のなかから選択できます。

  • 差別的
  • 露骨な性表現
  • 暴力的、または危険で有害な行為が含まれている
  • その他

オートコンプリートの不適切な予測の理由

強調スニペットには、フィードバックの機能が以前から備わっていました。

強調スニペットの以前のフィードバック

新しいバージョンでは、「役に立った」以外の項目が修正されました。
フェイクニュース関連の理由に置き換わっています。

強調スニペットの以前のフィードバック

  • 不快な回答です
  • 人種差別的または悪意のある不適切な回答です
  • 下品または露骨な性表現を含む回答です
  • 有害、危険、暴力的な回答です
  • 誤解を招く、または不正確な回答です

オートコンプリートと強調スニペットから送られたフィードバックは、それぞれのアルゴリズム改良に役立てられます。
原則的に、フィードバックが送られたからといって、即座に修正が入ることはありません。
よほど多くのユーザーから同じ報告があったり決定的に問題があったりすれば人為的に修正することはあり得るようですが、基本的には機械による処理に委ねます。

以上が、Project Owl の主要点です。

常日ごろから、信頼性があって品質が高いコンテンツを作ることに注力している僕たちにとっては、良い影響こそあれ悪い影響のない改良ですね。
引き続き、ユーザーファーストのサイト運営にフォーカスしていきましょう!