HTTPからHTTPSへ移行しても目に見えるランキング上昇はないし手動対策の解除にも役立たない

[対象: 上級]

HTTPSで保護されていることをランキング要因の1つにGoogleは組み込みました。

とはいえ、影響力という点ではとても小さなものです。
HTTPSにしたことだけで、目に見えるほどの大きな順位上昇は起こりません。

また、手動対策や低品質コンテンツといった問題を解決する手段にもなりません。

HTTPSだけではランキングは上がらない

GoogleのJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏が、9月26日に開催したウェブマスター オフィスアワーで次のように話しています。

HTTPからHTTPSにただ単に移行するというSEOを目的にしたその変更だけで、目に見える(順位の)変化を期待しない方がいい。HTTPSによるランキングの効果は非常に小さく微々たるものだ。HTTPSにしたからといってランキングの上昇を見られるわけではない。

長い目で見れば、間違いなく(HTTPSへの移行は)良いことだ。ある時点、ひょっとしたら数年後の将来には、今よりも強い要因にするかもしれない。だが今の時点では、そうしたからといって魔法のような優位性というものは得られない。

そうは言うものの、URLを変更するような大きな変更をサイトに加えたときには、何らかの順位変動を短い期間のなかで必ず経験するだろう。だから、(HTTPSに移行した際にも)Googleがすべてを再クロール、再インデックスするときに順位下落のような何らかの変化があるかもしれない。

いずれは元の位置に戻り落ち着くだろう。でも(HTTPだった)以前のときよりも順位が上がるとかそういったことはない。

さらにミューラー氏は続けます。

HTTPからHTTPSへと移行する変更を実行したときには、それが、サイトにある問題を解決する特効薬ではないことを十分に心に留めておいてほしい。むしろ長い目で見て大きな意味があることだと私は思っているし、ユーザーの側からの評価をいつか感じられるかもしれない。

だが短期的には、目に見えるSEO的な優位性はない。本当に小さなランキング要因だ。

 

手動対策や低品質コンテンツの解決にも役立たない

ミューラーのこの発言を記事にしたJennifer Slegg(ジェニファー・スレッグ)氏に対して、ミューラー氏は次のように補足しています。

私たちが見ている問題の1つは、手動対策を受けたりひどい品質の問題を抱えたりしているサイトだ。それらの問題を、ただ単純にHTTPSに移行することで解決しようとしている場合がある。

HTTPSとは関係なく、そうした問題を本当に解決しなければならない。HTTPSに移行することはそうした問題の埋め合わせにはならない。

HTTPSへ完全移行したサイトのレポート記事を僕はいくつか読んできました(Web担当者Forumのコラムで何度かピックアップしています)。
Googleからの検索トラフィックが明らかに増えたとはどれも言っていません。

もともと影響を受ける検索結果は1%とのことでした。
本当に誰も気付かないくらいの小さな影響力なのでしょうね。

また、HTTPSに移行することでマイナス評価を払拭しようと試みるサイト管理者がいるようです。
これはムダな試みだということがはっきりしました。

手動対策にせよ低品質コンテンツにせよ、根本的な問題を解決しければならないということです。

そうはいっても、サイトの完全HTTPS化をGoogleが推奨していることは、先日のGoogle社員の発言からも間違いありません。
長期的には、HTTPS化を視野に入れておきたいところです。

ちなみに、僕がこのサイトで使っているCDNのCloudFlareが、全ユーザーに標準でSSL対応(正確にはFull and Strict SSLモードを提供)することを決めました。
今までは有料ユーザーが対象でした。
僕は年内にHTTPS化しようと考えていたので嬉しいニュースです。