[レベル: 中〜上級]
2023 年 6 月 16 日に Google 渋谷オフィスで開催された Search Central Live Tokyo 2023 に参加しました。
この記事では、このイベントで僕が新たに知ったこと、また知ってはいたけれどあらためて伝えたいことを共有します。
それ以外にも多くの情報がセッションで提供されましたが、このブログで解説したことも多かったので省略します。
参加できなかった方は、Twitter の #SearchCentralLive で擬似体験するといいでしょう。
AI生成コンテンツ
まずは、今いちばんホットな AI に関連する情報です。
AI が書いたか人間が書いたかは Google にとっては重要ではない。重要なのは、コンテンツの品質。ユーザーの役に立つかどうか。
(AI 生成コンテンツであるかどうかを Google は区別するのか?という問いに対して)AI 生成コンテンツであるとラベル付けすることはない。繰り返すが、AI が書いたかどうかではなく、高品質であるかどうかが問題。
コンテンツの本質を評価するので、Google の観点からは AI 生成コンテンツに対して AI 生成コンテンツであることを明記する必要はない。ユーザー視点で必要だと判断したなら、明記すればいい。
AI 生成コンテンツをそのまま公開することは推奨しない。正しい情報だけを AI が書くとは限らない。必ず人間によるレビューを経てから公開するべき。
翻訳コンテンツも同様。その言語とコンテンツテーマに精通している人がレビューしてから公開する。検索セントラルのドキュメントも機械翻訳だが、人間がチェックしてから公開している。
ML(機械学習)をベースにしたアルゴリズムとシグナルは、人間が人間のために書いたコンテンツで学習している。したがって、自然なコンテンツを理解し上位表示する。
((E-E-A-T で重要視される)経験を、実際には体験していないにもかかわらず AI が作り上げてしまったら、Google はどう対処するのか? という問いに対して)どのように対応すべきか内部でディスカッションしている。公開できるポリシーが決まったら公表するだろう。
なお、AI 生成コンテンツに対する Google のスタンスについてはこちらのブログ記事で説明してあります。
Bard
次は、Google の AI チャットである Bard 関連です。
Bard が返した回答の正当性を確かめるために参照先の URL を提示することは非常に良いことだと思う。
ユーザーのフィードバックを参考にして、Bard を改良している。フィードバックは非常に重要。
Grounding(グラウンディング)というプロセスにより、LLM を強化している。Grounding とは抽象的な概念を現実世界のエンティティを結びつけること。Grounding により、単に次の単語を予測したり流暢なテキストを生成したりするだけでなく、精度と理解力の向上が見込める。
Bard はまだ実験フェーズ。本当はもっと性能を上げられるが制限している。あと2 〜 3か月もしくは四半期くらいは実験が続く。新しい、面白い機能が追加されるだろう。
ChatGPT と Bing チャットと比較すると回答の精度が落ちると感じるため、僕は Bard を積極的には使っていません。
ですが、本来の発揮できるはずの性能を抑えているような言い方でした。
今後の改良に期待を持ちたいところです。
SGE
Search Generative Experience (SGE) は、Bard 以上に実験段階であるため、ゲイリーはセッションでは触れようとしませんでした。
個人的にいくつか質問しましたが、UI も含めてどのような変更がなされるかはまったくわからないとのことでした。
SGE からのトラフィックのリファラーや Search Console での扱いもそうだし、正式リリースされたときの SGE は現在のものとは大きく変わる可能性もありえるそうです。
Perspectives
Perspectives は、米 Google のモバイル検索でつい先日導入されたばかりの機能です。
日本でも導入するつもり。時期は未定。名前をどうしようか悩んでいる(そのまま訳して「見解」はしっくりこないし、「パースペクティブ」では何なのかを想起してもらえなさそう)
ウェブ検索では著名サイトのコンテンツが優先される傾向にあるが、Perspectives は個人のクリエイターが作成したコンテンツに焦点を当てている。そのため、フォーラムの投稿だったり動画コンテンツ、ソーシャルの投稿が集まっている。
無名の個人が作成したコンテンツが昨今では検索では上位表示しずらい傾向にあります。
でも、そんな人たちが作成したすばらしいコンテンツにスポットを当てるのが Perspectives の目的とのことでした。
動画、特にショート動画のクリエイターには追い風になりそうな予感がします。
ちなみに、Perspectives を紹介したセッションのスピーカーは、検索/アシスタントのパートナシップマネージャーの内海由紀子さんでした。
実は、内海さんには、サントリーの石川けいさんと FAQ リッチリザルトの一般リリース前の試験運用で 2018 年秋から数か月間にわたってサポートを受けていました。
5 年近く前の話ですが、僕たちのことを覚えてくれていてちょっと嬉しかった😊
ショート動画
もっといろいろなクエリでショート動画枠が出るようにするつもり。
モバイル検索のショート動画枠は日本では年明けに導入されました。
出現するクエリはレシピ系と、ときどきダンス系がほとんとです。
一足先に導入が進んでいた米国ではさまざまなクエリでショート動画が検索結果に出てきます。
日本でも対応するクエリを増やしていくとのことです。
Perspectives もそうですが、より視覚的・直感的な検索結果を Google は推進しています。
この流れは今後も続くでしょう。
Google ニュース
Google ニュースではとりわけ、権威性と(情報の)鮮度が重要視される。
権威性は、基本的にはページ単位で判断している。誰が書いたのかを Google が認識できるように構造化データ (Article) のマークアップを強く推奨する。
ニュースコンテンツを配信しているなら、「誰が書いた記事なのか」を Google に確実に伝えるために構造化データの設定を忘れずに。
ライトニングトーク
最後はおまけです。
ライトニングトークで登壇しました。
タイトルは「AIチャットを検索に使うな!日本人の40%が勘違いしているChatGPTの利用法」です。
話した内容は次のとおりです。
- AIチャットを調べもの目的で使うべきではない
- 理由は、Hallucination(ハルシネーション)を避けられないから
これを(笑える?)事例で説明しました。
プラスして、ChatGPT は英語で使用した方が(日本語よりも)回答の精度が上がるし、ハルシネーションが少なくなることも紹介しました。
LT で使ったスライドを共有しています。
参加された方もされなかった方もよければ参考にしてください。