構造化データの未来をGoogleのエンジニアが語る

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Search Off The Record ポッドキャストのエピソード 35 のトピックは構造化データでした。
Google 検索で構造化データ関連の機能開発を担当しているソフトウェアエンジニアの Ryan Levering(ライアン・レブリング)氏がゲストとして招かれました。
レブリング氏は、構造化データの将来についてポッドキャストのなかで語っています。

中期的な将来: 構造化データでより多くの機能を

中期的な将来の見通しとして、次のような用途で構造化データを利用したいとレブリング氏は考えています。

  • 構造化データを使ったより多くの機能の提供
  • 視覚的な機能だけではなく、ページの理解にも構造化データを利用
  • 多くの機能で構造化データを普遍的に使う

構造化データを使ったより多くの機能がどういったものを指すかまでにはレブリング氏は言及していません。
真っ先に想像できるのは、新しいリッチリザルトや、既存のリッチリザルトの見せ方の改良ですかね。
さらに “クール” な機能のための構造化データの使い方を探しているそうです。

schema.org のすべてのタイプおよびプロパティを Google はサポートしています。
リッチリザルトには使われていないとしてもコンテンツの理解に構造化データは役立ちます。
よって、可能な限り多くマークアップしたほうがいいというのは、以前からの(でもあまり知られていない?)構造化データの効能でした。
コンテンツ理解のための構造化データ利用を Google はさらに推し進めるのかもしれません。

長期的な将来: 構造化データ実装の自動化

内部グラフの解釈に構造化データが本当に重要な役割を果たすだろう。機械学習がさらに関わってくると思う。ページのすべての情報を構造化データで必ずしも伝えるというよりも、構造化データで特定したルートを通してもっと多くのデータを調整していきたい。

長期視点で見た構造化データの将来に関しては、このようにレブリング氏は予想しています。

ちょっと解釈が難しいのですが、単にページを理解するだけではなく、ページに出現するエンティティ同士の結び付き・関係性つまり “グラフ (graph)” を構造化データも利用して構築していこうとしているのではないでしょうか。

さらにレブリング氏は、構造化データの実装方法の変化についても言及しています。

現状では、一般的に、サイト管理者や開発者が自らの意思で能動的に構造化データを実装します。
しかし将来的には、人間が介することなく、CMS やプラグインが必要な構造化データを自動的に実装するのが理想だとレブリング氏は考えています。
ユーザーが意識せずとも、透過的に構造化データができあがっている状況です。

そうした構造化データの実装ツールと協調して働くメカニズムを Google が提供することも重要だとレブリング氏は考えています。

たとえば、構造化データがすでに組み込まれている WordPress のテーマは今でも珍しくありません。
リッチリザルト用のプラグインもたくさん出回っています。
このように、だれでも簡単に、もっと言えばバックグラウンドで勝手に構造化データが実装されている状況がいずれは訪れるだろうというのがレブリング氏の予測です。

構造化データのことをまったく知らないサイト管理者の場合はエラーが出たときに困ってしまうのですが、実装のエラーを最小限に押させるために Google が何らかの仕組みを提供してくれると安心です。
そうした可能性にもレブリング氏は触れています。
構造化データ用の API や新しいツールを期待したいところです。

検索での構造化データの利用がさらに進んでいくことは間違いありません。
構造化データの好き嫌いにかかわらず注視していきましょう。

この記事で紹介したポッドキャスト エピソードはこちらで聴けます。