GoogleのPC検索でもSXGがサポートされる。LCP改善に期待

[レベル: 上級]

Google は、Signed Exchange (SXG)PC 検索でもサポートするようになりました。

これまではモバイル検索だけでのサポートでしたが、予告どおりに PC 検索でもサポートが始まりました。

サイト間のキャッシュ/プリフェッチを PC でも

Chrome や Edge、Vivaldi などの Chromium ベースのブラウザでは、モバイル同様に PC でもサイト間(オリジン間)でのキャッシュ配信とプリフェッチが可能になります。

キャッシュとプリフェッチにより表示速度の向上を期待できます。
Google によれば、SXG によりモバイル検索からのアクセスにおいて平均で 300 〜 400 ミリ秒 LCP を短縮できたそうです。

LCP はコア ウェブ バイタルの指標です。
SXG はコア ウェブ バイタルの改善に役立ちます。

トップニュースで SXG サポート

PC 検索では、トップニュースのコンテンツに SXG が適用されます(そのサイトが SXG を実装していれば)。
モバイル検索では、通常のウェブ検索全体でのサポートでしたが、PC 検索ではトップニュースだけのようです。
📝すずき補足: Chrome Developers ブログのアナウンスには “Top Stories and News”(トップニュースとニュース)でサポートと書かれていますが、純粋なニュース枠は今はないですよね? ニュース系コンテンツの専用ブロックはトップニュース (Top Stories) に掲載されますよね?

今のところは、トップニュースに掲載される記事のサイトだけが PC 検索での SXG サポートの恩恵を享受できます。
適用範囲は限られています。
ウェブ検索全体でも早くサポートしてほしいものです。

ダイナミック SXG

Dynamic SXG(ダイナミック SXG)という新しい技術が導入されました。
ダイナミック SXGは、サーバーサイドでのパーソナライズに利用します。

SXG はキャッシュ配信を利用する技術です。
ユーザーに応じてパーソナライズしたコンテンツをサーバーサイトで生成して配信する環境ではキャッシュ配信は不向きです。
別のユーザー向けにパーソナライズしたキャッシュを配信してしまうかもしれません。
自分向けにパーソナライズしたコンテンツであったとしても、古いものかもしれません。

ダイナミック SXG は、SXG 配信する訪問(ユーザー)と SXG 配信しない訪問を選択できます。
たとえば、Cookie を保持していないユーザー、つまり初訪問のユーザーにだけ SXG 配信できます。

ダイナミック SXG を有効にするには HTTP ヘッダーで Vary: Cookie を送信します。
具体的な実装方法はウェブサーバーの種類によるのでドキュメントを参照してください。

SXG を実装する

SXG をすでに実装しているサイトは何もしなくても PC 検索でも SXG がサポートされます。

これから SXG を新たにサポートする場合はこちらのドキュメントを参照してください。
自分での実装が技術的に難解であれば、CDN サービスの Cloudflare を利用すれば設定を ON にするだけで SXG を導入できます。
📝すずきメモ: このブログは Cloudflare で SXG を実装してます。

Cloudflare での Automatic Signed Exchanges 設定

Cloudflare では、次のようなパフォーマンス改善が SXG サポートにより見られたとのことです。
📝すずき補足: 500 サイトを対象にした実験結果

  • 85% で LCP が改善
  • 98% で TTPB が短縮
  • LCP/TTFB が中央値で 20% 改善

コア ウェブ バイタルの改善に SXG が効果的なことは Cloudflare の実験からも判明しています。

SXG はパフォーマンス改善だけではなく、セキュリティ強化とプライバシー保護の観点でも優れています。
だれでも簡単に実装できるわけではないのが難点ではありますが、注目に値する技術です。