BingはAIチャットと検索の統合を推進、一方でGoogleは?

[レベル: 上級]

Bing は、新しい Bing と呼ぶ AI チャット と検索の統合を推し進めるようです。
一方 Google は、公開準備中の独自 AI チャットである Bard を検索とは切り離し、別のプロダクトとして提供すると思われます。

Bing: 強調スニペットやナレッジパネルと AI チャットを置き換えるかも

Bing は、検索結果の上部に掲載される強調スニペットやナレッジパネルを AI チャットによる回答と置き換えるようです。
さらに言えば、配置を単に入れ替えるだけではなく、UI も新しくなりそうです。

Microsoft の CEO で、Web サービスの責任者を就いている Mikhail Parakhin 氏がそのようにコメントしました。

Bing は現状では、PC 検索結果の場合、ナレッジパネルや強調スニペットなど特別なカードの結果はメインエリアのトップに掲載されます。
AI チャットによる回答は補助的に右エリアに配置されます。

Bing 検索結果

AI チャットの回答がメインになるように UI を変えるというのです。
理由は、古いテクノロジーとクラウドソーシングを利用しているからだそうです。
最新のテクノロジーを利用している AI チャットを最も目立つ場所に配置することを検討しているようです。

このように、AI チャットと検索の融合を Bing はさらに推進していく気配です。

一方で、Google は、AI チャットである Bard を検索とは別のプロダクトとしてユーザーに使わせるようです

CNBC が入手した、Google の内部ミーティングの録音データのなかで、Bard のプロダクト リードである Jack Krawczyk 氏は次のように発言しました。

はっきりと明確にしておきたいのは、Bard は検索ではないということだ

Krawczyk 氏によるこの発言は、社員からの次の趣旨の質問への回答です。

Bard や ChatGPT は大規模言語モデルであり、知識モデルではない。会話形式のテキスト生成には優れているが、テキストが事実に基づいていることを保証することには優れていない。初となる重要なアプリケーション(Bard)が、真実の情報を探す核となる検索になる必要があるのか?

Bard は、人々の想像や探究、好奇心を手助けする実験的な試みであり検索では? という指摘に対する見解として Krawczyk 氏は、まず第一に、Bard は検索ではないと述べたのです。

そのうえで、ユーザーが Bard を検索のように使うだろうことを止められないとも Krawczyk 氏は理解しています。
“view other drafts” というラベルのタブを検索結果に追加し、通常の検索結果とは別の場所で AI チャットの回答を提供することも考えているようです。

ChatGPT にしろ Bing Chat にしろ、情報の信頼性という点では不安が残ります。
検索結果の信頼性をどの検索エンジンよりも重要視している Google としては、Bard を検索の一機能として組み込むことにより、検索結果の品質を落としたくないのかもしれません。

もし Bard が不適切な情報を検索で返せば、「Google なのに」ということで不平、批判はよりいっそう強くなるでしょう。
そして何よりも、不適切な情報により不利益を被るユーザーの数が Bing チャットや ChatGPT よりもはるかに多いのは確実です。

すでに確立されているプロダクトである検索とは切り離し、試験的なプロダクトとしてまずリリースすることで、過度な期待を回避しながら製品としての練度を Google は高めていきたいのだろうと推測します。