AMPページの直帰率の高さやユニークユーザー数は全部ウソ!? AMPアクセス解析には潜在的な問題あり

[レベル: 上級]

amp-analytics を用いた AMP ページのアクセス解析には大きな問題があることを Christian Oliveira(クリスチャン・オリヴェイラ)氏が自身のブログで指摘しました。

具体的には、次のレポートが非常に信頼性に乏しいデータになっています。

  • ユニーク ユーザー
  • セッション
  • 直帰率
  • ページ/セッション
  • 参照元

そもそもの原因はCookie

どんな問題が出てくるかはこの後説明するとして、問題が発生するそもそもの理由は Cookie に起因します。

AMP コンテンツは、その AMP ページを実際にホストしてるドメイン(僕たちのサイト)ではなく、AMP CDN のキャッシュから返されます。
AMP CND サーバーのドメイン名は、cdn.ampproject.org です(現在は、各サイト固有のサブドメインが割り当てられている)。

キャッシュされたAMPページから、本来のドメイン名のサイトでホストしているページへ移動すると、ドメイン名が異なるため アクセス解析に必要な Cookie が引き継がれません。

これは、Google アナリティクスに限ったことではありません。
AMP をサポートするすべてのアクセス解析ツールが影響を受けます。

AMP キャッシュへのアクセスから Cookie が引き継がれないことによって、次に示すような問題が生じます。

AMPのアクセス解析が潜在的に抱える”大”問題

ユニーク ユーザー

Google 検索から AMP ページに着地したユーザーが、AMP ではないページに移動すると別のユーザーとして認識されます。

たとえば、(AMP CDN にキャッシュされた)AMP ページにある内部リンクをタップして、(あなたのドメイン名のサイトでホストされる)別のページに移動したとします。
すると、同じユーザーによる一連のアクセスとしてではなく、新規のユーザーとして認識されます。

状況によっては、同じ1人のユーザーのアクセスが最大4人の異なるユーザーによるアクセスとして記録される可能性があります。

セッション

AMP キャッシュから、通常の AMP ページに内部リンクをたどって移動すると、新たなセッションが始まってしまいます。

実質的にはサイトを離れていないのに、AMP CDN をホストするドメインから非AMP ページをホストしているあなたのドメインに、Cookie を共有することなく移動してしまうからです。

直帰率

セッションが引き継がれないため、最初のセッションのページビューはほぼすべてが1ページになってしまいます。
たとえ、サイト内のほかのページを閲覧したとしてもです。

1ページしか見ないことになるので、結果として、直帰率が跳ね上がります。

ページ/セッション

同じように、セッションが引き継がれないため、1セッションあたりのページビュー数が1ページになってしまいます。

内部リンク経由で、もう1ページ見ても2ページ見たことにはなりません。
2ページ目の閲覧は、新たなセッションのページビューとしてカウントされます。

参照元

Google検索から着地したユーザーが内部リンクをたどって、サイト内の別ページへ移動すると、cdn.ampproject.org からの参照トラフィックとして記録されます。

実際にはオーガニック検索からやってきたのですが、セッションが引き継がれないのでこのようになってしまいます。

cdn.ampproject.orgからの参照トラフィック

これらの問題は、Googleのオーガニック検索からのトラフィックに限ったことではありません。

Google Play ニューススタンドGoogle+Inbox アプリはてなブックマークアプリなど、AMP キャッシュを利用するすべてのプラットフォームが抱える問題です。

対処方法

Simo Ahava(シモ・アハヴァ)氏が解説するやり方に従うと、Google アナリティクスでは対処が可能だとのことです(ただし Safari では機能しないとのこと)。

対処を考えているなら、問題点を詳細に指摘するオリヴェイラ氏のブログ記事もよく読んでください。

なおAMP プロジェクトはこの問題を認識しています。
しかし、根本的な解決は簡単ではないようです。

AMPを導入して、新規ユーザーやユニークユーザーが増えたとかセッションが増加したとかいったAMP成功事例がたくさん出ています。
でもここで紹介した事実を知ると、どこまで本当に信じていいものか疑わしくなってしまいますね。