AMPが広告とGoogleアナリティクスをサポート開始

[レベル: 上級]

AMP (Accelerated Mobile Pages) プロジェクトは、広告解析ツールのサポート状況を公式ブログで説明しました。

徹底的に、高速で見やすいモバイルページを提供することがAMPの目的です。
そのため、コンテンツの閲覧に直接関係がないパーツやロードを遅らせるスクリプトの使用がAMPでは厳しく制限されています。
結果として、広告表示やアクセス解析が不可能でした。

特に、現在のAMPの主要な参加者であるニュースメディアにとっては、広告も解析ツールも使えない状況は非常に困ります。
今後のAMPの普及にも足かせになるでしょう。

しかし発表直後は未サポートだった、AMPページでの広告表示とAMPページのアクセス解析が可能になりつつあります。

AMPでの広告

20以上の広告配信ベンダーと協力し、AMPページの利点を損なわない形での広告配信の準備が整いつつあります。

標準的な形式とフォーマットの広告をAMPページに掲載できます。
配置も自分で決められます。
広告を配信するアドサーバーを選ぶことができ(ネイティブ広告も可)、効果測定ももちろんできます。

実際に現在AMPページには、さまざまな種類の広告が掲載されています。

AMPページに掲載されている広告

AMPの基本原則を損ねないように広告掲載には次の点を考慮します。

  • 高速化 ―― 広告にもAMP同様に高速化が求められる
  • 美しさ ―― 広告が美しく、革新的であることを目指す
  • 安全性 ―― 目障りだったり安全ではなかったりする広告を排除するため、広告クリエイティブはHTTPSで配信される必要がある
  • 協調 ―― AMPの基本的価値として、ウェブ業界全体でAMPの成功に取り組んでいく

アクセス解析をサポート

アクセス解析ツールをAMPでも使えるように、AMP analyticsと呼ぶ専用の仕組みをAMPページは提供しました。

大きなパブリッシャーになると、複数の解析ツールを同時に使うことも珍しくありません。
複数の解析ツールを設置し、さまざまなデータを取得しようとすると、読み込むスクリプトの数や送受信するデータの量が増えます。
結果としてロード時間を遅らせます。

こうした弊害を解消しつつ、アクセス解析が可能な機能をAMPは公開したのです。
AMP analyticsを設定すれば、読み込むスクリプトを1つに抑えたままで、複数の解析ツールを同時に利用できます。

AMP analyticsには2種類あります。

詳細はそれぞれのドキュメントを参照してください。

GoogleアナリティクスがAMP analyticsをサポート開始

Googleは、GoogleアナリティクスがAMP analyticsをサポートしたことをアナウンスしました。

AMPページの利用状況を、おなじみのGoogleアナリティクスで計測できます。

いろいろカスタマイズできますが、最もシンプルな状態での設置方法を説明します。

次のJavaScriptコードを、<head> セクションの中かつAMP JS libraryよりも前に記述します。

<script async custom-element="amp-analytics" src="https://cdn.ampproject.org/v0/amp-analytics-0.1.js"></script>

続いて、次のコードを <body> セクションの中に記述します。

<amp-analytics type="googleanalytics" id="analytics1">
<script type="application/json">
{
  "vars": {
    "account": "UA-XXXXX-Y"
  },
  "triggers": {
    "trackPageview": {
      "on": "visible",
      "request": "pageview"
    }
  }
}
</script>
</amp-analytics>

こちらもJavaScriptに見えますが、JSONです(JSON-LDはここから派生しました)
スクリプトが読み込まれたり動いたりはしません。
単なるテキストです。

解析ツールをいくつ使っても読み込むJSは1つ(最初のコード)に限定されていて、どの解析ツールにどんなデータを送るかをJSONで指定するわけですね。
AMP Analyticsに対応した解析ツールは、どのようにJSONを記述るのかを説明したドキュメントをGoogleアナリティクスのように公開するはずです。

さて、Googleアナリティクス用のコードについて補足します。

「id=”analytics1″」は必須ではありません。
でもデバッグのために id を追加しておくことが推奨されます。
値(ここでは、analytics1)は任意の文字列です。

「UA-XXXXX-Y」は自分のGoogleアナリティクスのプロパティIDに置き換えます。

なお、AMP計測のために別のプロパティを新たに作成することが推奨されています。
既存のプロパティのIDを入れてしまうと、AMPページヘのアクセスと当然統合されて計測されます。
AMPは特殊な形態でのページ配信になるので、分けておいたほうが何かと都合がいいはずです。
逆に一緒にしてしまうと、困ることが出てきそうです。

「trackPageview」は好きな値に変更できます(このままで構いません)。

AMP化した僕のブログで、AMP AnalyticsのGoogleアナリティクスが正常に稼働していることを確認しています。

AMP Analytics対応のGoogleアナリティクスでは、イベントトラッキングやソーシャルインタラクションのトラッキングなど、さまざまカスタマイズが可能です。
詳しくはドキュメントを参照してください。

WordPressのAMPプラグインがバージョンアップ

最後はおまけです。

WordPressをAMP対応にする公式プラグインがバージョンアップしました。
0.1 ⇒ 0.2 です。
まだ正式版ではありません。

それでも0.1からかなり変わってしまって僕のスキルでは自力での修正がかなり困難です。
なのでまだ0.1のままです。
といっても、設定項目はないのでインストールするだけなら見た目には何も違いはありません。
0.1から大きく改善されているそうです。

AMPでの、広告と解析ツールのサポートを待ち望んでいたコンテンツ発行者も多いはずです。
AMP採用のための障害が1つ1つ減っています。