ペンギン4.0の更新から1週間たって判明したこと――ペナルティではなく無効化、ネガティブSEOを防げるか?、ペンギン3.0からのリカバリなど

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約2年ぶりにペンギンアップデートが更新されてから1週間がたちました。

先週、米ニューヨークで参加したSMX West 2016には、GoogleのGary Illyes(ゲイリー・イリェーシュ)氏は姿を見せませんでした。

しかし、ゲイリーから情報を巧みに引き出している、Search Engine RoundtableBarry Schwartz(バリー・シュワルツ)氏とペンギン分析の第一人者とも言える、G-Squared InteractiveGlenn Gabe(グレン・ゲイブ)氏と話をすることができました。

この2人から聞いたことも交えならが、最新のペンギンについてわかってきたことをこの記事でまとめます。

なお、更新が実施されたペンギンアルゴリズムのことを「ペンギン4.0」と表記します。
3回目の大きな更新となるので、SEOの世界ではこのように呼ばれています。

ペンギン 4.0

ペナルティではなく無視

ペンギン4.0は、不正なリンクを集めているサイトの順位を下げるのではなく、不正なリンクを単純に無効化するように設計されているようです。
Facebookで、ゲイリーはバリーに次のように説明しました。

Traditionally, webspam algorithms demoted whole sites. With this one we managed to devalue spam instead of demoting…

従来、ウェブスパム対策のアルゴリズムはサイト全体の順位を下げていた。今回(のペンギン4.0で)は、順位を下げる代わりにスパムの価値をなくすようにした。

“demote” は「降格させる、格下げする」という意味です。
ここでは、「検索順位を下げる」と解釈していいでしょう。

一方、”devalue”は「価値を低くする、低く評価する」という意味です。
ここでは、「無視する」と置き換えてかまわないでしょう。

つまり、これまでのペンギンアルゴリズムは、スパム的なリンクを集めているサイト(全体)のランキングを下げていました。
度合いによっては検索順位が非常に大きく下落したので、僕たちにとっては、まさしく「ペナルティ」です。

ところが、ペンギン4.0では様相が変わりました。

不正なリンクだと認識した場合は、単に無視し評価の対象に含めません。
プラスにもなりませんが、マイナスになることもありません。
無価値にするだけです。
あたかもnofollowリンクであるかのように扱ってしまうと考えれば、よりわかりやすいでしょうか。

ネガティブSEO対策になるか?

大量のスパムリンクを競合サイトに浴びせて、順位を下げるという、いわゆる「ネガティブSEO」と呼ばれる手法があります。
ネガティブSEOを上手に防げているとGoogleは何度も発言していますが、ネガティブSEOが効いているとしか思えない事例が存在することも事実です。

ペンギン4.0からは、不正なリンクで順位が下がることがなくなりました。
これにより、ネガティブSEOを目的としたスパムリンクの集中砲火が機能しなくなることが期待できます。

第三者が張ったものであったとしても、評価の対象から外れるからです。
無害化されます。

グレンは、「ネガティブSEOがなくなるぜ!」と興奮気味に話していました。
スパムリンクによるネガティブSEOが本当になくなったとしたら、嬉しいことですね。

ペンギン対応のためのリンク否認が不要に?

物理的に除去できない不正リンクは、リンクの否認ツールで無効にできます。
しかしすでに説明したように、ペンギンはそれ自身で不正リンクを無効化します。

したがって、ペンギンに限って言えば、リンクの否認ツールの使用は不要ということになります。

とはいえ、リンク否認のデータを利用するアルゴリズムがペンギン以外にもあるようです。
それに、手動対策解除のための再審査にはリンクの否認ツールの情報が今までどおり考慮されます。
また、不正なリンクを100%完全にペンギン4.0が検出できる保証はありません。

ゆえに、リンクの否認ツールを使う必要がまったくなくなったということでもありません。

そうはいっても、ペンギン対応においてはリンクの否認ツールの重要性は以前と比べるとかなり薄れたと言えそうです。

複数パートの分けて、アナウンス前から展開が始まっていた

ペンギン4.0の実施が公式ブログでアナウンスされたのは、9月23日でした(英語版日本語版も)。

しかしこのアナウンスよりも前から更新は始まっていたようです。
しかもいつくかのパートに分けて展開されたようです。

日本語のアナウンスでは次のように書かれています。

Penguin アルゴリズムのアップデートをすべての言語で実施します

対して、オリジナルとなる英語のアナウンスでは次のように書かれています。

we are now rolling out an update to the Penguin algorithm in all languages.

日本語だと、「これから実施を始める」という未来ような感じがしますが、英語では「すでに開始しています」というよう現在進行形にも解釈できます。

事実、ゲイリーによれば、最も気付きやすいパート(変化がいちばん目立つ部分)の実施から数時間後、そして最後のパートの実施を開始したときにアナウンスを発表したそうです。

ペンギン4.0は、騒ぎになるほどの大変動を起こしたかと言えば、そうではありませんでした。
いくつかのパートに分かれて展開していたため、特定の瞬間での大きな順位変動が観測されなかったのかもしれません。

またアナウンスが出る1週間ほど前から、比較的大きな順位変動が観測されていました。
ひょっとしたら、この動きもペンギン4.0によるものだった可能性もあります(複数のアルゴリズム更新をGoogleは絶えず実行しているので確かめるすべはなさそうですが)。

ペンギン3.0からのリカバリのパートも実行済み

ペンギン4.0のアルゴリズム更新には、以前のペンギンによって順位を下げたサイトを回復させるパートも含まれているようです。

ペンギン3.0で受けたペナルティは解除されるか?

こういう趣旨の質問にゲイリーは次のように答えています。

ブログやツイッターで言っているようにペンギン4.0はすでに実施している。そのパート(ペンギン3.0を解除するパート)が終了するまでには、もう2、3日かかるだろう。

9月29日の会話なので、もう完了しているのではないでしょうか。
以前のペンギンによってペナルティを受けて順位が下がっていたとしても、そろそろ回復の兆候が現れている頃かもしれません。

ただし、ペンギン4.0は、ページが再クロール、再インデックスされてから反映されます。
ページ数が多いサイトでは、変化が目に見えるようになるまでにまだ時間がかかることも予想されます。

また、ペンギン3.0でペナルティを受けて以来スパムリンクを適切に撤去できていなかったり、まともなリンクを十分に増やせていなかったりしたら、期待するほどの回復は見込めない可能性もあります。

以上です。

ペンギンアップデートに左右されるようなサイトを運営していなければ、無関係な話であることに変わりはありませんね。
とはいえペンギン4.0は注目トピックではあるので、新しい情報が入ったら随時このブログでお伝えします。