構造化データのガイドラインをGoogleが更新 ― JSON-LD押し、schema.orgはナレッジグラフ向け?

[レベル: 上級]

ナレッジグラフでのソーシャルプロフィール リンクの表示機能の提供や新しい構造化データテストツールの公開と同時に、構造化データに関するガイドラインをGoogleは更新しました(今のところ英語だけでの提供)。

ひととおり目を通して僕が個人的に気になったことをこの記事では書きます。

JSON-LDをプッシュ

schema.orgのシンタックスとして次の3つをGoogleはサポートしています。

  • Microdata
  • RDFa (RDFa Lite)
  • JSON-LD

新しいドキュメントでは、この3つのシンタックスのなかからJSON-LDの利用を推奨しています。

まずコードのサンプルがほぼすべてJSON-LDを使ったものです。
JSON-LDに加えて、Microdataも使った例がごく一部にあるだけです

ナレッジグラフに表示するイベント講演者の説明ページでは次のように説明しています。

The following examples show how to mark up concert event information. All examples are shown in JSON-LD syntax, which we recommend. Alternatively, you can mark up your events in microdata or RDFa syntax if you prefer.

コンサートイベントの情報をマークアップする方法を以下に説明します。すべての例は、私たちが推奨するJSON-LDのシンタックスで表現しています。そのほうがよければ、代わりにMicrodataやRDFaのシンタックスでイベントをマークアップすることもできます。

※強調は僕による

schema.orgの概要を説明したページには次のように書いてあります。

Google is in the process of adding JSON-LD support to more markup-powered features. So far, JSON-LD is supported for all Knowledge Graph features, sitelink search boxes, and Event Rich Snippets; Google recommends the use of JSON-LD for those features.

構造化データのマークアップで実装できる、さらに多くの機能に対してJSON-LDのサポートをGoogleは追加している過程です。今のところ、ナレッジグラフのすべての機能とサイトリンク検索ボックス、イベントのリッチスニペットでJSON-LDをサポートしています。これらの機能に対してはJSON-LDの利用をGoogleは推奨します。

「不都合がない限りは、JSON-LDを使いなさい」と言っているように僕には受け止められます。

「すべてをJSON-LDで」ということでもない

しかしながら、すべての構造化データにおいてJSON-LDを使ったほうがいいということでもありません。
JSON-LDを推奨しつつも、次のように続けます。

For the remaining Rich Snippets types and breadcrumbs, Google recommends the use of microdata or RDFa.

(イベントを除いた)残りのリッチスニペットとパンくずリスト表示に対しては、MicrodataまたはRDFaの利用をGoogleは推奨します。

リッチスニペット系は依然としてMicrodataかRDFaでマークアップする必要があります。
事実、リッチスニペットの説明ページにはJSON-LDを用いた例はなく、すべてMicrodataとRDFaで書かれています。

JSON-LDを使える構造化データの種類を増やしているとGoogleは言ってはいますが、リッチスニペットにも対応させるかどうかはわかりません。

構造化データはナレッジグラフの拡張に使われ、大手企業向け?

Googleは、目に見える形では、構造化データを次の2つの用途で利用しています。

  • 検索結果の表現を豊かにする
  • ナレッジグラフを拡張する

1つ目の「検索結果の表現を豊かにする」機能には次が該当します。

  • レビューやレシピ、商品情報などのリッチスニペット
  • 検索結果でのパンくずリスト表示
  • サイトリンク検索ボックス(このブログでの解説

2つ目のナレッジグラフの拡張は次のとおりです。

  • 組織のロゴ(このブログでの解説
  • 企業の電話番号や店舗の情報(このブログでの解説
  • ソーシャルプロフィールへのリンク(このブログでの解説
  • イベントのスケジュール(Web担での解説
  • イベントの開催場所
  • イベントのチケット販売情報
  • アプリでの音楽再生
  • アプリでの動画再生
  • レビューの表示

気付くと、schema.orgで実装できるナレッジグラフの拡張機能がこんなにたくさん増えています。
この流れは今後も続くに違いありません。

ナレッジグラフとして表示されるのは、一般的に大手企業や名のとおった店舗や組織団体、有名人です。
中小企業や街なかのお店、普通の人に対してナレッジグラフが出ることはありません。

こう考えると、リッチスニペットとは異なり、構造化データの恩恵を実感できるのは大企業や著名人などウィキペディアに掲載されるようなエンティティに限られます。

大多数のウェブサイトにとっては構造化データを実装することの“うま味”が見当たりませんね(構造化データの情報は目に見えないところでも利用されていて、むしろそちらのほうがGoogleにとっては利用価値は高いのだろうけれど、どこでどう使われれいるかが目に見えないことに進んで労力をかけようとする人は少ないでしょう)。

schema.orgのパンくずリスト対応は最終段階

最後に、schema.orgのパンくずリスト対応について触れます。

schema.orgによるパンくずリストのマークアップへの対応が仕上げの段階に入っているようです。
現状ではGoogleは未対応です。

検索結果におけるパンくずリスト表示を説明するページに次の注釈が冒頭にあります。

This article describes an older format. Schema.org markup for breadcrumbs is being finalized and will be preferred when ready.

この記事は古いフォーマットで記述されています。パンくずリストのschema.orgのマークアップは最終段階で、利用可能になったときはschema.orgの方が推奨フォーマットになります。

schema.orgがv1.92へ更新したときに、パンくずリストのサポートが近そうだと予測しましたが正しかったようです。

検索の世界ではschema.orgがスタンダードになっているのだから、パンくずリストにもschema.orgを使いたいですよね。
もうすぐです。