ドメインオーソリティに似ていなくもない指標をGoogleは持っている。サブドメイン vs. サブディレクトリは「サイト」の区分けに依存する

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2018 年 10 月に英ロンドンで開催された SearchLove London 2018 で Google の John Mueller(ジョン・ミューラー)との Q&A セッションがありました。
司会者の Will Critchlow(ウィル・クリッチロウ)氏が、ハイライトをブログに公開しています。

そのなかから、SEO 業界で議論が尽きない「ドメインオーソリティ」と「サブドメイン vs. サブディレクトリ」に対する Google の見解を紹介します。

Will Critchlow and John Mueller at SearchLove London 2018

Googleは ドメインのオーソリティを見ているのか?

SEO 界隈でしばしば用いられる「ドメイン オーソリティ (Domain Authority)」というランキングシグナルに関して、ミューラー氏は次のように説明したとのことです。

  • Google はドメインレベルの指標を確かに見ている(ただし、それは MOZ の Link Explorer が算出する Domain Authority とはまったく関係ない)
  • 既存のドメインに追加されたコンテンツは、そのドメインが持つある種の指標を初期段階で引き継ぐ
  • この指標はリンク(だけ)で決まるものではなく、全体的な信頼性をつかむためのもの

「Authority(オーソリティ)」と呼ぶ度合いを測るランキングアルゴリズムを Google が持っていないことは Google の口から以前にも説明されていました。
ページオーソリティという指標もドメインオーソリティという指標も Google にはありません。

原則的に、ランキングはページ単位で決定されます。

しかしドメイン単位でまったく何も見ていないかと言うと、そういうことでもないのです。

そのドメインの信頼性、信用性を知るための指標は持っているようです。
この指標は、特に新しいコンテンツを評価する際の手がかりになります。

コンテンツが新規に公開された場合、そのコンテンツの質を評価するのにドメインが影響することがあるのです。

過去の長い期間に渡って高品質なコンテンツを公開し続けてきたサイトと今日公開されたばかりの新規サイトに、同じようなコンテンツが投稿された場合、どちらを評価しやすいかといったら前者でしょう。
そのサイトが高品質なコンテンツを継続的に提供してきたことを Google は十分に知っているからです。
一方で、後者のサイトのことを Google まだ何も知りません。

信頼性・信用性と表現するよりも、「実績」と言ったほうがわかりやすいかもしれません。

既存のサイトに公開された新しいコンテンツの評価と公開されたばかりの登場したてのサイトの新しいコンテンツの評価に検索結果で差が出てくることがあるのは、そのサイトに対する信頼を Google が十分に確立しているかしていないかに起因するからだという情報は、ミューラー氏から以前にも提供されています。

ゲイリーからもまったく同じことを直接聞いたことがあります。

しかしながら、時間の経過とともにそのサイトのことを Google がわかってくれば、ページそのものでの評価が可能になってきます。
最初の段階での暫定的な評価のために、ドメインの信頼性が考慮されることがあるようなのです。

サブドメイン vs. サブディレクトリ

サブドメインとサブディレクトリの違いについては、おそらく今まで知られていなかったであろう、興味深い事実をミューラー氏は明らかにしました。

  • Google は「サイト」という概念を持っている
  • サブドメイン(あるいは、サブディレクトリ)で区切られた部分は、状況によっては別のサイトとして認識されることがある
  • 別サイトとして Google に認識されていたサブドメインをサブディレクトリに移行した場合、別々だったサイトが 1 つのサイトとして認識されるようになり検索結果での状態がよくなることがありうる

信頼性(≒実績)を知るためにドメインレベルで見ることもあると、先に説明しました。

「ドメイン」の認識に関連して、「サイト」という区切りを Google は持っているというのです。
この区切り方は、一律ではないようなのです。

www.example.com とサブドメインの blog.exmample.com が別々のサイトとして認識されることがあります。
それぞれが独立したサイトなので信頼性(やそのほかのシグナル)は共有されません。

ときには、www.example.com と サブディレクトリの www.example.com/blog が別々のサイトとして認識されることすらあります(一般的には、サブディレクトリは同じサイトになるはずですが、ユーザーごとにサブディレクトリで分かれているアメブロやライブドアブログは、個々のブログは独立したサイトとして Google に見られているでしょうね)。

別々のサイトとして Google に認識されていたサブドメインの “サイト” (blog.exmaple.com) を、サブディレクトリ (www.example.com/blog) に移行したとします。
すると、本ドメイン (www.example.com) の “サイト” が持つ信頼性(やそのほかのシグナル)が共有されるので、検索結果での状況が向上することがあります。
そのため、「サブドメインよりもサブディレクトリが強い」という事実が多く発生するのかもしれません。

Google は、サブドメインとサブディレクトリに優劣をつけていません。
Matt Cutts 時代から、John Mueller 時代に至るまで何度も繰り返し説明してきています。

サブドメインかサブディレクトリかが直接影響するのではなく、同じ “サイト” として認識されるかどうかが、サブドメインとサブディレクトリの差異を生む原因の1つになっていると思われます。

以上です。

まだしっくりこないという人もなかにはいるかもしれません。
それでも、僕はかなり腑に落ちました。
ミューラー氏による、ドメインオーソリティとサブドメイン vs. サブディレクトリの説明をあなたはどのように解釈したでしょうか?