Google モバイルファーストインデックス導入はまだ数か月先、”クオリティ ニュートラル”を目指すため #SMX West 2017

[レベル: 中級]

米サンノゼで先週開催された SMX West 2017参加してきました。
このカンファレンスで、Google の Gary Illyes(ゲイリー・イリェーシュ)氏が モバイル ファースト インデックス(以下、MFI)の導入時期について言及しました。

この記事では、ゲイリーから僕が直接聞いた情報も加えてその内容をレポートします。

Gary Illyes talking at SMX West 2017

導入はまだ数か月先

MFI の導入を Google が正式に発表したのは昨年10月でした。
この時点では導入日は未定でした。
約5か月が経過し、せめてある程度の見込みくらいはたっているのでしょうか?

答えは「No」のようです。

ゲイリーによれば、今でもテストは続いており、具体的にいつの導入になるかは依然として決まっていないとのことです。

少なくとも数週間後ということは絶対になく、まだ数か月はかかると思われます。
ゲイリーと話した感じでは、本当に目処もたっていないような印象を僕は受けました。
来年にずれ込むという可能性も、ひょっとしたらゼロではないかもしれません。

クオリティ ニュートラルを目指す

テストに時間がかかっている理由の1つは、MFI を適用した状態だと思うような検索結果ができあがってこないことです。

MFI 導入に際しては“quality neutral”(クオリティ ニュートラル)を目指すとゲイリーは発言しました。

“quality neutral”とは、PC ページをインデックスしている現在の状況と変わることなく、検索結果の品質を同じ状態に保つという意味です。
ようは MFI の影響で、大きな順位変動を検索結果に起さないことを Google は大前提にしています。

Inhouse SEO Meetup で、長山さんが同じことを言っていたのを覚えている人もいることでしょう。

ウェブマスターを困らせるような大きな影響が出ないようにするために、ゆっくり進めていくことが大切だと考えている。

Googleにとっては、MFIは非常に大がかりな(インフラの)変更。
想定していなかった問題が起きることもある。
影響を最小限に抑えるためにも慎重に進めていきたい。

クオリティ ニュートラルが難しい理由

目指しているようなクオリティ ニュートラルにはまだ至っていないと、ゲイリーは僕に話してくれました。
クオリティ ニュートラルを Google が容易には確立できない理由には、たとえばモバイル版ページの「リンク」や「コンテンツ」が少ないことが挙げられます。

scacer content and links

モバイル版ページへのリンクは少ない

リンクの大多数は PC 版ページに向けて張られるはずです。
1つのまとまりとして処理されるのに、対応するモバイル版ページの URL に向けて張られているリンクの数はずっと減ります。
モバイル版ページへの外部リンクが0本というケースはぜんぜん珍しくないでしょう。

モバイル版ページをインデックスしつつも、PC 版ページに張られたリンクをきちんと評価に含めることができればいいのですが、僕たちが思うほどには簡単なことではないようです。

PC 版ページへのリンクを正しく評価できないと、ペンギンアルゴリズムの適用にも問題が出てきます。

先ほども言ったように、モバイル版ページに張られるリンクは PC 版ページに張られるリンクよりもずっとずっと少なくなります。
ということは、ペンギン(とそのほかの)スパムリンクを検出するアルゴリズムが、今ほどには上手に機能しなくなるということを意味します。
そもそもの対象にするリンクがなくなってしまうからです。

減らされたコンテンツ

コンテンツがモバイル版ページで省略されることも同様に、クオリティ ニュートラルの実現を難しくさせています。

PC 版ページとモバイル版ページのコンテンツの差異が、ランキングに影響する可能性があることは MFI 導入の発表当初から取り上げられていました。

世の中のすべてのサイトがレスポンシブ ウェブ デザインでできていれば、こんな問題は発生しなかったことでしょう。
レスポンシブでは、基本的に PC と モバイル は URL は同じだし、コンテンツも同じです。
しかし現実はそうではありません。

「動的な配信」や「別々の URL」もサポートしている以上は、MFI 環境でも、今までと同じように Google は評価する必要があります(本音では、「みんな RWD にしてくれ」と Google は望んでいるかもしれませんけどね)。

モバイル版ページをインデックス対象に切り替えると、クオリティ ニュートラル を確保することが難しくなる理由がほかにも多くありそうです。

MFI に対応するために何らかの修正をウェブマスターに強いることは避けたいとしながらも、モバイル版ページに構造化データを設定することや hreflang の追加設定など、手間がかかる作業が発生することがすでに明らかです。

クオリティ ニュートラルに自信が持てて初めて、Google は MFI を導入します。
そして、それはまだしばらくは先の話のようです。
必要な情報を  Google はアナウンスするので慌てずに状況を見守りましょう。

“Do not freak out.”(怯えないように、パニックにならないように)と何度も何度もゲイリーが繰り返していたことも付け加えておきます。

Do not freak out.