[レベル: 中〜上級]
今日もSMX East 2016のセッションレポートをお届けします。
強調スニペット、アイトラッキングに続く、今回のテーマは音声検索です。
セッションスピーカーは、The SEM PostのJennifer Slegg氏です。
音声検索が急増するなか、どのようにSEOは対応していくべきなのでしょうか?


音声検索を無視できない理由
どうして、マーケッターは音声検索を気にしなければならないのか?
音声検索利用の増加
Googleのゲイリー・イリェーシュ氏によれば、
モバイル検索のクエリの20%以上が音声検索。この数字は増え続けている。
[鈴木メモ: 詳細は、こちらの記事を参照]
昨年、音声検索の数字が前の年よりも2倍に増えた。
- 米国の10代の半分以上、大人の41%が音声検索を毎日使っている
[鈴木メモ: 詳細は、こちらの記事を参照] - アクション系の音声コマンドは文字入力クエリの30倍多い
[鈴木メモ: 詳細は、こちらの記事を参照] 
音声検索はモバイルだけではなく、PCでも使われるようになっている。
また、AmazonのEcho(エコー)やGoogleのGoogle Homeなどのホームデバイスでも使われる。
ユーザーは音声検索で何を探しているのか?
次のような目的でユーザーは音声検索を利用している。
- ローカル情報: 22%
 - 娯楽・エンターテイメント: 21%
 - 一般的な情報: 30%
 - パーソナルアシスタント: 27%
 
強調スニペット
強調スニペットはテキスト検索よりも音声検索のほうが出やすい。
- 音声検索: 43.3%
 - テキスト検索: 40.6%
 
さらに重要なことに、音声検索ではGoogleは、「◯◯によれば」などで始まる音声で強調スニペットを読み上げる。
音声検索でブランド認知を強めることができる。
例: 「EUとは」の音声検索では、「ウィキペディアでは……」と音声で回答する。

強調スニペットは大手サイトだけではなく小さなサイトでも出る。
例: 「海外SEOでは……」と読み上げる。

RankBrain
RankBrainは、今までになかった15%クエリに影響する。
会話形のクエリにも強い。
音声検索は、会話形になる傾向が強い。
音声検索がコンテンツ戦略に与える影響
ここまでで、音声検索が重要なことはわかった。
では音声検索はコンテンツ戦略にどのように影響を与えるのだろうか?
ロングテール
タイプするよりもたくさん話すことができるから、音声検索はクエリがテキスト検索よりも長くなる。
会話形検索の語数は、
- 音声検索: 平均4.2語
 - テキスト検索: 平均3.2語
[鈴木メモ: 英語の場合] 
この数字は何を意味するか?
- 音声検索は競合が少ないクエリが多い
 - 検索ボリュームが少ない
 - 意図が明確
 
つまり、ロングテールキーワードは検索数は少ないが、よりコンバージョンする傾向にある。
ツールを使うと音声検索で使われそうなロングテールをまだまだたくさん見つけることができる。
[鈴木メモ: 例に挙げたツールはSEMRush]
音声検索で多く聞かれる質問に答えることができているか?
次で始まる音声検索のクエリが61%増えている。
- Who
 - What
 - Where
 - How
 
音声検索のほぼ10%が次で始まる。
- Who
 - What
 - When
 - Where
 - Why
 - How
 
一方テキスト検索ではたったの3.7%。
Howで始まるクエリは、音声検索全体の3.6%。
Whatで始まるクエリは、音声検索全体の3.5%。
これらのクエリ(How、Whatなど)は強調スニペットが出やすい。
したがって、ブランド認知を強めるチャンスにもなる。
例: Latte(ラテ)が含まれる音声検索の例
- how to make chai tea latte(チャイティーラテの作り方)
 - how to meka latte art(ラテアートの作り方)
 - how to make latte(ラテの作り方)
 - how to make latte at home(家でのラテの作り方)
 - how to make chai latte(チャイラテの作り方)
 - how to make green tea latte(グリーンティーラテの作り方)
 - what is in a latte(ラテには何が入っているのか)
 - what is a chai tea latte(チャイティーラテとは)
 - what is the difference between a latte and a cappuccino(ラテとカプチーノの違い)
 - wha is a cafe latte(カフェラテとは)
 - what is in a chai tea latte(チャイティーラテには何が入っているのか)
 - what is a latte macchiato(ラテマキアートとは)
etc. 
こうした音声検索で使われそうなクエリはソーシャルメディアでの投稿で調べることができる。[鈴木メモ: 例に挙げたツールはBuzzsumo]
SEOツールでも調べられる。[鈴木メモ: 例に上げたのはSEMRush]
ローカルビジネス
あなたのローカルビジネスは音声検索に対応できているか?
おそらくできていないはず。
音声検索に対して準備できているローカルコンテンツとは
- モバイルフレンドリー ―― AMPも検討し始めるべき
 - テキストの情報(Flashを使わない)―― 住所・営業時間・電話番号を含む、売っているブランド(ロゴだけでなくテキストでも)を含む
 - 自分のビジネスについてユーザーが探している情報
 - 「◯◯の近く」で検索されそうならテキストで追加する ―― 例: 渋谷駅の近くのビジネスホテル、スカイツリーの近くのカフェ
 - 「よくある質問」を追加する
 - レストランのサイトは、PDFでメニューを提供しているなら、人気メニューはPDFではないページでも提供する ―― スマホではPDFは閲覧しづらく、通常はモバイルフレンドリーではない
 
自分のサイトでの音声検索クエリの探し方
検索アナリティクスで次で始まるクエリを見つける。
- Who
 - What
 - Where
 - How
 - 音声検索っぽいクエリ
 
将来予想
2020年までには次のような状況になるだろうと予想される。
- 1か月に2,000億の音声検索
 - 全検索クエリの50%が音声検索
 
あなたのコンテンツは音声検索のための準備が整っているだろうか?
以上です。
あなたは音声検索をどのくらい利用していますか?
もうかなり前から僕もスマホでは音声検索ばかりです。
検索だけではなく、リマインダーやタイマーの設定にも音声コマンドを使います。
Google HomeやEchoのような音声アシスタントの登場で、コンピュータに話しかける場面が今後はいっそう増えてくるでしょう。
ジェニファーさんがプレゼンのなかで示していたデータは当然英語圏(米国)のものです。
日本語での音声検索の利用率や、どういった検索で使われるのかを知りたいですね。
もっとも人間が文字入力ではなく音声で検索したからといって、特別な対応は不要だと僕は考えます。
ユーザーが何を知りたがっているかを確実に理解し、それに対する的確な答えを提供することの重要性に変わりはありません。
ユーザーが本当に求めていることを提供できていれば、検索意図を理解するGoogleの能力の向上によって、むしろ音声検索はプラスに作用するでしょう。
