[レベル: 中級]

この記事では、先月の終わりにカナダのバンクーバーで参加した『Call To Action Conference (CTAConf) 2017』のセッションをレポートします。

セッションスピーカーは、MozRand Fishkin(ランド・フィッシュキン)氏です。

フィッシュキン氏は言わずと知れた、SEO のエキスパートです。
「検索エンジン最適化」ではなく「コンバージョン率最適化」のカンファレンスでどのようなことをフィッシュキン氏は語ったのでしょうか?

Rand Fishkin at CTAConf 2017

ユーザー行動がSEOの重要指標に

Google はユーザー行動を見ている

昨日、ウィル・レイノルズ(ランドの知り合いのスピーカーの名前)は、人間(の行動)のシグナルが SEO で重要になってきたと言った。
つまり、人間に最適化しなければならない。

このカンファレンスのテーマは、CRO (Conversion Rate Optimization、コンバージョン率の最適化) だ。
ところが CRO と SEO の両方を達成しようとすると、対立が起こることがある。

かつて SEO とは、検索トラフィックやランキングで計測できる施策だった。
キーワードやリンクで改善できた。

しかし Google が進化し、現在は変化した。
エンゲージメントがランキングのシグナルとして出現した。
SEO の究極の指標は、ユーザーの問題を解決できたかどうかだ。

次のことに対する答えを Google は常に求めている。

  • この検索結果はユーザーを満足させたか
  • どうやって答えにユーザーはたどり着いのか
  • ユーザー行動の総合的なデータ

たとえば、次のようなユーザー行動を Google は観察する。

  • 平均的に、ユーザーは上位表示しているサイトの方を多くクリックするか?
  • 検索結果をクリックせずに、オートコンプリートや関連キーワードを選ぶか?
  • 検索結果にすぐに戻ってきたか?――上位表示しているページから検索結果にすぐに戻り、それよりも下のページのほうがエンゲージメントが高かったとしたら、検索順位を入れ替えるかもしれない。

小手先のテクニックで Google の裏をかき関係のないクエリでローカルパックに掲載させているサイトがあるが、ユーザーは誰もクリックしない。
何の意味もない。

ユーザーの疑問を検索結果で解決

Google は、“良い”検索結果から“速い”検索結果へとシフトしている。
強調スニペットやナレッジグラフ、オートコンプリートなどだ。

「バンクーバーの観光地」で、人気スポットの一覧が出てくる例
バンクーバーの観光地のナレッジパネル

我々の調査では、検索ユーザーの半分はどの結果もクリックしなかった。
なぜかというと、検索結果で疑問が解決するからだ。

Google は検索連動広告 (AdWords) で収益を得ている。
広告のクリックも犠牲にして、検索結果だけでユーザーを満足させるのはなぜか?
それは、ユーザーを“検索中毒” にするため。
検索したくなり Google に来ることをやめられなくなる(そうすれば、AdWords の収益も結局は増える)。

タスク達成

新たに出現した SEO の重要指標は、“Task Completion”(検索ユーザーがタスク/目的を達成すること)だ。

たとえば、「book publishing process」(本を出版する手順)で検索したとする。
この疑問を検索者は検索結果ですぐに網羅的に解決できるか?
1位のサイトは、本を出版するまでのプロセスをすべて説明しているか?

次のような疑問・問題を出版を考えた人は抱くはずだ。

  1. 本を出版したいと考える
  2. 費用の問題
  3. 自費出版にするか、昔ながらの出版社での出版にするか
  4. 出版社を見つけられる可能性
  5. 代理店を見つける
  6. 出版社を選ぶ
  7. 提案作成
  8. ジャンルに応じた秘訣
  9. 市場調査
  10. etc.

Google が目指すのは、タスク達成に最適化されたページを高く評価するシグナルとアルゴリズムを見つけ出すこと。
SEO で目指すのは、自分のビジネスと検索者の目的をそろえたうえで最適化すること。

検索者のタスク達成のための CRO プロセス

CRO のエキスパートはかつて次のように言っていた。

  • 購入に至らせるものが何かを十分に深く理解する
  • 購入する可能性があるのに購入させない要因が何なのかを決定する

これを次のようの置き換えたい。

  • ユーザーが何を探しているのかを十分に深く理解する
  • 満足させずにユーザーを去らせてしまう要因が何なのかを決定する

実行するためのステップ

  1. メインとなるキーワードのターゲットを決める
  2. 同じ検索を持つ関連キーワードとともにターゲットを広げていく
  3. 意図を若干広げたキーワードを追加していく
  4. そのキーワードで検索結果に出ている競合サイトを調査し、検索者がどんなタスクを達成することを手助けしているかを調べる
    ※[鈴木補足: ここまで (Moz 製) ツールを使って実行]
  5. 少数のグループにアンケートを取る――そのクエリで検索しているユーザーになりきってもらい、どんな情報が欲しいか答えてもらう
  6. アンケートの回答をまとめ、検索ユーザーが何を求めているかを知る
  7. それぞれのニーズに応じたコンテンツを作成し、そのニーズをすぐに見つかるレイアウト/デザインで公開する
  8. 内部 SEO をチェックする――title タグや meta description、見出し、画像など。表示速度やUX、信頼性、ブランドも大切
  9. 物理的な製品と同じように、使いやすさをテストする
  10. 公開し、改善を繰り返す

さらに一歩進めるには

SEO と CRO は単にタスク達成だけではない。
CRO によって収益が増えれば、SEOに投資できる。
そうすれば競合を抜いて最終的には1位になれる。

SEO と CRO の対立

従来の CRO は、経営層が予算をどこに配分するかを決める際に重要だった。
ここで、誰が(CRO チームと SEO チームのどちらが)コンバージョンを獲得するかの対立が生じる。
コンバージョン率とタスク達成は真っ向から対立することがある。

たとえばオーバーレイ。
コンバージョンは増えるかもしれないが、直帰も増えるかもしれない。

コンバージョン率は高いがユーザー満足度が低いページは、オーガニック検索のトラフィックが減るかもしれない。

解決策は、まずユーザーを満足させること
信頼とロイヤリティを築くことが先決

次のようなフローを目指すといい。
1. 検索者の満足 ⇒ 2. 信頼とブランド信仰 ⇒ 3. 再訪問 ⇒ 4. 長期にわたる強固なコンバージョン

実際に Moz では、8〜9回訪問した後に登録したユーザーは契約が長期に渡って続く。
反対に、すぐに契約したユーザーはすぐに解約する傾向にある。

どちらが適しているか選択する

最終的には、どちらが自社ビジネスに適しているかを選択するといい。

  • まず訪問者をコンバージョンさせる。そのあとに問題を解決する手助けをする
  • まず訪問者の問題を解決する。そのあとに、ユーザーから得た信頼と、提供する価値によってコンバージョンさせる方法を見つける

以上です。

ランドの話を、簡単にまとめると次のようになるのではないでしょうか。

ユーザーの問題を解決し、タスク達成を手助けすることが SEO の役割。
SEO を達成すれば、売上を増加させるための CRO にも最終的には貢献する。

SEO は手段であって目的ではないですよね。
検索結果で1位を取ることが目的ではなく、上位表示させて検索トラフィックを増やして売上を伸ばすことが目的です。

一方で、どんなに CRO が上手にできていても SEO (やそのほかの手段による)トラフィックがなければ売上はアップしません。
とびきりおいしいラーメン屋でも、お客が来なけれれば稼ぐことができないのと同じです。

よって、SEO と CRO のどちらか片方が欠けても、成功は手にできないということになります。

【余談】
ところで、ランドが Moz から実質的に去ることになりました。
Associate(アソシエイト)として、外部者としてボランティアベースでの協力は続けるそうですが、Moz の経営や運営には一切タッチしなくなります。

ランドは、Moz の創設者(の1人、もう1人は母親)です。
創設者が去るというのは、相応の事情があるに違いありません。
ランドはまだ引退するような年ではないし、SEO に対する情熱が冷めたとも思えません。

Moz は ベンチャーキャピタル が入っているので、出資者との間で何かあったのだろうかとも疑ってしまいます。

僕はランドのプレゼンが大好きです。
今回、SEO ではなく CRO のカンファレンスに参加したのも、ランドが来るからでした。
今後もカンファレンスには登壇するそうですが、数は減るのかなとも心配しています。:(

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