[レベル: 上級]

この記事では、今年 3 月に米サンディエゴで参加した SearchLove カンファレンスのセッションをレポートします。

セッションのテーマは、ユーザー体験と SEO です。
UX がランキング要因なのかどうかは特にここ数年議論を呼ぶトピックになっています。

セッションスピーカーは、SearchLove を主催する Distilled の創設者 兼 CEO の Will Critchlow 氏です。
SEO におけるユーザー体験 (UX) を Critchlow 氏がどのように考察しているのかを見ていきましょう。

SearchLove San Diego 2019 - Will Critchlow - SEO + CRO: When ‘what’s good for users’ isn’t good for Google

検索結果の CTR

検索結果のクリック率 (CTR) は次の条件で利用されていることを Google は公表している。

  • アルゴリズム評価: アルゴリズムを評価する目的で CTR が使われていることは明らかになっている――新しいアルゴリズムを導入するときの検証や、2 つの検索結果を並べて比較するときの手段として
  • パーソナライズ: 検索結果のパーソナライズにも CTR は使われているとのこと。ただし詳しいことはわからない

ページの見やすさ、使いやすさ

評価ガイドラインにあるように、上位表示しているページの品質を評価するためのデータとしてページの見やすさ、使いやすさなどの UX もチェック対象になっている――アルゴリズム評価が目的。

人間の評価に基づく、機械学習モデル

人間の評価をトレーニングセットにした機械学習も利用している可能性が高い。
たとえば、パンダアップデート――「良質なサイト」の判断基準として Google が公開した質問例は、人間の評価を基にして学習させたはず。

実際に、自分たちで調査するとこれらの項目と検索結果に高い相関関係が見られた。
品質が低いと感じた理由をユーザーに挙げてもらったら、たとえば次のような指摘が出てきた。

  • レビューがウソっぽい
  • 会社情報や、その製品を使うべき説明が不十分
  • このご時世に HTTPS じゃない
  • 写真の質が悪く、ぼやけている

ユーザーの実際のページ速度

ユーザーが実際に体験しているページの読み込み速度がランキング要因かどうかは、そこそこ事実と思われる。
Chrome ユーザーの実際のデータ(Chrome ユーザーエクスペリエンス レポート)が Speed Update のアルゴリズムに利用されている。
[鈴木補足] こちらの記事を参照

直接のランキング要因としての CTR

検索結果の CTR がランキングに直接影響しているかどうかは、Google によって明確に否定されている。

ただし、ランド・フィッシュキンは、クリックによってランキングが変わることを検証によって、何度も確かめている(たとえば、この事例)。
とはいえ、CTR の影響が実験で確かめられなかったケースもあるので、あらゆる人が同意しているとは言えない。

CTR がランキング要因であるとのランドの見解を、Google のゲイリーは馬鹿にするような形で否定すらしている。

単なる CTR 以上の要因を Google は使っているのではないだろうか
もっとも、それが何かはわからないが。

検索結果での行動

私見だが、検索結果でのなんらかの行動はランキング要因になっているのではないかと推測する。

将来的にランキング要因になりそうな UX

将来的には、次の UX がランキング要因になるのではないかと予想する

  • ユーザーの意図を満たしているか(さらに強まる)
  • タスク完了(ユーザーの目的がそのページで完了するかどうか、たとえば EC サイトでの購入やブログで記事を最後まで読んだか)
  • コンバージョン率

SEO と CRO

UX の基盤から SEO の仮説を立てるようにすべきである。
UX は CRO(コンバージョン率最適化)と置き換えることができる。

ほとんどの組織では、SEO と CRO を別々のものとして考えている。
しかし実際には多くの部分でオーバラップしている。

反対に、CRO が SEO に影響しない場合もある。
たとえば、インデックスさせないページの CRO(コンバージョン率最適化)だ。

SEO を考慮に入れずに CRO を施策して、検索トラフィックが 25 %減少してしまった失敗を知っている。

まとめ

UX がランキング要因かどうかに関しては、意見が一致しているわけではない。
しかし、未来主義者のような大局観や Google に対する陰謀論は必要ない。
パンダアップデートが UX の指標をトレーニングデータに使っていること、および UX を指標としているアルゴリズム変更の質と量が増加していることは確かなことである。
したがって、Google が目指すところと UX が一致していることを認識しておく必要がある。
UX を基盤として、SEO の仮説を立てていく。

ユーザー行動を Google が “直接” のランキング要因しているかどうかどうかは誰しもが気になるところです。
ですが、ランキング要因になっていようがいまいが、ユーザー体験を向上させることが大切なことに変わりはありません。
優れたユーザー体験を提供するサイトはユーザーに支持されます。
少なくとも間接的には検索にもプラスに働くでしょう。
もし直接プラスに働くとしたら、それはボーナスとしてとらえておくといいのではないでしょうか。

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