[レベル: 上級]
SparkToro と Datos は、2025 年に、米国および EU/UK の主要 41 サイトを対象に、数百万台のデバイスのクリックストリームデータを用いてデスクトップ検索行動を分析しました。
「検索」の定義を従来の検索エンジンや AI ツールにとどまらず、EC プラットフォーム、ソーシャルネットワーク、その他のコンテンツサイトにまで拡大した、今までよりもカバー範囲を広げた大規模調査です。
調査結果の概要
調査結果によると、Google は依然として支配的な地位を占めているものの、検索をより広く定義した場合、デスクトップ検索全体に占めるシェアは大幅に低下します。
デスクトップ検索の約 80% は依然として従来の検索エンジンで行われています。
しかし、コマースプラットフォーム、ソーシャルネットワーク、AI ツールでも意味のある検索行動が確認されました。
一方で、注目度の高さとは裏腹に、AI ツールが検索全体に占める割合はわずかでした。
ChatGPT のデスクトップ検索量は Amazon、Bing、YouTube を下回っています。
調査結果の主要ポイント
調査結果の主要ポイントをまとめます。
検索は多様なプラットフォームで行われている
- この調査では、従来型検索、AI ツール、EC、ソーシャル、その他の分野にわたる 41 ドメインを分析した。
- 41 サイトのうち 23 サイトが、それぞれデスクトップ検索シェアの 0.1% 超を占めた。
- 検索行動は Google や AI ツールをはるかに超え、Amazon、YouTube、Reddit、Instagram などのプラットフォームにも広がっている。
Google は依然として支配的だが、一般的な報告よりシェアは低い
- 2025 年 第 4 四半期 における 41 ドメイン全体での米国デスクトップ検索に占める Google のシェアは 73.7% だった。
- この調査では非従来型の検索プラットフォームも含めているため、Statcounter などの手法で示される一般的な市場シェア推計値(90% 超)を下回っている。
- EU/UK では Google のシェアはより高く、約 78.5% だった。
AI ツールは検索全体のわずかな割合にすぎない
- AI ツールは米国デスクトップ検索活動の 3.19% を占めた。
- ChatGPT のデスクトップ検索量は Amazon、Bing、YouTube を下回った。
- AI による検索露出の大半は依然として Google 経由で発生している。特に、約 16% の 検索結果に表示される AI Overviews を通じたものだが、AI Mode に移行するユーザーは検索者の 0.1% 未満にとどまっている。
- AI ツールへの訪問はプロンプト入力と同義ではなく、ChatGPT の訪問者の多くは他者が共有したチャットを閲覧するだけで、自身はプロンプトを入力していない。
デスクトップ検索のカテゴリ別内訳(米国、2025 年 Q4)
- 従来型検索エンジン:約 80.76%
- EC サイト:約 9.76%
- ソーシャルネットワーク:約 5.37%
- AI ツール:約 3.19%
- その他:約 0.91%
2025 年のトレンド
- Google は 2025 年を通じて米国デスクトップ検索シェアを 3.5 ポイント失った。
- Amazon、Bing、YouTube は年間を通じてシェアを伸ばした。
- ChatGPT の米国シェアも 2025 年を通じて低下した。
- 上位 7 サイト以外の 34 サイトが合計でシェアを拡大している。大手プラットフォームの支配力が強まっていない稀なケース。
- EU/UK では Google の低下幅はより小さかった(約 2 ポイント)―― ChatGPT は 0.2 ポイント未満の低下にとどまり、ChatGPT の全体市場シェアは米国より約 0.75 ポイント高かった。これはヨーロッパにおける AI ツール普及がわずかに速いことと一致している。
すべての訪問者が検索するわけではない
- Google の訪問者のほぼ全員が検索を実行する(約 97%)。
- Bing、DuckDuckGo、Craigslist、Amazon の訪問者は 70% 超が検索を行う。
- ChatGPT と eBay の訪問者がプロンプトまたは検索を実行する割合は約半数にとどまる。
※SparkToro は、検索やプロンプト活動の代替指標として訪問数は適切ではないと判断し、この調査結果を受けて自社製品を訪問数中心から検索重視の指標へと更新したとのこと。
ユーザーあたりの検索数は安定している
- Google、ChatGPT、DuckDuckGo、Amazon は 2025 年を通じて、検索者あたりの検索数またはプロンプト数が比較的安定していた。
- Bing は年間を通じてわずかな低下を示した。
- Pinterest と Threads はそれぞれのティアにおいて、検索者あたりの検索数が顕著な増加を見せた。Threads の増加(約 2 件からほぼ 4 件へ)はネットワークの重要性の高まりと関連していると考えられ、2026 年 1 月には Threads がモバイルの 1 日あたりユーザー数で X を上回った。
戦略的示唆
SparkToro の Rand Fiskin(ランド・フィッシュキン)氏は、 調査結果を踏まえて取り組むべき戦略を次のように提案しています。
- 検索は Google や AI ツールに限定されたものではなく、クロスプラットフォームな行動として捉えるべきである。
- AI 最適化に過度に注力することで、Amazon、YouTube、Bing、ソーシャルプラットフォームにおけるより大きな機会を見逃す可能性がある。
- AI Overviews を通じた AI 影響下の検索結果を含め、Google は依然として支配的な検索エコシステムであり続けている。
- マーケティング戦略は、ユーザーが積極的に検索を行う各プラットフォームにわたる「Search Everywhere Optimization(あらゆる場所での検索最適化)」を優先すべきである。
調査方法
調査方法の概要は次のとおりです。
- データは米国および EU/UK パネルのデスクトップのみ(モバイルブラウザとアプリは含まない)。
- 複数のやり取りを含む AI プロンプトセッションは、従来の検索クエリと同等の単一の「検索」としてカウントされた。
- 意図によるフィルタリングは行っておらず、検索以外の AI プロンプト(コーディング、画像生成など)やナビゲーション検索も含まれている。
- ドメインは Datos パネルの上位 250 最多訪問サイトから編集的に選定されており、アダルトコンテンツサイトおよび検索行動が関連しないドメイン(例:USPS.com)は除外された。
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米国と英国、EU での調査なので、日本の環境にそのまま当てはめることはできません。
それでも、「検索はもはや Google だけの話ではない」というのがこの調査の核心です。
SEO の観点からは、Amazon や YouTube、Reddit といったプラットフォームでの検索最適化を Google と並行して進める、ランドが提唱した「Search Everywhere Optimization」の重要性が改めて浮き彫りになっています。
また、AI ツールへの過剰な期待は禁物です。
ChatGPT のシェアが Amazon や Bing を下回るという事実は、AI SEO に大きなリソースを割く前に冷静な優先順位付けが必要であることを示しています。
従来型 SEO の基盤を固めつつ、自社のターゲットオーディエンスが実際にどのプラットフォームで検索しているかをデータで確認したうえで、マルチプラットフォーム戦略を組み立てることが現実的なアプローチと言えるでしょう。
