相対URLと絶対URLはどちらがSEOに強いのか?

HTMLのコードを書いているときに誰もが一度は悩んだ経験があるはずなのが、aタグで指定するリンク先URLの記述形式です。

何に悩むかというと、http://を入れたURLにするか、それともディレクトリ名・ファイル名だけにするか、です。

  • <a href=http://www.suzukikenichi.com/abc.html>
  • <a href=abc.html>

あなたはどちらの形式で記述しますか?

僕たちが絶えず取り組んでいる「SEO」という視点から見た場合、どちらが有利なのでしょうか?

Web担の連載コーナーで以前にピックアップしましたが、WebmasterWorldでつい最近また同じような質問の投稿があり、疑問に感じるサイト管理者は多いのだろうと思って僕のブログでも取り上げることにします。

まず用語の定義をしておきます。
http://付きのURLか、http://の付いていないURLかの呼び方はいくつかあって、どれが正しいかというのは僕には分かりません。

なので、WebmasterWorldでフォーラム管理者が説明している定義をそのまま使うことにします。

URLの記述方法は3種類あります。

1. 完全URL(Absolute URL)
“http://”から始まる完全な形式のURLです。
<a href=http://www.suzukikenichi.com/abc.html>が、例になります。
ブラウザのアドレス欄にそのまま貼りつければ該当ページを表示できますね。

2. ルート相対URL(Root Relative URL)
ルートディレクトリを起点として、位置を表す記述形式です。
ルートディレクトリとはいちばん上のディレクトリ(フォルダ)でのことです。
ルート相対URLは、ルートディレクトリを示す「/」(スラッシュ)から必ず記述が始まります。
<a href=/abc.html>が、例になります。
もしxyzディレクトリの中にあれば、「/xyz/abc.html」になります。
※【追記】正確には「ルート相対パス」と呼ぶべきです。

3. 相対URL(Relative URL)
今“いる”場所、つまり記述対象となるファイルが存在する場所を起点として位置関係を表す記述です。
リンク先のファイルが同じディレクトリの中にあれば次のようになります。
<a href=abc.html>
格納してあるディレクトリが、ルートディレクトリでもxyzディレクトリでも同じです。
※【追記】正確には「相対パス」と呼ぶべきです。

中途半端な気もしますが、3つのタイプのURLの記述についてはこのくらいにしておきます。
詳しく知りたければ「絶対パス 相対パス」で検索してください。
コンピュータでファイルやフォルダの存在場所を示すときに重要になってくる概念です。

さて、ここからが本題です。

「完全URL」と「ルート相対URL」と「相対URL」、SEO的には有利・不利はあるのでしょうか?

有利・不利はありません。
「ない」と断言すると問題がありそうなので、「ないと考えられる」くらいにしておきましょうか。

ずっと以前は技術的な問題で、検索エンジンの相対リンクの解釈に支障が発生するケースがあったようですが、今ではそういったことはなさそうです。

一方、完全URL・ルート相対URL・相対URLに有利・不利はありませんが、メリット・デメリットはあります。

●完全URL

  • メリット
    • ファイルの場所を移動してもリンク切れを起こさない
    • 盗用に強い
  • デメリット
    • ローカルPC上でテストできない
    • ファイルサイズが大きくなる

●相対ルートURL

  • メリット
    • ファイルの場所を移動してもリンク切れを起こさない
    • ローカルPCでテストできる
  • デメリット

    • 盗用に弱い

●相対URL

  • メリット
    • 記述が短くなる
    • ファイルサイズが小さくてすむ
    • ローカルPCでテストできる
  • デメリット
    • ファイルの場所を移動するとリンク切れを起こす
    • 盗用に弱い

完全URLは、間違いが発生しづらいですね。
URLをそのまま指定するのでリンク切れを起こすミスを防ぎやすくなります。
相対URLはファイルが存在する場所によって“パス”が変わってくるので、位置関係を正しく理解していないとリンク切れを起こします。
ルート相対URLは、てっぺんからの場所を記述しているのでファイルを移動してもリンク切れが発生しません。

また完全URLは、コンテンツの盗用に強いです。
「強い」というのは「盗まれない」ということではなく、盗まれた後の状態です。
ソースをコピペして他のサイトに張られたとしても、リンク先のURLは自分のサイトのページを指したままです。
コンテンツ盗用者が、わざわざリンクのURLを修正するとも思えません。
ともすれば、バックリンクになります。(笑)

ルート相対URLと相対URLは、ディレクトリ構造をそのまま同じに保ってコンテンツを盗まれたら、盗用先のサーバーでも正しく機能してしまいます。
スクレイパーにとって都合のいい記述方式です。

ルート相対URLと相対URLは、ローカルのPCでも表示テストができます。
しかし完全URLはhttp://が入っているので、ウェブサーバーに繋がってしまいます。
更新したファイルをサーバーにアップしないと確認できません。
そもそもネットに繋がっていない環境ではアクセスできませんね。

相対URLは、一般的に記述が短くて済みます。
ファイルサイズが軽くなるのでページの表示速度が向上します(どれだけ速くなるかはおいといて)。

ルート相対URLは、階層が深くなると記述が長くなりますが、浅い場合は短くて済みます。
常にトップからの位置指定なので場所が把握しやすいです。
複数人でサイトを構築しているときはリンクの指定ミスを減らせそうです。

思いのほか長くなったのでまとめます。

で、結局3つあるうちの記述方法のどれを使ったらいいのかという結論です。

どれでもいいです、好きな記述を使ってください。

これを踏まえた上で、僕は完全URLを推奨します。

まず、間違いの発生を抑えることができます。
ファイルがどこにあろうが、リンク先のURLは変わりません。
検索エンジンにとってもトラブルの原因をなくせます。

そして盗用対策です。
インターネットに公開している以上盗用は防げません。
僕は盗まれても、コピペされるほど良質な記事を書いていると嬉しく思うようにしています。w
とはいえ、決して歓迎すべきことではありません(とても信頼している人に盗用まがいの行為をされた事件があって、ものすごくショックでした)。
完全URLならページ内に貼られているリンクはリンク先ページへのバックリンクになります。
少なくとも盗用サイトを強くするようなリンクにはなりません。

5年以上前になりますが、Googleの社員は完全URLを勧めるとWebmasterWorldでコメントしています。

BingのWebmaster向けTipsでも「完全なURLで記述してください」と説明されています。

どうしてもそうしなければならない理由や強いこだわりがないなら、メリットを考えて完全URLで記述しておくのがいいでしょう。

【UPDATE】
Googleも絶対URLを推奨していますね。

可能な場合は、相対リンクではなく絶対リンクを使用します