Googleマット・カッツ、有料リンクの判断基準を説明

[対象: 初〜中級]

GoogleのMatt Cutts(マット・カッツ)氏が、「Googleのウェブスパムチームが何を基準にして有料リンクかどうかを判断しているのか」を動画で説明しました。

長い動画なので、要点を絞って訳します。

有料リンクとは何なのか?

上位表示するために、PageRankに基いてPageRankを流すリンクを明らかに求めてお金を払うこと」は、極めて明確な有料リンクだ。ほとんどの場合はお金の受け渡しが介在するリンクの売り買いで、、有料リンクだと明白に判断できる。

1ドルくらいの価値しかないボールペンや無料のTシャツをあげたとしても、おそらく人々の行動には影響を与えないだろう。つまりリンクを張ることには繋がらない。

しかしリンクを張ってもらうために、600ドルを払うことには大きな価値がある。

金銭的に大きな価値があるかどうかが判断基準になる。

与えるものがどのくらいお金に”近いか”も問題になる。

たとえば商品券は簡単に換金できるから商品券もお金に相当する。

一方で、香水の試供品やビール一杯とかならお金との結びつきは弱い。食事をごちそうしたとして、そのことについて記事を書いたとしてもその料理が18品のメニューがついた豪華なステーキとかそういうのでなければ問題にしない。

実際のお金とどのくらい密接に関係するかを見ている。

「贈ったもの」か「貸したもの」かも問題になる。

新登場の自動車を貸りて1週間試乗した人がレビュー記事を書くのはいいが、新車を完全にあげて、リンクを張ってもらうことは良くない。両者には極めて大きな違いがある。

ガジェットやカメラを貸してレビューを書いてもらうのは認められるだろうが、返す必要がなく与えてしまったらお金に相当する。

対象にするユーザーにもよる。

ほとんどの場合目的は極めて明白で、リンクを買うために実際のお金を払っている。

しかしたとえば展示会で、来場者にサービスの1年間の無料利用を提供したとしても、その目的は、記事を書いてもらったりリンクを張ってもらったりすることではない。口コミで広めてもらったり将来の顧客獲得につなげたりすることだ。

ここでの「お試し」提供は、SEO価値があるリンクを目的としたものではない。

Google I/OでGoogleがNexus 7を配るのも同じことで、リンクを得ることが目的ではない。知ってもらうこと、使ってもらうことが目的だ。

その製品をもらう代わりに良いレビューを書いて、宣伝であることを隠すこともGoogleは良いとは思っていない(※鈴木補足: いわゆる「ステマ」)。

想定できるものかどうかも問題になる。

映画の評論家が無料で映画を観てレビューするのは想定できることでだれも驚かない。

しかしテック系のレポーターが、ノートPCをもらう代わりにそのノートPCについてレビューを記事を書くのはジャンルがまったく違っていて驚く。PR記事だと明らかにするべきだ。

 

考慮される重要点

有料リンクかどうかを判断する際に考慮されることをMatt Cutts氏は次のようにまとめました。

  • お金を支払うか?
  • プレゼントや商品、サービスの価値は何か?
  • プレゼントや商品、サービスがどのくらい実際のお金に相当する(価値がある)か?
  • 純粋なプレゼントかそれとも貸したものか?
  • 対象としたユーザーは誰か?
  • プレゼントの目的はリンクを得ることか?
  • そのプレゼントは第三者からすると驚くようなものか?

僕の言葉で言い換えてまとめると次のようになります。

  • お金が介在していれば即NG
  • 現金でなくても、お金に相当するものはNG
  • リンクを張ることに繋がるような価値があるモノ・サービスの提供はNG
  • 高額なものを与えることはNG
  • 常識の範囲を超えたものはNG

Matt Cutts氏の説明で、有料リンクの判断基準が完璧に明確になったとは決して思いません。
それでも、いままで曖昧だった部分が多少なりともクリアになったのは確かなことです。

もっとも有料リンクに相当するかどうかの判断に迷ったら、「それはリンクを得ることが目的なのか?」で考えればたいていは結論が出ますね。