GoogleのApp Indexing APIがSEOに与える影響

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おととい書いた「Now on Tapの日本語公開」や、きのう書いた「アプリだけのApp Indexing」に象徴されるように、Google検索でのApp Indexingの存在感が増しつつあります。

App Indexingの重要性にあなたも気付き始めているはずです。
それ以上に、App Indexingで利用できる App Indexing API も重要な要素に今後なりそうです。

Search Engine Landが、Googleのモバイル検索のディレクター、Rajan Patel(ラジャン・パテル)氏にインタビューし、ウェブのコンテンツとアプリのコンテンツのランク付けの違いを聞き出しました。
このインタビューからApp Indexing APIがカギを握りそうな気配が伝わってきます。

そこで、このインタビューの概要をこの記事では紹介します。

なお、App Indexing APIについてはここでは詳しく説明しません。

簡単に言えば、App Indexingを実装しているアプリの情報やアクティビティをGoogleに通知するために使われる仕組みです。
App Indexingの基盤となるディープリンクの発行にはApp Indexing APIを利用できます。
App Indexing APIで、アプリコンテンツのディープリンクをオートコンプリートに表示させることができます。
Now on Tapの適用にもApp Indexing API(によって発見、認識されたディープリンク)が利用されます。

App Indexing APIをランキングに利用

アプリコンテンツの検索順位を決定するためにApp Indexing APIが使われます。

アプリではウェブページのようには、リンクやアンカーテキスト、PageRankのようなランキングを決めるためのベースとなるシグナルを用いることができません。
特に、アプリだけのApp Indexingは対応するウェブページがないのでこうした要因が完全に入手不可能です。

そこでコンテンツ評価を手助けするためにApp Indexing APIを利用するとのことです。

App Indexing APIはアプリ利用時間の測定にも使われる

App Indexing APIを用いると、ユーザーのアプリの使用開始と使用終了を通知できます。

具体的には、AppIndexApi.start() メソッドでアクティビティを開始することを通知し、AppIndexApi.end() メソッドでアクティビティの終了を通知します。

アプリの利用時間をランキング要因にするとは、インタビューを受けたPatel氏は言ってはいません。
しかし、アプリのなかの特定のコンテンツがどのくらいオーソリティがあるのかやどのくらい重要なのかを判断するために利用時間が用いられる可能性があるのではないかとインタビュー記事を書いたBarry Schwartz(バリー・シュワルツ)氏は推測しています。

コンテンツの取得にはApp Indexing APIのほか、Googlebotも利用

アプリコンテンツはApp Indexing APIを介して取得されます。
しかしApp Indexing APIと併用して、通常のウェブクローラのGooglebotもアプリコンテンツの取得に使わることがあります。

Googlebotは、アプリ内のさらに多くのコンテンツを発見することに役立ちます。
と同時に、発生する可能性があるスパムやクローキングの検出にも用いられます。
App Indexingに関してもGoogleはスパム行為に厳しく対処していくつもりだとのことです。

なお僕からの補足ですが、App Indexingにおいては、原則的にはApp Indexing APIによってGoogleはアプリコンテンツを取得します。
App Indexing APIを使わずにApp Indexingを実装する場合には、必ずGooglebotのクロールを許可しておく必要があります。
robots.txtでブロックしてはいけません。

ちなみに、アプリだけのApp IndexingにはApp Indexing APIの設定が必須になりそうです(対応するウェブページがないのでGooglebotではコンテンツを発見、取得できませんね)。

iOSでもApp Indexing APIは利用可能

iOSよりもAndroidのほうが当然Googleは多くのことを実装できます。
しかし、App Indexing APIはiOSでも利用できます。

iOSアプリでもApp Indexing APIは重要になってきそうです。

SEOにアプリが入り込んでくるのは間違いないことでしょうね。
というよりも、すでに入り込んできてると言ったほうが正確でしょう。
アプリ開発者とも密接に連携していく必要が出てきます。

アプリだけのApp Indexingの試験公開と同時に、アプリのストリーミング機能もGoogleは導入しました。
この出来事について、実に興味深い考察をDanny Sullivan氏がMaketing Landで書いています。

この記事を読んだ僕の感想を最後に載せておきます。

App Indexingで、インストールしていないアプリのコンテンツを検索結果に出せるようにしたのはいいけれど、何の抵抗もなくすべてのアプリをインストールするユーザーがいるとは思えない(ちょっと気になっただけのニュース記事を読むために、ニュースアプリを新たにインストールする?)。アプリだけのApp Indexingで、さらに多くのアプリコンテンツが検索結果に出てきたらなおさら。

そこで登場するのが、ストリーミング機能。どんなサイトでもブラウザさえあればウェブページを閲覧できるように、Googleで検索しさえすればどんなアプリでもコンテンツを利用できる。インストールは不要。
アプリでウェブ離れ(検索離れ)が起きているという話も出ているけれど、結局は検索に戻ってくる。Googleはここまで考えてんだろうね。さすがだ。