スマホユーザーの検索行動を変えるか? Now on Tapが日本語でも利用可能に

[レベル: 中〜上級]

Googleは、日本語でのNow on Tap提供を開始しました。

Now on Tapのおさらい

Now on Tap(ナウ・オン・タップ)は、Android OSのバージョン6、Marshmallow(マシュマロ)で利用できる新しい機能です。
ホームボタンを長押しすることで、その状況に合わせて適切な情報を提供する“カード”を提供します。

今年5月のGoogle I/O 2015で発表されました。
1週間後に開催されたSMX Advancedでも紹介されています。
僕はこちらには参加していました。
Now on Tapに詳しくなければ、レポート記事を先に読んでもらいたいところです。

発表から約5か月後の10月にまず英語からNow on Tapがリリースされました。
その1か月後に2つ目の対応言語として日本語でもNow on Tapが利用できるようになりました。

TC SummitでNow on Tapの関係者と話したときには、英語以外の言語は早くても年明け、だいたい春くらいかなという印象を持ったのですが、日本語導入まであっという間でした。
日本チームが頑張ったんじゃないかと思います。

日本語でのNow on Tapの例

日本語で機能しているNow on Tapの例をいくつか見てみましょう(僕のスマホは Marshmallow ではないので、友人にお願いしてスクリーンショットを撮ってもらいました。迷惑がかかるといけないので個人名は伏せますが、ここでお礼します。ありがとう!)。

こちらは、Web担当者Forumの僕の連載コラムのページでNow on Tapを起動させた場面です。
プロフィールに、僕が所属しているFaber Companyが書かれているので、Faber Companyという企業に関するカードが出てきます。
Web担当者Forumのコラムで出てくるNow on Tap

行き方を調べるためにGoogleマップアプリのカードが出ています。
電話カードをタップすればそのまま電話をかけることもできます。
Facebookのカードをタップすれば、Faber CompanyのFacebookページが開きます。

こちらは、Web担の安田編集長のコラムページでのNow no Tapです。
安田英久という人物に対するカードが出ています。

安田編集長に対して出てくるNow on Tap

ソーシャルメディアでのプロフィールがメインですね。
アプリがインストールされていれば、それぞれのアプリで安田編集長のプロフィールを開くことができます。

こちらは、飲食店のレビューページで起動したNow on Tapです。

海老フライ食堂のNow on Tap

まず、巣鴨ときわ食堂という飲食店に対してNow on Tapが機能しています。
行き方を知るためのGoogleマップのカードが見えます。
さらに、どんなお店なのか、メニューや口コミを知るための食べログアプリのカードも見えています。
もしOpenTableが端末にインストールしてあって、巣鴨ときわ食堂をOpenTableで利用できたなら、ここから予約することができるでしょう。

レビューのなかで登場しているエビフライという料理に対してもNow on Tapが機能しています。
クックパッドアプリがインストールしてあれば、クックパッドでのエビフライのレシピをそのまま調べられます。
エビフライに関わるYouTube動画も見られるようですね(どんな動画だろ?)。

こちらは、アニメ関連のページでのNow on Tapです。

アニメのNow on Tap

ラブライブ!というアニメに関係するカードと、(ページのなかに登場する)そのアニメの声優さんに関係するカードが出ています。
「曲」や「アルバム」というカードが見えますが、米国であればSpotifyのような音楽アプリのカードが出てくるんじゃないですかね。

ここまで見たように、そのときの状況(見ているもの)に応じて、ユーザーが知りたい・やりたいと望むであろうことをNow on Tapは提示します。
ウェブページの例しか出していませんが、LINEでやりとりしているときであろうが、Gmailでメールを読んでいるときであろうが、Yahoo!ニュースでニュースを読んでいるときであろうが、Twitterでライムラインを眺めているときであろうが、どんなアプリの上でもNow on Tapは機能します(もちろん Marshmallow であることが条件)。

検索の行動様式をガラリと変える?

スマホで何かを読んでいたり見ていたりしてわからないことや知りたいことがあれば、いったんそのアプリから離れて検索したり別のアプリを使います。
面倒だからとその場では何もしないかもしれません。

しかしNow on Tapはホームボタンを長押しさえすれば、求めていることが簡単に実行できます。
初めて聞く名前の人の詳細や話題のスポーツ選手のTwitterアカウント、美味しそうなお店の口コミや場所、公開されたばかりの映画の上映時間やレビュー、そういったものを検索しなくてもユーザーは知ることができるのです。

検索エンジンの検索ボックスに言葉を入力して検索するという行動が不要になりそうですね。

もっとも、今すぐに大きな変化があるとも思えません。
Marshmallowが普及するには時間がかかるだろうし、そもそもNow on Tapを一般ユーザーが使うかどうかも気がかりです。
Marshmallowスマホを持っていても「そんな使い方知らない」というユーザーが多いだろうことは十分予想できます。

Now on Tapが当たり前の機能として普及するかどうかは未知数なところがありそうです。
少なくとも、1年やそこらで普及するとは僕には思えません。

そうは言っても注目の機能であることに違いはありません。
注視していきたいものです。

特に、App Indexingは無視できない存在です。
Now on Tapのカードにアプリが表示されるには現状ではApp Indexingの実装が必須です(一部例外アプリあり)。

僕のレポート記事にも書いてあるように、公式アナウンスにも次のように書かれています。

「ナレッジグラフ」や「自然言語の理解」そして「 App Indexing 」という、Google 検索がこれまでに培ってきた様々な技術を組み合わせることで、適切な候補の表示を可能にしています。

「ナレッジグラフ」と「自然言語の理解」に対しては僕たちには直接的に影響を与えることはできません。
Googleに頑張ってもらいましょう。

ですが、App Indexingは僕たちができることです。
Now on Tapが当たり前のように使われるようになったとしたら、App Indexingをやっていれば新たなトラフィック源を手にすることになります(でも、Now on Tapが完全に普及する頃にはApp Indexingが不要になっていたりしてw)。

Now on Tapの公式情報はこちらを参照してください。