Googlebotはショッピングカートに商品を追加する。カゴ落ち率が悪化する可能性あり

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EC サイトで Googlebot は商品をカートに追加することができます。
Googlebot がショッピングカートに商品を追加する目的は、マーチャントセンター経由で送信された商品の金額がサイトで実際に販売されている商品の金額と一致するかどうかを確認するためです。

しかしながら、最終的には購入しません。
そのため、カートの離脱いわゆる「カゴ落ち」の率を不当に歪めてしまう可能性があります。

繰り返し購入を完了しない顧客

Googlebot がショッピングカートに商品を追加することは Wall Street Journal の記事によって明らかになりました。

John Smith という名前のユーザーが大量にショッピングカートに商品を追加するものの、結局は購入を完了せずにサイトを去るという現象が継続的に複数のサイトで確認されていました。
多いときには、73 回もの注文を途中で放棄したそうです。

John Smith (ジョン・スミス)は、日本で言うところの「田中 太郎」や「山田 花子」のように例としてよく使われる氏名です(※同姓同名の方が実在しますが卑しめているわけではありません。一般論としての話です)。

この John Smith は、未完了の購買を何度も何度も繰り返します。
結果的にどうなるかというと、カートの離脱率が上昇します。
成約率を分析するために利用するデータを歪めてしまいます。

購入者情報のメールは [email protected][email protected] のようなアドレス、配送先はマウンテンビューにある Google 本社です。

嫌がらせを試みている競合の仕業とも考えられますが、そうではありませんでした。
Google に Wall Street Journal が 問い合わせると、Googlebot が実行していることだと認めたのです。

マーチャントセンター経由で送信された商品の金額を確認するため

Googlebot がショッピングカートに商品を追加する目的は、金額を調べるためです。

マーチャントセンター経由で送信する商品情報には当然のことながら金額が含まれています。
Google 検索のショッピング タブにはその金額が掲載されます。

欲しい商品があり、そのサイトが最安値だと検索ユーザーが知って訪問し、いざ購入しようとしたら、実際にはもっと高かったり、あるいは予想外に高い送料を取られたり、手数料やらなんやらで追加の支払いが必要だったりして、ショッピング検索で見た金額とは異なる総額になるかもしれません。

安く買えると思っていたのに実は買えないとなれば、ユーザー体験を大きく損ねます。

そんなことがないように、マーチャントセンター経由で送信された商品の金額とサイトで本当に購入したときの金額が一致しているかどうかを確認するために Googlebot はショッピングカートに商品を追加するのです。

とはいえ、実際に購入を完了するわけにはいきません。
「購入完了」ボタンを押すことはないのです。

こうして、アクセス解析には離脱が記録されます。

マーチャントセンター利用の EC サイトは注意

マーチャントセンターから送信された URL に Googlebot がアクセスし、クロール・インデックス・キャッシュすることは利用規約に明記されています。
EC サイトは規約を認めたうえでマーチャントセンターを利用するので文句は言えません。

したがって、Google は不正な行いをしているわけではありません。

そうは言っても、カート離脱率に影響を与える可能性があることを、マーチャントセンターを利用している EC サイト管理者は知っておく必要があるでしょう。

Googlebot のカート追加は今に始まった話ではありません。
もう 6、7 年ほど前からやっているとのことです。

現状では、マーチャントセンターを利用しているサイトだけが対象になっています。
ですが将来的には、商品リッチリザルトの構造化データを実装しているサイトでも同様の、カート追加による金額検証が行われるかもしれません。
理由はもちろん、検索結果のリッチリザルトに出ている金額と、購入完了時の金額が一致していることを確かめるためです。

アクセス解析に悪影響を与えない方法を Google は模索しているそうです。
早い段階で解決策を見つけ出してほしいものです。