今でも強い期限切れ中古ドメイン

期限切れした古いドメインを探し出して再取得し、そのドメインが蓄積してきたドメインエイジやバックリンクをいただいてしまうSEOが、数年前から登場しています(もっともこの手法を“SEO”と読んでいいものかどうかという問題はありますが)。

Googleは、ドメインの所有者が代わり以前とは明らかに無関係のサイトになった場合には、それまでの履歴をリセットすることがあると何度もコメントしています。

これは事実で、せっかく良さ気な古いドメインを拾ったのにまったくの期待外れだったということがあるし、最初は順調だったのに「ある日突然」というケースもあります。

しかし、すべてがすべてリセットされるわけでもなく、以前の所有者が得たドメインパワーを欲しいがままに利用(悪用?)できているケースもあります。

そんな一例がWebmasterWorldで報告されました。

投稿したメンバーのライバルサイトがイギリスの銀行がかつて所有していたドメイン名を1年ほど前に取得しました。
大学や信頼度の高いディレクトリ、新聞社サイト、研究機関などからのオーソリティリンクが大量に張られているサイトです。

そして、そのドメインを自分のサイトに301リダイレクトしました。
中身に乏しく薄っぺらでスパミーに見えるアフィリエイトサイトにも関わらず、数百のキーワードでの上位表示を1ヶ月で達成したそうです。

どうにも太刀打ちできないこのメンバーは、卑しいと思いつつも前所有者の銀行にドメインが不正に利用されていることを告げ口しました。

その甲斐あってか、数日後には301リダイレクトは解除されました。
ところが、ライバルサイトの順位は2ヶ月近くたっても下がっていないのです。
Googleが偽りのトラストにだまされ続けていると、投稿者は嘆いています。

期限切れドメインの上に直接サイトを構築するのではなく、301でリダイレクトするというのがさらに巧妙ですね(理由は説明しませんが)。

301解除後も順位が下がらなかった理由は、「リンクの評価が消滅するには時間がかかり、1年から数年かかることがある」という回答が2人から返されています(ペナルティを受けたときは別)。

ドメイン名の所有者が変わったというだけで、それまでの履歴をリセットしてしまうことは必ずしも適切な処置ではありません。
企業の社名変更や吸収合併など正当な事由による場合もあります。

いくつもの条件に照らし合わせて、ゼロからのスタートにするかどうかを判断するアルゴリズムが存在するのでしょうが、その目をかいくぐれば中古ドメインの不正利用はまだ健在のようですね。

とはいえ、期限切れ中古ドメイン取得を推奨するということではありません。
もっとも否定するということでもありません。
効果を持続しているケースも知っているし、いきなり吹っ飛んだケースも知っています。
やるなら自己責任で、ということです。

ただし、企業・組織・団体などの公式サイトに対してはやらない方が無難でしょうね。
ペナルティが怖いもありますが、対外的な信用の問題です。
他人が捨てた期限切れドメイン名を自社サイトにしている会社と取引したいと思いますか?
(たまたま一致してしまったときは、ウェブマスターツールの再審査リクエストからリセットを自己申告できます。)