Search Consoleがレポートしない匿名化されたクエリは「非常にまれ」ではない

[レベル: 上級]

Search Console のパフォーマンスレポートにおける「匿名化されたクエリ」の説明を Google は変更しました。

プライバシー保護の観点から匿名化されたクエリはレポートから除外されます。
クエリデータが不完全になる理由の 1 つです。

「非常にまれ」⇒「いくつかの」

この記事を書いている時点では、日本語ヘルプページは未更新です。
オリジナルの英語ヘルプページの匿名化されたクエリ (anonymized queries) の説明は現在は次のようになっています。

Anonymized queries

匿名化されたクエリ

(匿名化されたクエリと呼ばれる)いくつかのクエリは、ユーザーのプライバシーを保護するために結果に表示されません。……

以前はこうでした。

Anonymized queries

匿名化されたクエリ

(匿名化されたクエリと呼ばれる)非常にまれなクエリは、ユーザーのプライバシーを保護するために結果に表示されません。……

“very rare”(非常にまれな)が “some”(いくつかの)に置き換わりました。
つまり匿名化されたクエリは、めったに発生しないという表現が、それなりに発生するというニュアンスの表現に改められたのです。

重要なクエリだけをレポートする

さらに、クエリに関するそのほかの制限として次の説明が追加されました。

Due to internal limitations, Search Console stores top data rows and not all data rows. As a result, not all queries beyond anonymized queries will be shown. Instead, the focus is on showing you the most important ones for your entire property.

内部的な制限により、Search Console は上位のデータ列を保存し、すべてのデータ列を保存しません。結果として、匿名化されたクエリ以外にもすべてのクエリが表示されるとは限りません。代わりに、プロパティ全体にとって最も重要なクエリを表示することに焦点を当てています。

匿名化されたクエリのほかにもデータとして提供しないクエリがあるとのことです。
全データではなく意味があると判断したクエリデータだけを提供しているそうです。

半分のクエリデータしか SC は提供していないという指摘に対しての修正か?

Search Console で入手できるクエリデータは実際のクエリの半分足らずという衝撃的な調査結果が暴露されました。

“非常にまれな” 匿名化されたクエリが除外されるという仕様だけでは、こんなにも割合が大きいデータの欠落は説明できません。
ひょっとしたら、この調査が巻き起こした疑念を和らげるための修正なのかもしれません。

機能的には変更なし

ヘルプ記事の文言は変わりましたが、検索パフォーマンスのデータ収集方法には変更はありません。
あくまでも、ヘルプ記事の説明が更新されただけです。

サイトによっては大部分のクエリデータを入手できない状態はそのままです。

ということで、はっきり言ってしまえば僕たちにとっては特にメリットのある更新ではありません。
一方で Google にしてみれば、ヘルプに書いてあるからと多少なりとも批判をかわすことに役立ちそうです。

[H/T] Brodie Clark