AI検索はすでに巨大市場に、世界の検索の56%規模という新調査

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AI 検索は言われているよりもずっと多い。世界の検索の 56% は AI 上で行われている。

こんな調査データが公開されました。

ChatGPT や Gemini などの AI チャットでの検索は、従来の検索エンジンと比較すると微々たるものだと多くの調査が示しています。
しかし、まったく相反する調査結果が示されました。

調査結果の概要

調査を実施したのは、Ethan Smith(イーサン・スミス)氏です。
グロース・エージェンシーの Graphite.io の CEO で、Webflow、Adobe、Upwork などの企業を支援しています。
その他の経歴を見る限りでは、それなりに信頼のおける人物のようです。

スミス氏の調査によれば、AI の利用規模はすでに多くの市場推計を大幅に上回っています。
理由は、大半の比較がモバイルアプリのアクティビティを過小評価しており、ChatGPT のウェブトラフィックにのみ焦点を当てすぎているためだといいます。

主要な LLM におけるウェブとアプリのセッションデータを合算すると、AI の利用規模はすでに世界の検索利用の 56%、米国では 34% に相当するとスミス氏は推計しています。

また、AI の普及はモバイル中心であり、利用の大部分はウェブではなくアプリで発生していること、そして ChatGPT が現在の AI 市場を支配していることも指摘しています。

ただし、検索が縮小しているというものではなく、AI が従来の検索に新たな行動を上乗せすることで、検索・発見活動の総量が拡大しているというのが結論です。
Google を含む検索エンジンの利用量は有意には減少していません。
AI は、検索に取って代わるのではなく、市場全体を拡大していると考えられます。

調査方法は後述します。

主要ポイント

調査結果の主要ポイントをまとめます。

  • AI の利用規模は世界で月間 450 億セッション米国で 54 億セッションと推計される。
  • AI の総利用規模は世界の検索の 56%米国では 34% に相当すると推計される。
  • 従来の推計の多くが AI の普及を過小評価してきた理由は、主にウェブトラフィックのみを対象としていたため。実際には世界の AI 利用の 83%、米国では 75% がモバイルアプリで発生しており、ウェブのみの推計は実態の 4〜5 倍の過小評価となっている。
  • 世界全体の AI セッション数は 2025 年 7 月以降横ばいとなっているが、米国の利用は引き続き成長しており、2025 年 12 月は 2024 年 12 月比でおよそ 300% 増となっている。
  • プロンプトのうち「質問型」(検索に相当するもの)は約 52% にすぎず、残りの 48% は検索と比較できない「実行型」または「表現型」のプロンプトである。
  • 検索関連のプロンプトのみに基づくと、AI の規模は世界の検索の 28%米国では 17% と推計される。
  • 検索の利用量は減少していない。検索エンジンと AI の検索類似利用を合算した数値は、2023 年 Q1 と 2025 年 Q4 を比較すると、世界で 26%、米国で 16% 増加している。
  • 検索と AI を組み合わせた発見の総体的な市場における Google のシェアは、2023 年から 2025 年 Q4 にかけて、世界で 89% から 71% へ、米国で 88% から 75% へと低下した。
  • ChatGPT が AI 利用を支配しており、世界でおよそ 89%、米国で 86% のシェアを占めている。
  • ChatGPT は世界の検索関連トラフィックの推計 20%、米国では 12% を占めている。
  • AI の利用は米国外で特に強く、世界全体の AI 利用は米国の 7 倍以上と推計される。
Monthly Sessions Search Engines vs. AI (Worldwide)

AI 検索が普及していることをこの調査は示しています。

しかし、検索市場をゼロサムではないとスミス氏は位置づけています。
AI 検索は成長を続けているとしても、Google や従来の検索が絶対的な規模で崩壊しているという明確な証拠はないからです。

また、調査の主な限界として次の点に触れています。

  • モバイル向けに未検証の Similarweb データへの依存
  • 他の LLM も ChatGPT と同様のプロンプト構成を持つという仮定
  • 調査者(スミス氏)が SEO/AEO エージェンシーの CEO であるという商業的インセンティブ

調査方法

調査方法は次のとおりです。

  • 指標: 主要な検索エンジン 6 つ(Google、Bing、Yahoo、DuckDuckGo、Yandex、Baidu)のウェブ訪問数と、主要な LLM 5 つ(ChatGPT、Gemini、Perplexity、Grok、Claude)の「ウェブ訪問数 + モバイルアプリのセッション数」を比較。
  • 新しい情報: AI の成長を示す他のほとんどの公開データは、LLM のウェブ訪問数のみを対象としている。しかし、利用の 75% ~ 86% はウェブではなくモバイルアプリで行われている。したがって、これまでの他のすべての調査は AI の実際の規模を過小評価している。
  • ソース: Similarweb
  • 再現性: Similarweb ソースへのリンクを除き、すべての生データを含めている。そのため、誰でも独自に情報の正確性を検証することが可能。
  • 訪問数 vs. セッション数: モバイルアプリの信頼できるページビュー数が得られなかったため、ページビュー数は使用していない。また、アプリをまたいで訪問者の重複を排除することができないため、ユニーク訪問者数も使用していない。よって、訪問数とセッション数を合算した。注:これら 2 つの指標は定義がわずかに異なる。

従来の多くの調査とは異なる、非常に興味深い現状データです。

従来の検索ボリュームが減少していないという確証は心強くはあるものの、モバイルも含めると AI の利用規模がウェブのみの推計の 4 倍から 5 倍大きいという知見は、AI 検索における露出はすでに真剣に取り組むべきチャネルであることを示唆しているとも考えられます。

しかし、議論の余地もいくつか存在します。

まず、「プロンプトによる質問」が 52% であるという数値は ChatGPT から推計され、すべての LLM に適用されている点です。
Gemini、Claude、Perplexity をユーザーが利用する際の目的が必ずしも一致していない点を踏まえると、これには無理があるようにも思えます。

また、Google の市場シェア低下も懸念すべき事態に聞こえますが、絶対的な検索ボリュームが横ばいであることを考えれば、従来の SEO による検索トラフィックが依然としてほぼ同等のトラフィックをもたらしている事実に変わりはありません。

さらに、「1 回の ChatGPT セッションが数回分の Google 検索に取って代わる可能性がある」という点にも注意が必要です。
もしこれが大規模に起これば、実際のウェブサイトへのクリック数に与える影響は、セッション比率が示すよりも深刻になる可能性があります。
しかし、この調査ではその点について完全には考慮されていません。

調査者が SEO および AEO エージェンシーの CEO であるという利益相反については開示されているとしても、両方のチャネルに対して都合よく強気な結論が出されている点は、念頭に置いておく必要がありそうです。