サーバー移転するときの注意点 ~ DNS編

「ホスティング会社を乗り換えてウェブサイトを運用するサーバーを移動するときには、SEOという観点から見た場合どんな点に注意すればよいか、また何か問題はあるか」という質問に対して、GoogleのMatt Cutts(マット・カッツ)氏が回答しました。

Will changing hosts cause any SEO concerns?

普通は問題ないよ。

ホスティング会社を変えるけどドメイン名は完全に同じままで、IPアドレスだけが変わるってことだよね。
まったく問題ないね。
特にキミの場合は同じ国の中での移動だからね。
何の影響もないと思う。
僕も何回もサーバーを移動したことがあるけど、問題が起こったことはないよ。

新しいIPアドレスにするときに気を付けることが1つあるとしたら、DNSのTTL(Time To Live)をとても短く、例えば5分くらいにしておくことだ。

DNSはキャッシュを1日保持しておくということがときどきあるから、DNSルックアップに対して古いIPアドレスを返してしまうかもしれない。

新旧の両方のサーバーを稼働させておいて、TTLを5分くらい短くしたうえで古いIPアドレスから新しいIPアドレスに向くようにDNSを変更するんだ。
そうすれば5分以内にキャッシュがクリアされて、新しいサーバーでのページをみんなが見れるようになるだろう。

Googlebotが新しいページに訪問するとすぐにIPアドレスが変わったことに気づいて、正しい情報に整えてくれるよ。

ブラウザなどが理由でキャッシュがクリアされないとしても、両方の場所とIPアドレスでサイトを動かしたままにしておけばユーザーはアクセス可能だ。
24時間もあればたいていはキャッシュは更新されるだろう。

IPアドレスを変更したことで何か問題が起こったとがあるとは、これまで聞いたことがないよ。
だからSEOという観点からすれば何も心配しなくていい。

まず、TTLの説明からしましょう。

”TTL(Time To Live)”というのは、DNSキャッシュの「生存期間」のことです。
DNSは「ドメイン名」(正確には「ホスト名」)をIPアドレスに解決(変換)するサービスです。

ドメイン名とIPアドレスの対応を1つのDNSで管理しているわけではなく、分散して管理しています。
管理元のDNSに問い合わせてIPアドレス(やその他のDNS情報)をいったん取得すると、その情報を一定期間キャッシュとして保持しておきます。

大元のDNSにたどり着くまでに問い合わせた途中のDNSもキャッシュするし、ブラウザ(正確にはOS(のリゾルバ)かな)もキャッシュすることがあります。

同じサイトにアクセスするときに前の情報を覚えておけば、再度クエリを出す必要がありませんね。
ムダな通信を発生させないし、パフォーマンスもよくなります。

インターネットにはそれ自身ではオリジナルのDNS情報を管理せず、キャッシュだけを提供するキャッシュ専用のDNSサーバーも存在するほどです。

このキャッシュを保持する時間をDNS側で指定するのが”TTL”になります。

長ければ長いほどずっと保存されることになるので、その分通信は発生しません。
でも更新があった場合でも、自分がコピーとしてキャッシュしている古い情報を見たままになってしまうことがあります。

今回のサーバー移転のケースで言うと、ホスティング会社を移動してサーバーが変わった、つまりIPアドレスが変わったのに前のサーバーのIPアドレスにアクセスしてしまうことがありうるわけです。

キャッシュの有効期限を短くしておけば、DNSへの問い合わせが発生したときにはすでにキャッシュがクリアされており最新の情報を再び取得しに行く、という流れになります。

ただし指定した時間内にすべてのコンピュータでキャッシュがクリアされる保証はないので、しばらくの間は新旧両方のサーバーでサイトを稼働させたままにしておくと安心です(Matt Cutts氏は24時間と言っています)。

更新前のキャッシュを見て前のサーバー(IPアドレス)にアクセスしても、サイトを閲覧できます(でも新規に公開されたコンテンツは見れないですね)。

サーバーの移転時にはこの他にも注意すべき点がたくさんありますが、DNSに限っていてばMatt Cutts氏が説明したことを守れば、問題は起こらないでしょう。

僕も、1年少し前にこのブログのサーバーを移転しました。
アクセス現象などのトラブルは発生しませんでした。

レンタルサーバーによっては、自分でDNSのレコードを編集できずTTLを変更できないこともあるはずです。
その場合は少し長め、2~3日の間 新旧両方のサーバーを動かしたままにしておけばいいでしょう。