Google AIオーバービューのUX調査、クエリの 40% は「AIOですべて回答」として終了

[レベル: 上級]

Google の AI Overview(AI による概要)およびその他の検索エンジン結果ページ機能に対するユーザーインタラクションを Kelvin Indig(ケルビン・インディグ)氏が調査しました。
この種では初となる画期的なユーザビリティ調査です。

主な数値データ

まず、調査から判明した主な数値データを抜き出します。

AIO へのエンゲージメント

  • ユーザーの 88% が「もっと見る」をクリック
  • 平均スクロール深度 75%、中央値 30%
  • 86% がざっと読み
  • 滞在時間は 30〜45 秒
  • クエリの 40% は「AIOですべて回答」として終了

クエリ種別ごとのスクロール深度

  • DIY: 54%
  • 健康 (YMYL): 52%
  • 金融 (YMYL): 46%
  • 意思決定タイミング: 41%
  • プロモーションコード: 34%

デバイスと年齢の影響

  • モバイルユーザーのスクロール深度は 54% で、デスクトップの 29% を上回る
  • モバイルの 25〜34 歳は 2 件に 1 件の割合で AIO を最終回答として選択

クリック行動

  • AIO 内リンクのクリックはデスクトップが 7.4%、モバイルが 19%
  • ユーザーの 80% は AIO を通り過ぎる
  • AIO が出現しない場合の CTR はデスクトップが 28%、モバイルが 38%
  • AIO が表示されるとデスクトップ CTR は約 3 分の 1 に低下

AIO に対するユーザーエンゲージメント

AIO は迅速な回答を提供する一方で、ユーザーエンゲージメントは大きく異なることが明らかになりました。

ユーザーの 88% が、省略された AIO を展開するために「もっと見る」をクリックしました。
しかし、AIO パネル内のスクロール深度の中央値はパネルの高さのわずか 30% でした。
ほとんどのユーザーが AIO コンテンツの上部 3 分の 1 だけを流し読みしているを示しています。

ブランドの引用や言及が AIO のできるだけ早い段階で表示される必要があるとインディグ氏は指摘しています。

平均スクロール深度は 75% と高くなりました。ただし、この結果は AIO の最下部までスクロールした少数のユーザーによって歪められています。

AIO 内の滞在時間は平均 30〜45 秒でした。
表面的なインタラクションではなく、意味のあるエンゲージメントを示唆しています。

興味深いことに、被験者の 86% が AIO を「ざっと目を通した」と報告しており、すべてを詳細に読むのではなく主要な洞察を探していました。

AIO が生成した要約に対する信頼度は比較的高く、4 を高い信頼度とする評価尺度で平均 3.4 でした。

調査では、スクロール深度と表明された信頼度の間に正の相関関係(0.38)が見られました
つまり、より深くスクロールし、より上位に引用された明確な情報源を見たユーザーは、AIO をより信頼する傾向がありました。

若いユーザー(25〜34歳)とモバイルユーザーは、AIO をより深くスクロールする可能性が高くなりました。
具体的には、モバイルユーザーの平均スクロール深度は 54% であったのに対し、デスクトップユーザーは 29% でした。

ユーザーはまた、健康(平均スクロール深度 52%)や金融(平均スクロール深度 46%)に関連するような、いわゆる YMYL の度合いが高いクエリに対しては、プロモーションコード(平均スクロール深度34%)のような YMYL 度が低いな検索と比較して、AIO により深く関与しました。

CTR とトラフィックへの影響

AIO の存在は、クリックスルー率(CTR)に大きな影響を与えます。

調査によると、AIO が表示されると、デスクトップの外部向け CTR は最大で 3 分の 2 減少する可能性があります。
モバイルの外部向け CTR も影響を受け、クリックのほぼ半分を失います。

全体として、AIO が存在しない場合、外部向けクリック率はデスクトップで平均 28%、モバイルで平均 38% です。

それにもかかわらず、収益化可能なクエリに対しては、ユーザーの 5 人中 4 人が依然として AIO を通過していました。
これは、従来のオーガニック検索結果や有料検索結果でのランキングの重要性が継続していることを表しています。

トランザクションクエリや商用クエリの場合、回答のほとんど(デスクトップで 81%、モバイルで 78%)は、オーガニックリンク、ディスカッションフォーラム、強調スニペット、広告などの AIO 以外の検索結果から得られていました。

AIO パネル自体の中では、モバイル参加者の 19%が引用関連要素(「もっと見る」を除く)をクリックしました。
しかし、デスクトップユーザーではわずか7.4%でした。これは、AIOが主に読み取り専用の要約として扱われ、外部向けトラフィックは例外であることを示しています。

新しい意思決定フィルター:信頼と権威

重要な発見は、ユーザーが結果を選択する方法の変化です。

この調査は、新しい 2 段階の意思決定フィルターを示唆しています。
ユーザーはまず「この結果を信頼できるか?」と自問し、次に「この結果は私の質問に答えているか?」と考えます。
情報源の信頼性が主要なクリック動機となっています。

認知されたブランド、権威サイト(.gov または.edu)、または馴染みのある情報源は、そのようなリンクが存在する場合、58% のケースで最初に選択されました。

AIO またはブルーリンクを最初に読んだ後、ユーザーの 18% が、検証のために依然として Reddit スレッド、YouTube 動画、または 2 番目のオーガニック結果を開きました。
スニペットの関連性とページ上部の視認性も役割を果たしますが、それは信頼が確立された後でのみです。
最初の画面のリンクは 71%の確率で選択され、ユーザーはリスクの高いトピックの場合にのみさらにスクロールしました。

人口統計とデバイスの影響

ユーザーの行動は、人口統計と使用するデバイスによっても形成されます。

若いユーザー(18〜24 歳および 25〜34 歳の年齢層)は、従来のオーガニックリンクに大きく依存している古い人口統計と比較して、最終的な回答として AIO を選択する傾向が高くなっています(それぞれ 42% と 50%)。
たとえば、55 歳以上のユーザーの 100% が、AIO よりもオーガニックリンクを選択しました。

モバイルユーザーは、AIO をより深く掘り下げる傾向があり(デスクトップの 0.35 に対して平均スクロール深度 0.62)、またより多くクリックアウトします。
これは、モバイルのスニペットと構造化データがより精査されるため、モバイル検索ではより重要であることを示唆しています。

以上です。

調査方法を含めた調査結果の詳細は元記事を参照してください。

AIO が表示されると CTR 下がるのは、やはりそのとおりでした。
でも、80% は AIO を通り過ぎるというのはやや意外でもあります。
オーガニック検索が、完全に見られなくなったということでもないようです。

若いユーザーが AIO を好んで利用するというのは、Google の発表どおりでした。