[レベル: 上級]
ChatGPT のショッピング検索を OpenAI が先日リリースしました。
体験レポート記事を書いたときには、(日本語には対応しているものの)日本からでは利用できませんでした。
しかし、現在は日本からでも利用でき、日本の EC サイトで販売している商品がショッピング結果に掲載されます。


この記事では、ChatGPT が。何を基準にしてどのようにショッピング結果に商品を掲載するのかを、公開されているドキュメントをもとに確認します。
商品が最初に選択、表示されるプロセス
商品の購入意図を含むと判断できる質問(例:「女性用の暖かい冬のコートを探して」)をユーザーが ChatGPT に入力すると、ChatGPT は次のような要因に基づいて表示する商品を選択します。
ユーザーの明示的な意図と質問
- 内容:最も直接的な要因で、ユーザーがメッセージで具体的に尋ねた内容に合致したものを提示する。
例:「犬2匹用のコスチュームを探しています。」
コンテキストとパーソナライズ
- メモリ:以前の会話や自身に関する事実を記憶することを ChatGPT にユーザーが許可している場合、この情報が商品の提案に影響を与えることがある。
- カスタム指示:ユーザーが ChatGPT に与えた、好みに関する継続的な指示が使用されることがある。
- ユーザー固有の基準:質問で提供される詳細(例:「2匹の大型犬用」「面白いコスチューム」、予算「30ドル」など)。
- 過去の好み/嫌いなもの:以前に、何かを嫌いだとChatGPT に伝えた場合(例:「ピエロのコスチューム」は好きじゃない)、それらを避けて表示することがある。
一般的な商品の要因
- 価格:商品の費用
- 顧客評価:他の購入者が商品をどのように評価したか
- 使いやすさ:商品がどれほどシンプルで便利に使用できるか(該当する場合)
選択のためのデータソース
- サードパーティの構造化メタデータ:ChatGPT は、外部企業から提供される整理された情報(価格、商品説明、カテゴリなど)を使用する。
- ChatGPT の以前の内部応答:新しい検索結果を表示する前に、ChatGPT は、自身が生成した応答やトピックの理解を考慮することがある。
- OpenAI の安全基準:OpenAI の安全ガイドラインに商品は準拠する必要がある。
動的な要因の重み付け
- 各要因の重要性は、ユーザーの質問に基づいて変わることがある。
例:ユーザーが「30ドルの予算」を指定した場合、価格がより重要な要因になる。価格が言及されない場合、機能や評価などの他の側面が優先されることがある。
非広告ポリシー
- 表示される商品は、関連性に基づいて ChatGPT が独立して選択したものであり、有料広告ではない。
ショッピング結果での商品情報の表示
商品が選択されると、次のような機能とともに ChatGPT は表示します。
- ビジュアル カルーセル:商品は多くの場合、画像付きで横スクロールする、視覚的に目立つ形式で表示される。
- 商品詳細:各商品に関する主要な情報を提供される。
- 販売業者のウェブサイトへのリンク:販売業者のウェブサイトを訪れて詳細を確認したり購入したりできるように、直接リンクが提供される。
- 簡略化されたタイトルと説明:異なる販売業者が同じ商品を異なる方法で説明する場合があるため、ChatGPT は、サードパーティから得た商品のタイトルや説明を言い換えたり短縮したりして、より明確で一貫性のあるものにすることがある。
- 画像上の特徴ラベル(例:「お手頃価格」「人気商品」):これらは ChatGPT が持つ情報(サードパーティのデータを含む)に基づいて生成されたラベル。
注:これらは保証や検証された記述ではなく、市場全体を反映していない場合がある。たとえば、「お手頃価格」というラベルは、レビュー担当者が価値が高いと判断したことを意味する可能性があり、必ずしも絶対的に最も安いことを意味するわけではない。 - 商品レビューの要約:ChatGPT は公開ウェブサイトの顧客レビューの要約を生成し、商品に関する一般的な好みや不満点を強調表示することができる。
- 星評価と件数:これらはサードパーティの情報源から提供され、集約(統合)される場合がある。
注:ChatGPT 上の集約された評価は、特定の単一ウェブサイト上の評価と完全に一致しない場合がある。一部の情報源を確認するためのリンクが提供されることがある。
価格情報
商品価格は次の要因で決定されます。
- 価格の情報源:価格はサードパーティのプロバイダーから提供される。
- 初期価格表示:最初に表示される価格は、通常、その商品に対して最初にリストされた販売業者の価格を反映している。これは購入可能な最低価格ではない場合がある。
- 複数の価格オプション:商品またはその価格をクリックすると、同じ商品を販売している他の販売業者からの追加の価格オプションが表示されることがある。
次の理由により、ChatGPT が提示した価格が実際とは異なる場合があります。
- 販売業者の価格設定や配送条件の更新が ChatGPT に反映されるまでに遅延が生じる場合がある。
- 表示される推定税金および配送料が、最終的な費用と異なる場合がある。
OAI-SearchBot のクロールを許可する
OAI-SearchBot は、ChatGPTが検索機能で情報を見つけて提示するために利用するウェブクローラーです。
自身のサイトのコンテンツが ChatGPT 内でインデックスされ発見可能になるように、robots.txt
ファイルで OAI-SearchBot をブロックしていないことを確認します。
OAI-SearchBot がページをクロールできない状態だと、ショッピング結果に掲載されません。
なお、OAI-SearchBot の主な役割は、ChatGPT の検索機能内でウェブサイトにリンクし表示することです。
OpenAI の生成 AI 基盤モデルを訓練するためのコンテンツ収集には OAI-SearchBot は 使用されません。
トラフィックの帰属
ChatGPT はリファラー URL に utm_source=chatgpt.com
という UTM パラメータを自動的に付加します。このパラメータを追跡すれば、Google Analytics のような分析プラットフォームを使って検索結果からの流入トラフィックを明確に追跡できます。
興味関心フォームに登録する
ChatGPT がショッピング結果に掲載する基準や条件を、ここまで解説しました。
これに加えて、サイト側から OpenAI に商品の詳細情報をフィード経由で送信できるようになります。
フィード送信の仕組みはまだ準備中ですが、興味関心フォームに登録しておくことで、フィード送信が開始されたときに通知を受け取れます。

Google の Marchant Center に相当する機能だと思われます。
EC サイト管理者は登録しておくことを強く推奨します。
この記事で解説できる公式情報は以上です。
商品名や価格、評価などの商品情報をサードパーティから取得しているとのことでした。
API などで直接供与してもらっているのか、それともクロールして収集しているのか、あるいはその両方なのか気になります。
また、ドキュメントを読む限りでは、ChatGPT のショッピング結果はパーソナライズの影響が強く出るような予感がします。
独自分析しても、それが他の多くのユーザーの結果とは本当には一致していない可能性も意識する必要がありそうです。
ChatGPT ショッピング検索はまだ始まったばかりです。
現状では、まだ精錬されてない点も見受けられます。
今後の改良にも注目です。