Google、WebMCPの早期プレビューを公開――schema.org の次は WebMCPか?AIエージェント向けに「アクション」を標準化する時代へ

[レベル: 上級]

Google は、WebMCP (Web Model Context Protocol)早期プレビュー版を公開しました。

WebMCP は、ウェブサイトの機能を AI エージェントが直接使える構造化された「ツール」 として公開するための W3C Community Group で策定中の Web 標準 です。
これにより AI は従来の画面読み取りや DOM 操作に頼らず、ウェブサイトが公開した機能を安全かつ確実に呼び出せるようになります。

Chrome などのブラウザで試験的に実装可能になりましたが、WebMCP はまだ正式リリース前の仕様です。
それでも将来的に SEO にも関わってくるかもしれないので、この記事で紹介します。

WebMCP を理解する3つのポイント

WebMCP は新しい技術です。
僕自身も詳しくないため調べました。
特徴を簡潔にまとめます。

1. ウェブサイトを「AI 用機能公開」に対応

WebMCP に対応すると、次のような具体的な操作を AI エージェント向けに構造化された機能(ツール)としてサイト側が公開できます。

  • 商品を購入する
  • 航空券を予約する
  • サポートチケットを発行する

2. ブラウザがインターフェイスになる

WebMCP は navigator.modelContext API を使って、AI エージェントがそのとき開いている Web サイトの機能を安全に呼び出せる仕組みを提供します。

3. MCP から発想を受けたウェブ版標準

WebMCP は MCP (Model Context Protocol) の考え方を ウェブブラウザ向けに応用したものです。
ウェブページが AI に公開するツールを標準化して定義します。

※MCPは、AI アプリケーションがローカルサービスや外部ツールに安全にアクセスするための標準プロトコル。Anthropic が開発した。ファイルシステム、データベース、API などへの AI の統一的な接続を可能にする

WebMCP の利点

WebMCP には次のような利点があります。

確実な操作

AI が画面のボタンを間違えて押すリスクが減り、予約や購入などの具体的アクションをより正確に実行できます。

開発の簡素化

ウェブ開発者は、個別の AI ごとのスクレイピングや DOM 操作コードを書くのではなく、WebMCP のルールに沿って機能を公開するだけで、複数の AI エージェントに対応可能になります。

シームレスな体験

ブラウザでサイトを開くだけで、AI が、そのサイトの機能を理解しユーザーの代わりにタスクをこなす体験が進みます。

WebMCP が SEO にとって重要な理由

将来的に、WebMCP が SEO にとって重要になるかもしれない理由を参考リソース(後述)をもとにまとめました。

  • 「動詞」の標準化――schema.org がウェブ上の「名詞」(エンティティ)を定義したのに対し、 WebMCP は AI エージェントが実行できる「動詞」(アクション)を標準化する。
  • 不安定なスクレイピングからの脱却――従来の視覚的なスクレイピングに頼る方法は信頼性・拡張性に欠けるが、 WebMCP は AI エージェントがサイトの機能を直接理解・操作できる、確実で構造化された手段を提供する。
  • 新しいテクニカル SEO の規律――「ツールの発見可能性」が新しいインデックスの問題となり、ツールの名前や説明文が従来のメタタグやメタディスクリプションのような重要な役割を果たす。
  • エージェント向け CRO の創出――AI エージェントが予約や購入をスムーズに完了できるように最適化する、エージェント向けコンバージョン率最適化( Agentic CRO )という新しい専門分野が生まれる可能性がある。
  • 取引の信頼性と正確性――EC のチェックアウトや予約など、正確性が不可欠な高意図なアクションにおいて、 AI がミスなく確実にプロセスを完了できる基盤となる。
  • オープンな標準規格としての普及――W3C のもとで Google や Microsoft が推進しており、特定の AI モデルに依存せず、ブラウザレベルで動作する相互運用可能な規格である。
  • エージェント時代における存在感の維持――AI エージェントがユーザーに代わってアクションを実行する世界では、 WebMCP に対応していないサイトは AI の選択肢から外れ、実質的に「存在しない」も同然になるリスクがある。

【参考リソース】

2011 年 6 月に schema.org が公開されました。
発表当時は、SEO に精通している人たちは歓喜に沸いたものの、一般的なウェブ担当者にとっては難解な技術だったし、利用価値を想起しにくかったように思います。
しかしながら、schema.org による構造化データの実装は今となっては SEO に必須です。

schema.org がウェブ上の「エンティティ」を定義したのに対し、WebMCP は AI エージェント向けに「アクション」を標準化します。

昨日の記事で紹介した、AI Mode の UCP サポートのように、今後は AI エージェントの普及が進みそうです。
AI エージェントが普及すれば、WebMCP は間違いなく必須になるでしょう。

AI 検索最適化よりも AI エージェント最適化の方が大切になる未来も想像できそうです。

WebMCP は策定中であり、正式仕様が定まったわけではありません。
今すぐどうこうではありませんが、アンテナは張っておきましょう。