Passage IndexingをGoogleが導入。ページ内の特定の部分だけをランキングの対象に。検索結果の 7 %に影響。

[レベル: 中級]

一般的に言って、ページ全体を Google はインデックスしてクエリに対する関連性を評価します。
しかし、ページの中の特定の一部分だけを対象にして関連性を評価できるように検索システムを変更します。

検索のさまざまな新機能を紹介する Search On 2020 というイベントを 10 月 15 日に Google はオンラインで開催しました。
このイベントのなかで発表された機能の 1 つです。

限定したクエリに対応する Passage-Based Indexing

ページの特定の部分だけを評価対象にする仕組みのことを Google は “Passage-Based Indexing” と表現しています。
“Passage” は、一節の意味です。
ここでは、一文とか一段落と置き換えてかまいません。

非常に限定的なニッチなクエリでユーザーが検索したとき、そのクエリに対して最も適切な回答がページのずっと下の方に書かれているほんの一文の場合がありえます。
ページ全体としてはクエリに対する関連性はさほど高くはないものの、その一文に限って言えばドンピシャリの内容というケースです。

これまで Google はページ全体で関連性を判断してきました。
この状態だと、最も関連性が高い一文を見逃してしまうことになります。
しかしながら、Passage-Based Indexing であればページ内の一部分を対象にして関連性を評価できるのです。

たとえば、[how can I determine if my house windows are UV glass](家の窓が UV カットのガラスかどうかをどうやったら調べられるか)とユーザーが検索したとします。
現状では、UV カットに関するさまざまなウェブページを検索結果で返します。
ところが、このクエリは非常に限定的なのでそのクエリに対して説明したページが存在しないかもしれません。
ひょっとしたら、DIY フォーラムで投稿された回答の一部分にぴったりの説明があるかもしれません。

その DIY フォーラムのスレッドのページを全体として見たときにクエリとの関連性がもし低かったとしたら、Google はそのページを検索結果の上位には表示しないでしょう。
ページ全体で関連性を判断するからです。

ですが、Passage-Based Indexing は一部分だけを抜き出して判断できるのです。
その結果、DIY フォーラムの回答の一文を上位表示できます。

検索結果の 7 %に影響

来月(2020 年 11 月)に Passage-Based Indexing を導入する予定です。
導入したとすると、全言語で 7% のクエリに影響するとのことです(グローバルでの導入ですが、Search Engine Land によれば、まず米国での英語の検索から開始するようです)。

7% ということは、かなりの変動が予想されます。

【UPDATE (2020/10/20)】
米国の英語検索からの導入だと確認できました。
11 月の予定ですが、具体的な日にちは決まっていないとのことです。
そのほかの国・言語での導入時期は未定です。

インデックス システムの変更ではない

Passage-Based Indexing と聞くと、Mobile-First Indexing のようにインデックス システムの変更のように響きます。
しかし、インデックス システムの変更ではありません。

インデックス自体は従来どおりページ単位です。
一節、一節をインデックスするわけではありません。

クエリに対する関連性を判断する際に、ページの中の一節だけを対象にできるようにシステムが改良されました。
当然のことながら、AI がもたらした革新です。

幅広いクエリをサブトピックで分類

Passage-Based Indexing は非常に特定されたニッチなクエリに対する改良です。
逆に、幅広いクエリはどうでしょうか?

外出機会が減っているので、家の中で運動したい人が増えています。
[home exercise equipment](ホームエクササイズ器具)で検索したとします。

家で使える運動器具にはさまざまな種類があります。
かなり”ふんわり”とした検索なので、どのページが最も関連性が高いかを判断するのは困難です。

検索したユーザーの背景によっても、適した運動器具は異なってくるはずです。
20 代の女性と 60 代の男性では求める運動器具は違ってくるでしょう。
普段からジムに通っている人と、普段はほとんど運動しない人でも求めている器具は違うでしょう。

こうした対象範囲が広いクエリに対しても Google は改良を加えました。

たとえば、ホームエクササイズ器具には次のような切り口が考えられます。

  • 種類
  • 狭いスペース向け
  • 低予算
  • 上級品

対象範囲が広いクエリに対しては、そのページで扱っている器具がどんな特徴を持つかを “サブトピック (subtopic)”として Google は(AI を用いて)分類します。
サブトピックによって、ユーザーは自分に適した器具を選べるのです。

サブトピックをどのような形式で検索結果で表示するのかは発表でははっきりしません。
ラベルが付くのか? フィルタできるのか?

幅広いクエリをサブトピックで仕分けする機能は年内に導入するとのことです。
近いうちにもっと詳しいことがわかるでしょう。

限定したクエリに対する Passage-Based Indexing と、対象範囲が広いクエリに対するサブトピックという Google 検索の新しいシステムについてこの記事では紹介しました。

Search On 2020 ではほかにもさまざまな新機能を Google は発表しました。
オフィシャルブログでも記事として紹介しています。

そのほかの新機能についても注目に値するものはこのブログで解説していきます。

【この記事の関連動画】