オートコンプリートのクエリ候補をGoogle検索はどのようにして生成しているのか

[レベル: 初級]

オートコンプリートという機能によって検索クエリの候補を Google 検索は提案します。
このオートコンプリート機能によって検索候補がどのように生成されるかを公式ブログが解説しました。

面白い内容なので、この記事で要点をまとめて紹介します。

オートコンプリートに影響する要因

次のような要因によってオートコンプリートは検索候補を生成します。

  • 多くのユーザーが検索しているクエリ
  • 検索数が増えているクエリ
  • 検索ユーザーの言語
  • 検索ユーザーがいる場所
  • クエリ全体
  • 新しさ
  • 検索対象のトピック

「多くのユーザーが検索しているクエリ」と「検索数が増えているクエリ」はオートコンプリートのベースです。
特に説明は不要でしょう。

ユーザーが使っている言語にもオートコンプリートは依存します。
日本語で検索する場合と英語で検索する場合では候補は異なります。

「検索ユーザーがいる場所」もオートコンプリートに関わってきます。
左は東京(新宿)での [自動車免許更新] のオートコンプリートです。
右は北海道(札幌)での [自動車免許更新] のオートコンプリートです。

「自動車免許更新」のオートコンプリート

東京にいるユーザーに「自動車免許更新 帯広」の候補を提示しても役にたたないでしょう。

「クエリ全体」は説明が必要です。
たとえば、[the name of the thing at the front of ○○](○○の先端にあるものの名前)のクエリはそう多くはありません。
一方で、[the front of a ship](船の先端)や [the front of a car](車の先端)のクエリはたくさん検索されます。

そこでオートコンプリートは [the name of the thing at the front of] が打ち込まれると、[the front of] から予測して [the name of the thing at the front of a ship] や [the name of the thing at the front of a car] を提案します。

the name of the thing at the front of のオートコンプリート

クエリ全体を見るオートコンプリートは日本語でも適用されていると思うのですが、いい例が見つかりませんでした。

「新しさ」もオートコンプリートに影響します。
たとえそれまで検索数が少なく稀なクエリだったとしても、突如としてみんなが検索し始めるとオートコンプリートに表示されるかもしれません。

「検索対象のトピック」はクエリのトピックに特に関連した候補を提示する場合です。

[ロンドンおすすめ] と [ニューヨークおすすめ] は類似したクエリです。
同じクエリカテゴリに分類できるでしょう。

おすすめのオートコンプリート

しかしながら、[ロンドンおすすめ] のオートコンプリートには [ステーキ] や [チーズケーキ] は出てきません。
[ニューヨークおすすめ] のオートコンプリートには [アフタヌーンティー] は出てきません。

ニューヨークでアフタヌーンティーを楽しみたいという旅行者はいなくはないかもしれませんが、かなり珍しいはずで検索候補として役にたつとは思えません。

公式ブログでは言及していませんが、直前のクエリもオートコンプリートに影響を与えることがあります。

どちらも [リンゴ] のオートコンプリートです。
しかし右は直前に [バナナ] を検索しています。
オートコンプリートの候補が異なっています。

リンゴのオートコンプリート

バナナの影響を受けていますね🍌

オートコンプリートに出ないクエリ候補

検索数が多かったり増えてきたりしたクエリでもオートコンプリートの候補に出てこないものもあります。

典型的なパターンはオートコンプリート ポリシーに違反する予測です。

次のようなパターンに当てはまる場合は候補に出てきません。

  • 暴力的または残虐な内容の検索候補
  • 露骨な性的表現、下品な表現、冒とく的な内容を含む検索候補
  • 特定の集団に対して差別的な内容の検索候補
  • 著名人に対する不適切かつ中傷的な検索候補
  • 危険な検索候補

また、オートコンプリートによってクエリ候補を提示することで、特定のクエリを検索させないようにしているのではないかという疑念があるようですがそれは違います。
オートコンプリートは検索結果を操るものではなく、純粋に候補を提案しているにすぎません。

オートコンプリートの仕組みの説明は以上です。
詳しい人にとっては新しい情報はなかったかもしれません。
それでも普段お世話になっているオートコンプリートの裏側は興味深い内容だったはずです。