自社ビジネスに対する自己レビューのリッチリザルトを今後は表示しない、Googleが条件を変更

[レベル: 中級]

レビューのリッチリザルトの条件を Google は変更しました

具体的には、レビューリッチリザルトの対象を限定しました。
加えて、自社に対するレビューをリッチリザルトの対象から除外しました。

レビューの対象となるタイプを制限

レビューの構造化データでマークアップすると、検索結果に ★ の数で示した評価やレビューの数をリッチリザルトとして表示できます。

レビューのリッチリザルト

技術的には、(ほぼ)すべてのタイプにレビューの構造化データを設定できます。
しかし今回の変更では、ウェブ検索でレビューリッチリザルトの対象になるタイプを Google は限定しました。

次のタイプ、およびそのサブタイプです。

レビューリッチリザルトの対象になるのは、上に挙げたタイプとそのサブタイプだけになります。

これ以外のタイプをレビューの構造化データでマークアップすることは可能だし、技術的には何も問題ありません。
ですが、Google 検索でのリッチリザルトの対象にならなくなります。

補足: サブタイプとは

schema.org のタイプは階層構造になっています。

たとえば、Organization(組織)の下には、細分化した Corporation(企業)や SportsOrganization(スポーツ組織)があります。
Article(記事)の下には、NewsArticle(ニュース記事)があります。
BlogPosting(ブログ投稿)は、Article の下の SocialMediaPosting(ソーシャルメディアの投稿)のさらに下にあります。

ちなみに Article は CreativeWork のサブタイプです。
CreativeWork は Thing のサブタイプです。
Thing は schema.org の最上位階層です。
Organization も Thing のサブタイプです。

schema.org でマークアップする際は、エンティティをより明確に定義できるようにサブタイプの使用が推奨されます。

サブタイプに何があるかは、各タイプを解説するページの下部にある More Specific Types でわかります。

More Specific Types

そのタイプがどのタイプのサブタイプかは、パンくずリストでわかります。

Thing > Organization > Corporation

完全な階層構造の体系はこちらのページで確認できます。

自社に対するレビューリッチリザルトを除外

自身が運営する組織や企業、店舗に対するレビュー構造化データがリッチリザルトの対象から外れました。
self-serving レビューと Google は呼んでいます。

具体的には、LocalBusiness と Organization とそのサブタイプの self-serving レビューが除外の対象です。

たとえば、株式会社Faber Company が自社サイトで Organization のサブタイプである Corporation でマークアップしたとします。
顧客から集めた自社に対するレビューを構造化データに追加しても、リッチリザルトは出てきません。

品川プリンスホテルが、自分のサイトで顧客レビューを Hotel 構造化データ(LocalBusiness のサブタイプ)に追加したとしても、リッチリザルトは出てきません。

注意したいのは、あくまでも self-serving、つまり自分自身に対するレビューを自分のサイトの構造化データで構成した場合です。
Expedia が品川プリンスホテルのレビューを構造化データでマークアップした場合は、これまでどおりリッチリザルトの対象になります(詳しくは後述)。

name プロパティが必須に

今回の変更に伴い、name プロパティが必須になりました。
レビュー対象のエンティティに対する name プロパティを必ず記述します。

name プロパティがない状態だと、たとえ自社レビューでなくてもリッチリザルトが表示されなくなる可能性があります。
実装済みの構造化データを確認して、name プロパティがなければ追加しましょう。

self-serving レビューについてよくある質問

以下は、今回の変更にともなうよくある質問です。
公式アナウンスに書かれているものを多少アレンジし、ほかにも出てきそうな質問をさらに追加しています。

自社ビジネスについてのレビューを表示するウィジェットを使用している場合はどうなるのか?

こうしたページに対してもリッチリザルトを表示しません。
サードパーティ製のウィジェットであっても self-serving のレビューとしてみなされます。

たとえば、ホテル予約サイト(例: TripAdvisor)が集めた掲載ホテルの評価/レビューを、そのホテルが自分のサイトにも表示できるウィジェットを提供していたとします。
レビューを集めたのは第三者(ホテル予約サイト)だったとしても自ホテルに対するレビューになるので、リッチリザルトの対象から外れます。
自分で集めたものであろうが他者が集めたものであろうが関係ありません。

self-serving レビューに相当する構造化データを LocalBusiness や Organization から削除する必要があるか?

削除する必要はありません。
self-serving レビューに該当する構造化データがあったとしても、今後は検索結果にリッチリザルトが表示されなくなるだけです。

self-serving レビューがあると手動の対策を受けるのか?

self-serving レビューがあるということが理由で手動対策を受けることはありません。
とは言え、構造化データのガイドラインには従うことが推奨されます。

今回の変更に従っていなかったとしても、俗に言うペナルティを受けたりはしません。
単純に、例外なく、self-serving レビューを検索結果に表示しないようなっただけです。

たとえ、自社ビジネスに対してであろうが、構造化データでレビュー/評価をマークアップすること自体はまったく問題ありません(虚偽のデータを設定するのは言うまでもなく悪いこと)。
あくまでも、Google 検索におけるリッチリザルトに関する扱いの変更です。

Google マイビジネスのプロフィールやリスティングには影響するか?

しません。
Google マイビジネスとは、今回の変更は関係ありあせん。
オーガニック検索だけに関する変更です。

もっとも、Google マイビジネスに集まった評価とレビューを参考にして、構造化データで自サイトにマークアップするのは self-serving レビューになるのでダメです。

ほかのビジネスに関するレビューを集めているサイトにも影響するのか?

しません。
ほかの組織のレビューであれば、今までどおりリッチリザルトは検索結果に表示されます。

ホテル予約サイトが、掲載ホテルのレビュー評価を構造化データでマークアップしていたら、そのホテルのページが検索検索に出てきたときは今までどおりリッチリザルトが表示されます。
たとえば、Expedia や Trivago はこれまでと変わらずリッチリザルトを表示できます。

何度も言うように、(Organization と LocalBusiness に該当する)自分のビジネスに対するレビュー/評価のリッチリザルトが表示されなくなります。
Expedia や Trivago が、掲載ホテルではなく自社に対するレビューを会社概要ページでマークアップしていたとしたら、それはリッチリザルトの対象にはなりません。

AggregateRating にも適用されるのか?

AggregateRating(総合評価)の構造化データにも適用されます。
リッチリザルトの ★ の数を指定するのが AggregatingRating です。

自己レビューが依然として検索結果に出ていたらどうやって報告できるか?

必要であれば専用のフォームの作成を検討しているとのことです。
ただし、変更はゆっくりと展開しているのでしばらくは 自社ビジネスのリッチリザルトが出ている検索結果を見るかもしれません。

自社製品や自社サービスの評価/レビューも禁止になったのか?

禁止になったのは、LocalBusiness と Organization(とそのサブタイプ)の self-serving レビューです。
たとえば、Google が、Google という会社 (Corporation) に対するレビューを構造化データでマークアップしたら、self-serving レビューになるのでリッチリザルトの対象外です。
一方、Google が、自社が販売している Google Home という製品に対してレビューをマークアップするのは問題ありません。
リッチリザルトの対象になります。

自社サービスではないのに、レビューのリッチリザルトが表示されないのはなぜか?

構造化データを追加すれば必ずリッチリザルトが表示されるとは限りません。
技術的に正しくマークアップしていること、ガイドラインに従っていること、品質を確保していることも条件になります。

自社ビジネスではないのにレビューリッチリザルトが表示されていないことは、今回の変更とは無関係です。

以上です。

自社ビジネスに対する評価/レビュー、つまり self-serving レビューは、やろうと思えば偽装できます。
偽装していなかったとしても、必ずしも客観的な評価とは言えないかもしれません。
私は世間からこのように評価れていますよと自分で言っているわけですからね。

ユーザーに誤解を与えることもあるため、今回の変更に至りました。

自社ビジネスに対してレビュー構造化データを実装している方は変更内容を十分に理解しておきましょう。