6万件超のGoogle Fan-Outクエリ分析:鮮度、レビュー、比較が重要

[レベル: 上級]

Nectiv は、Gemini API を用いて生成された 60,000 件超の Google の Query fan-out(クエリ・ファンアウト)を、約 9,000 件のユニークなプロンプトを対象に分析しました。

その結果、AI が生成した回答を裏付けるために、1 プロンプトあたり平均 9.06 件の fan-out クエリを Google は使用していることが明らかになりました。
また、コンテンツの鮮度、レビュー、複数エンティティによる複雑な比較に関する強いパターンを調査結果は示していました。

⚠️この調査では Gemini 3 が使用された。Google の AI Mode も Gemini 3 を採用している。ただし、カスタマイズ版であり、ここで分析した fan-out の挙動が AI Mode と完全に同一であるとは断定できず近い挙動である可能性が高い、という位置づけになる。

fan-out 数量と業界別トレンド

fan-out クエリの数は、業界の性質によって大きく異なりました。

  • Software(ソフトウェア): 1 プロンプトあたり 11.7 件
  • Travel(旅行): 1 プロンプトあたり 10.8 件
  • Careers(仕事): 1 プロンプトあたり 9.8 件
  • Local(ローカル): 1 プロンプトあたり 3.79 件

最も一般的な単一バケットは 5 件の fan-out クエリでした。
しかし、分布には明確なロングテールが存在しました。
59 % のプロンプトは 5 ~ 11 件のクエリを生成し、24 % は 12 ~ 19 件を生成しました。
観測された最大値は 28 件です。

クエリ特性:語数と N-gram

fan-out クエリは主にロングテールで構成されていました。

  • 平均語数: 6.7 語
  • 5 ~ 8 語: 全体の 77 %

データセット全体で最も頻出した N-gram は次のとおりです。

  • 2024 / 2025: 6.26%
  • Reviews(レビュー): 2.14%
  • vs: 1.41% ※「犬 vs. 猫」のような比較
  • Free(無料): 1.05%
  • Top(トップ): 1.05%

これらの傾向は、調査で使用したプロンプトが主に商用・トランザクショナルであった点に強く影響されていると考えられます。

鮮度と比較を重視

Google の fan-out 行動には、時間軸を意識した傾向が明確に見られました。
特に注目すべきは、「2024 2025」のように 複数年を同時に含むクエリです。
単一年に限定せず、隣接する年度に公開された関連コンテンツを広く取得しようとする意図がうかがえました。

ファイナンスとクレジットカード分野では比較行動が特に顕著で、4 つ以上の製品を 1 クエリ内で比較する検索を頻繁に Google は実行しています。

たとえば、次のようなクエリです。

Step vs Greenlight vs GoHenry vs Chase First Banking comparison
(ステップ、グリーンライト、ゴーヘンリー、チェイス・ファースト・バンキング 比較)

※どれも金融関連の企業

これは、複数エンティティを網羅した比較コンテンツが、Google の AI による検討対象セットに入りやすいことを示唆しています。

キーポイント

調査から得られたキーポイントは次のとおりです。

  • 高いクエリ生成量:Google は 1 ユーザープロンプトあたり平均 9.06 件の fan-out クエリを生成しており、複雑なプロンプトでは 最大 28 件の検索が実行される。
  • 鮮度の重視:fan-out クエリの 6.26 % には「2024」や「2025」といった年号が含まれており、最新情報を求める傾向が明確に見られる。ただし、これはランキング要因と断定されるものではなく、fan-out 行動に基づくシグナルとして解釈すべきである。
  • 詳細化された検索意図:fan-out クエリは一般的なユーザー検索よりも長く、平均 6.7 語で構成されている。これは、非常に具体的でロングテールな検索意図を反映している。
  • 業界ごとの差異:業界によって検索の複雑性は大きく異なる。Software 分野は最も多く(1 プロンプトあたり 11.7 件)、一方で Local クエリは最もシンプル(3.79 件)である。
  • 比較重視の検索傾向:Google は「vs」を用いて 3 つ以上の製品を同時に比較するクエリを頻繁に生成しており、この傾向は ChatGPT の fan-out 行動よりも顕著である。

分析方法と技術的な抽出方法

調査が使用した分析方法と技術的な抽出方法の概要です。

Nectiv は Gemini API (Gemini 3) を用いて、Google を模倣した fan-out 挙動を再現しました。
Claude Code や Google Grounding API などのツールを活用し、複数業界にまたがる約 9,000 件のプロンプトから最終的に 72,478 件の fan-out 検索クエリを抽出しました。

すべての fan-out クエリはウェブ検索を通じてグラウンディングされており、単一プロンプトがどのように複数の補助検索へ展開されるかを大規模に分析できる構成となっています。

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情報の新しさや外部での評価(言及)が鍵になりそうだという結論は、これまでにも出ている見解と一致しています。

比較コンテンツも強いかもしれません。
ただし、情報を AI の回答内で引用されるだけで、サイトへのトラフィックは見込めないようにも思えます。