Google社員がコメント、「どのリンクをスパムとして認識しているかをスパマーに教えるつもりはない」

[レベル: 中級]

自作リンクや有料リンクのような不正なリンクを識別した場合、Google は通常は無視し評価対象にしません。
しかし、どのリンクが無視されているのかを知ることはできません。
理由の 1 つは、もし教えたら、さらに悪用される可能性がある情報をスパマーに提供することになってしまうからです。

スパムとしてマークされたリンクをレポートする予定なし

Google がスパムとして識別したリンクをリンクの否認ツールの中でわかるようにしてほしい

こんな要望に対して Google の John Mueller(ジョン・ミューラー)氏は次のようにコメントしました。

そうした機能を提供する予定があるとは聞いていない。

たとえば、どのリンクがスパムとして認識されていないかをスパマーは知りたがっている。一般的には、何かをスパムと認識したなら私たちは単にそれを無視する(評価の対象にしない)だけだ。

否認ツールが必要なケースはきわめて稀で、手動対策のときに使う。ほとんどの人には必要ない。

スパムマークを付けられたリンクとスパムマークを付けられていないリンクの情報が手に入ったら、スパマーはそれらの相違点を研究し Google に見破られない不正リンクを増産するでしょう。
スパマーに余計な情報を提供することになってしまいます。

僕たちの観点からすれば、不自然だとして認識されているリンクがわかれば、そのリンクに絞って否認することができます。
しかしながら、上述したようにデメリットが大きいのです。

否認ツールは原則必要なし

そもそもリンク否認する必要はありません。
現在の Google のアルゴリズムは上手にスパムリンクを発見できているからです。

怪しげなサイトから張られているリンクを発見したとしても、それらはすでに無効化されているでしょう。
Google はないものとして処理します。
したがって、あなたのサイトに害を与えることはありません。

それでも否認が必要だとしたら、主に 2 つのケースが該当します。

  • 手動対策への対応
  • 先制防御

手動対策への対応

不自然なリンクが理由で手動の対策を受けたときに否認ツールが必要になることがあります。

大原則として、不自然リンクの手動対策を解除してもらうには不正に獲得したリンクの徹底的な削除が求められます。
ですが、どうしても削除できないリンクがなかには残ります。
そうした対処不可能なリンクにたいしては否認処理します。

先制防御

否認ツール利用の必要性がもう 1 つあるとしたら、先制防御です。

見に覚えがない怪しげなリンクを発見し Google が無視するだろうことはわかっていつつも、念には念を入れて無効化したい場合です。
もっと平たく言えば、Google を完全には信用できない人がとるアクションです。

否認ファイルの作成やリンク調査にかける時間と労力が惜しくないのであれば、先制防御することは否定しません。

いずれにしても、手動対策を受けた場合を除けば否認ツールは上級者向けの機能であり、一般的なサイト管理者が日常的に使うツールではありません。

否認ツールの移行はどうなっている?

最後はオフレコです(記事を一般公開しているブログでオフレコもなんですが)。

リンク否認ツールは新しい Search Console にいまだに移行されていません。
「インターナショナル ターゲティング」や「クロールの統計情報」なども移行されていませんが、新 Search Console の [以前のツールとレポート] メニューからアクセスできます。

以前のツールとレポート

しかし、リンク否認ツールはこのメニューの中にはありません。

ひょっとすると、ゆくゆくは廃止されるのではという疑念がわくかもしれません。
でも廃止はしないとのことです。
Google の中の人と話す機会が最近あり、直接聞けました。

間違った使い方をする人も多いので個人的には廃止してしまえばとも思うのですが、必要なケースがやはりあるのでなくすつもりはないようです。

もっとも UI は変わるかもしれません。
またアクセスする際も他のツールやレポートとは異なり、すぐにはたどり着けないように意図的にわかりにくい場所に設置するかもしれません。

リンク否認フェチの方は、現バージョンの否認ツールを当面は使いつつ、新バージョンのリリースを心待ちにできます。;)