Googleがモバイル ファースト インデックスを導入予定、影響は?対応は?

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【UPDATE】
この記事は公式発表よりも前に投稿したものです。
Googleから公式発表が出ています。
より具体的な情報は下の記事で説明してます。

米ラスベガスで開催されたPubCon Las Vegas 2016でGoogleのGary Illyes(ゲイリー・イリェーシュ)氏は、Mobile First Index(モバイル ファースト インデックス)への移行を計画していることを発表しました。

現在は、PC向けページの評価をもとにして検索結果ができあがります。
対して、モバイル ファースト インデックスでは、モバイル向けページ(スマホ向けページ)の評価をもとにして検索結果ができあがります。

モバイル ファースト インデックスに関してさまざまな情報が錯綜しているようですが、調べたところThe SEM Postの記事が事実を最も正確に伝えています。
記事執筆者のJennifer Slegg(ジェニファー・スレッグ)氏はその場で発表を聞いていました。

ジェニファーさんが書いた記事をベースに、僕が調べたこと・予想することも加味しながらモバイル ファースト インデックスについて解説します。

モバイル ファースト インデックスではモバイル向けページが評価の基準に

PC向けページとモバイル向けページの両方を配信していたとしても、検索結果の評価の対象として主に用いられるのはPC向けページです。
したがってモバイル検索であったとしても、PC向けページの評価を基準にして検索結果ができあがります。

たとえばモバイル検索なのに、PC向けページの表示速度がランキング要因に使われるという、僕たちからするとおかしな仕組みも存在します。

つまり、現在はPC向けページが”プライマリ” (Primary、主要な)の位置付けです。

モバイルフレンドリーアルゴリズムや来年導入予定の対インタースティシャルなど一部の評価に関しては、モバイル向けページの情報が用いられています。
とはいえ、モバイル向けページは、主要な評価対象ではないので、”セカンダリ” (Secondary、二次的な)の位置付けと呼んでいいでしょう。

モバイル ファースト インデックスにおいては、これが逆転します。

モバイル向けページがプライマリになり、PC向けページがセカンダリになります。

すなわち、モバイル向けページの評価に主に基づいて検索結果ができあがります。
たとえPCからの検索であったとしても、評価の対象になっているのはモバイル向けページです。

検索結果を分けるわけではない

PC検索のインデックスとモバイル検索のインデックスを分離するという話も出ていますが、そうではありません。

“インデックス”が何を定義するかで変わってくるとしても、少なくともPC検索用の検索結果とモバイル検索用の検索結果を別々に作るわけではありません。

やや自信がなさそ気ですが、その場で聞いていた木村さんもそう認識しています。

検索者がいる物理的な場所だったり、検索履歴だったり、端末の種類などによって多少の差異は検索結果に生まれるかもしれません。
しかし先に説明したように、ベースになるのは、どちらも同じ、スマホ向けページの評価に基づく検索結果です。

どうしてモバイル ファースト インデックスなのか

モバイル ファースト インデックスへGoogleが切り替えた理由は、モバイルからの検索のほうが多いというシンプルな理由からでしょう。

1年前に全世界で、スマホからの検索がPCからの検索を上回りました。
最新のデータを僕は知りませんが、ひょっとしたら今は、スマホからの検索が圧倒的に多くなっているかもしれません。

モバイルユーザーに合わせた検索結果を提供することは自然な流れです。

モバイル ファースト インデックスによる影響と求められる対応

ここは僕個人の推測です。

モバイル ファースト インデックスへの切り替えによる影響はほとんどないと予想します。

レスポンシブ ウェブ デザインは、モバイルでもPCでも同じHTMLとCSS、リソースを通常は配信しています。
したがって、評価対象がPC向けページからモバイル向けページに切り替わったとしてもまったく影響しないでしょう。

影響がありうるとしたら、モバイルとPCとで異なるHTMLとCSS、リソースを配信できる「動的配信」や「別々のURL」で構成している環境でしょうか。

ですが、通常は、PC向けページとモバイル向けページで同じコンテンツを配信しているはずです(少なくとも、メインコンテンツは)。
モバイル向けページへと評価対象が切り替わったとしても、驚くような影響が出るとは思えません。

モバイル向けページでコンテンツを大幅に省略している場合

PC向けページには存在するコンテンツを、モバイル向けページでは省略しているサイトがあります。

PC向けページには4,000文字の記事コンテンツがあるのに、モバイル向けページでは半分の2,000文字に削っている。

こんなふうな極端なサイトでは、目に見えるような変化が起こる可能性は否定できません。

リンクの評価

別々のURL構成では被リンクの処理問題が出てきます。

一般的には、PC向けページにリンクが張られるでしょう。
モバイル向けページに張られたリンクは少ないはずです。

モバイル ファースト インデックスによるリンク評価の統合はどうするのでしょう?

これは僕にもわかりません。
ただ、この問題が出てくることは事前に容易に想像できます。
クリアできたから、Googleはモバイル ファースト インデックスを導入することを決定したのでしょう。

モバイル向けページにリンクを”すげ替える”なんて作業は間違いなく不要です。

構造化データ

表示スピードを上げるために、モバイル向けページでは構造化データを省略しているサイトがあるかもしれません。
PC向けページがインデックスの大元になっていたので、構造化データはPC向けページに記述していれば十分でした。

しかしモバイル ファースト インデックスでは、モバイル向けページの情報が用いられます。

よって、モバイル向けページで構造化データを省略しているなら、対応が必要です。
モバイル向けページに設置してください。

クローラの活動

モバイル向けページをクロールするスマートフォン版Googlebotの活動が活発になり、逆にPC向けページをクロールするウェブ版Googlebotの活動が減少するかもしれません。
でも、これも普通のサイトでは気にする必要はないでしょう。

ただし、GooglebotのUAに応じて何かやっているサイト(Googleは推奨していない)は今後の情報に注意してください。

今すぐの対応は不要

最初は、モバイル ファースト インデックスの発表は大きなニュースのように感じました。
でも今は、実は大騒ぎするほどの変更ではないのかなとも僕は思っています。

検索アルゴリズムの変更ではなく、どちらかというとCaffeine(カフェイン)のようにインフラの変革に相当すると理解しています。

モバイル ファースト インデックスの具体的な導入時期に関しては、イリェーシュ氏は明らかにしませんでした。
適切な時期に発表するとのことです。

いつの導入になるかは不明ですが、詳しいことがわかるまで静観の姿勢でかまわないでしょう。

これまでの経験から次のことが言えます。

  • モバイル検索に関わる重要な変更を実施する際は、Googleは事前に告知する
  • ウェブマスター側での対応が必要な場合は、時間的に十分に余裕を持たせる
  • ウェブマスターに過度な負担や混乱を引き起こすような変更を急には行わない

今のところは、「モバイル ファースト インデックスというのをGoogleが導入するらしいよ」の理解だけで十分です。

【UPDATE】
この記事の内容が概ね正しいことをGoogleの長山さんに確認してもらえました。

【UPDATE 2】
Googleから公式アナウンスが出ています。
解説記事を書きました。