Google、ペイウォールコンテンツの配信にFCFを廃止しFlexible Samplingを導入

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First Click Free (ファースト・クリック・フリー、通称 FCF)を廃止し、“Flexible Sampling”(フレキシブル・サンプリング)と呼ぶ新しいプログラムと置き換えることを Google はアナウンスしました。

FCF プログラムの廃止を1か月ほど前に Google は予告しており、ついに詳細が明らかになりました。

Flexible Sampling とは

新たに導入される Flexible Sampling はその名のとおり、“柔軟な” (flexible) 構成を、自社ビジネスの環境に応じてパブリッシャーが採用できます。

従来の FCF は一律に定められたルールに従う必要がありました。

具体的には、ウェブ検索またはニュース検索からやって来たユーザーは、「1日3記事まで」なら“ペイウォール (Paywall)”のコンテンツを無条件で閲覧することが可能でした。
[鈴木補足: ペイウォールは(有料で)購読しているユーザーや、ログインしている登録ユーザーだけが読めるようにする仕組み]

「1日3記事まで」の制限を変更することはできません。
かといって Google には全てのコンテンツを見せつつも、ユーザーには記事の一部だけを見せたり記事を読む前にログインを要求したりする構成はクローキングとしてガイドライン違反に問われます。

一方 Flexible Sampling では、パブリッシャーは次の2とおりの方法で、ペイウォール コンテンツを配信できます。

Metering

1つは、“Metering”(日本語では「メータリング」?)です。

Metering は、従来の FCF のように一定数の記事を検索ユーザーが無条件で読むことを許可する構成です。
しかし FCF とは異なり、読める記事の数は定められていません。
パブリッシャーが自由に設定可能です。
1日3記事まででもいいし、1か月に10記事まででも構いません。

とはいえ、購読率の観点から Google は月単位の制限を推奨しています。
具体的には、1か月に6〜10記事程度の範囲で、最初は10記事から始めるといいそうです。

もちろん、これは単なる推奨です。
1日ごとの制限がいいと思えば1日ごとにできるし、1か月に5記事からスタートすることにもまったく問題はありません。

技術的に可能であれば、ベースは1か月に10記事だけれど、頻繁に訪問するユーザーには購読を促すために1か月に5記事に減らしてもいいでしょう。

Lead-in

もう1つは、“Lead-in”(リードイン)です。

Lead-in はペイウォール コンテンツの一部だけを見せる構成です。

初めの数行あるいは記事の概要だけを見せて、続きを読むには購読や会員ログインを要求するサイトをしばしば見かけますね。

Metering よりも Lead-in のほうが自社サイトでは機能すると判断するのであれば、Lead-in 方式を採用するといいでしょう。

構造化データで Flexible Sampling を実装

ペイウォール コンテンツであることを Google に伝えるには、構造化データを設定します。

schema.org の CreativeWork のプロパティを追加した NewsArticle でマークアップします(強調したコードがペイウォール コンテンツに必要なプロパティ )。

{
  "@context": "http://schema.org",
  "@type": "NewsArticle",
  "mainEntityOfPage": {
    "@type": "WebPage",
    "@id": "https://example.org/article"
  },
  (...)
"isAccessibleForFree": "False",
  "hasPart":
    {
    "@type": "WebPageElement",
    "isAccessibleForFree": "False",
    "cssSelector" : ".paywall"
    }
 } 

なお利用できるシンタックスJSON-LD のみです。
microdata と RDFa は使えません。

また、この記事を書いている時点では、ペイウォールに設定するプロパティを構造化データテストツールがまだサポートしていないためエラーが出ます。
じきに対応するでしょう。

構造化データの設定に加えて、クラス名を追加しページのペイウォール セクション全体を囲む必要もあります。


<p>ここは誰でも読めるペイウォールの外のコンテンツ。</p>
<div class="paywall">ここはペイウォールの中のコンテンツ。購読または登録が必要。</div>

詳細は、デベロッパー向けサイトの技術ドキュメントを参照してください(日本語化されています!)。

AMP ページでペイウォール コンテンツを配信している場合は、必要に応じて amp-access を構成します。

パブリッシャーにとって、広告だけではなく購読課金も重要なビジネスモデルです。
Flexible Sampling は検索ユーザー体験を損ねることなくパブリッシャーの収益を増やすことを目標にしています。

あなたのサイトがペイウォール コンテンツを配信しているなら注目するとよさそうです。

公式アナウンスおよびドキュメントはこちらになります。