2030年の「ググる」はどうなる? Google幹部が語るAI検索の現在と未来

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Google のナレッジ&インフォメーション担当シニアバイスプレジデントである Nick Fox(ニック・フォックス)氏が、スペイン・マドリードで Raúl Ordóñez(ラウル・オルドニェス)氏のインタビューを受けました。

フォックス氏は、Google が速度、正確性(事実性)、信頼性、そしてシンプルなインターフェースという長年の基本原則を生成 AI と融合させ、より豊かで複雑な質問に答えられるようにしている現状について語りました。

この記事では、フォックス氏の発言の主要点をまとめます。

Google 検索の現在と未来――フォックス氏が語る 16 のポイント

揺るぎない基本原則とインターフェース

ユーザーは依然として検索に対して正確性、スピード、信頼性を求めています。
Google 検索のトップページがシンプルな検索ボックスのみであり続けているのは、「ユーザーがあれこれ考える必要がなく、思い浮かんだことを入力するだけで答えが得られるようにすべきだからです」とフォックス氏は説明しています。

Web の良さと AI の良さの融合

Google は「検索の良さ、Web の良さ、そして AI の良さを結びつけている」とフォックス氏は述べています。
他の多くの AI 体験が「AI そのものに終始している」のに対し、オープンな Web への接続こそが Google の最大の強みであり、差別化要因であると強調しました。

パーソナライゼーションの実例

フォックス氏はマドリード滞在中、AI Mode を使って子どもへのお土産を検索した際の実例を挙げました。
個人データ連携を許可していたため、「息子がサッカー好きである」とわざわざ入力しなくても、AI がそれを把握してレアル・マドリードのユニフォームを提案してくれたと実体験を共有しています。

検索ボタンを押した後の「1 秒」の内部処理

AI 検索の内部処理プロセスの概要をフォックス氏は次のように説明しました。

  1. 意図の理解:ユーザーが何を求めているのか(検索意図)を分析する
  2. クエリの展開(ファンアウト):1 つの質問を多角的に捉えるため、10 個、15 個、あるいは 100 個ものサブクエリへと展開する
  3. 情報の取得:該当する Web ページから関連コンテンツを素早く取得する
  4. モデルの選定と推論:クエリの複雑さに応じて、大型モデルまたは小型モデルへデータを送り処理する
  5. 回答の統合・提示:AI による要約、Web への青いリンク、地図情報などを 1 つの分かりやすい検索結果として組み立てる

自然言語への移行

従来の検索では「車の異音 ガリガリ」といった「検索特有の言語」に合わせる必要がありました。
しかし現在では、整備士に相談するときのように文脈や詳細を長文で自然に説明できるようになり、より人間的で対話的な検索が可能になっています。

AI Mode と Gemini アプリの使い分け

使い分けはユーザーの利用状況次第です。
「情報を検索する流れの中にいる場合は AI Mode を使い、アシスタントとしてのサポートを求める流れにいる場合は Gemini を使うことになります」とフォックス氏は説明しています。

先行指標となる若年層の検索行動

19 歳前後の若いユーザーは最先端の行動をとっています。
3 〜 5 文の長いクエリを入力したり、10 往復にも及ぶ対話形式で絞り込んだり、音声入力や画像・動画の出力を好む傾向があります。
こうした若年層の行動様式は、時間をかけて全ユーザーへと普及していく先行指標になるとフォックス氏は捉えています。

エージェントの定義と展開

エージェントを「物事を成し遂げるのを助けてくれるもの」と一言でフォックス氏は定義しました。
Gemini 内のカスタム機能(Gems など)や、検索内でのレストラン予約機能など、さまざまな形で実装が進んでいます。
スペインでもすでに一部機能が利用可能で、今後さらに拡大していく予定です。

クリエイターへのアドバイス

従来のウェブマスター向けガイドラインに沿った検索最適化を継続することが基本です。
特に次の 2 点が強調されました。

  1. 動画コンテンツ:若年層を中心にユーザー需要が非常に高いため推奨される
  2. 掘り下げた独自の人間的視点:インタビュー、独自調査、オリジナルレポートなど。「すべてのコミュニケーションをコンピューター相手にしたい人はおらず、人間味(人のぬくもり)が重要です」とフォックス氏は補足している

Gemini 4 の開発状況

Google が「Gemini 4 の開発に全力で取り組んでいる」ことをフォックス氏は認め、内部テストの数値にも手応えを感じていると語りました。
ただし、リリース時期については明言を避けました。

ℹ️Gemini 4 Argon が Early Access(早期アクセス)版としてリリースされました。一般公開は未定です。

AI に対する思想:悲観論 vs 加速主義

フォックス氏自身は AI の開発・進歩について「オプティミスト(楽観主義者)」であるとしています。
リスクや安全性への配慮を大前提としつつ、教育機会の均等化(例:アフリカの小さな村でもトップ大学と同じ情報にアクセスできること)、医療の進歩、自動運転による安全性向上など、AI の巨大な可能性に期待を寄せています。

パブリッシャーのトラフィック減少(40% 減の指摘)について

個別のパブリッシャーの数値へのコメントは控えつつ、Web エコシステムは常に流動的であるとフォックス氏は指摘しました。
Google はエコシステム全体に対して「毎日数十億件のクリック」をもたらしており、AI 検索機能だけでも毎週数十億件のクリックを生み出していると説明しました。

広告の透明性

AI Mode における広告は、従来の検索と同様に「100% 明確に」広告であることがラベル付けされます。
誰かがお金を払って表示されているのか、Google が独自に判断して表示しているのかをユーザーが常に識別できるようにする原則は変わりません。

YMYL 領域への責任とハルシネーション

健康や金融といった「Your Money or Your Life」に関わるクエリは特に厳格に扱われ、AI による回答を表示するかどうかの基準も慎重に設定されています。
万一、有害な誤りがあった場合は速やかに回答を取り下げます。
また、AI の回答はオープンな Web の情報を反映したものであり、「Google 独自の見解や発言ではない」とフォックス氏は説明しました。

欧州における規制の影響

デジタル市場法(DMA)などの厳格な規制により、欧州は新機能の展開が難しい市場となっています。
Google は DMA を遵守するために「検索体験を著しく低下させざるを得なかった」と明かし、結果として欧州における AI 検索機能のローンチが世界他地域と比べて大幅に遅れているとフォックス氏は述べました。

2030 年の「ググる(Googling)」の姿

カメラを向けて質問したり、音声で話しかけたりするシームレスなマルチモーダル検索が一般化しつつあります。
さらに、ユーザーの許可に基づいたデータ連携や記憶(メモリ)機能によって高度にパーソナライズされ、単なる情報提示にとどまらず「ユーザーに代わってタスクを実行・完了するエージェント」へと進化していくとフォックス氏は予測しています。

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SEO の観点で注目したいのは、検索行動が対話型へと変わっている点と、動画コンテンツの需要の高まり、そしてカメラ・画像によるマルチモーダル検索の普及です。
「掘り下げた独自の人間的視点」からのコンテンツの重要性は言わずもがなです。

特に、マルチモーダル検索に関しては Search Console に専用のフィルタが導入されたばかりです。
利用の増加を受けてのことでしょう。

2030 年の「ググる」はこれまでとは大きく変化しているに違いありません。