サブドメインとサブディレクトリ、SEOに強いのはどっち?

複数のサイトを展開するとき、ドメインを分けてサブドメインで運用するべきか、それとも同じドメインの中でディレクトリを分けて運用するべきか、よくある質問の1つです。

運用形態や目的によって変わってくるので、「これが絶対に正しい」という回答はありません。

しかし、SEOmozのrandfish氏は、サブディレクトリの利用を推奨しています。

非常に参考になるので、いつものように補足を交えながら、紹介したいと思います。

まず、ルートドメイン、サブドメイン、サブディレクトリについておさらいしておきましょう。

SEOmozに書いてないことも加えていて、前置きが長くなるので、これらの違いをすでに知っているいう方は、本題に飛んでください。

●ルートドメイン
ルートドメインというのは「root(根っこ)」という言葉が示すとおり、基点となるドメインです。

僕のブログだったら「suzukikenichi.com」、米Googleだったら「google.com」、Yahoo! Japanだったら「yahoo.co.jp」です。

●サブドメイン
サブドメインというのは、ルートドメインにもう1つ“ラベル”を付けたドメインです。
www.suzukikenichi.com、www.google.com、video.google.co.jp、transit.yahoo.co.jpなどです。

ラベルを何も付けないルートドメイン、suzukikenichi.comもサブドメインの1つとなります。
(正確に言うと、.co.jpは.jpのサブドメインだし、.comはインターネットの“名前空間”の大本のルートドメインのサブドメインだし、abc.www.suzukikenichi.comは、www.suzukikenichi.comのサブドメインですが、話がややこしくなるので説明は我慢。興味があれば、この書籍を読むといいです。)

無料ブログのSeesaaBloggerは、.seesaa.netや.blogger.comというサービス提供元が所有しているルートドメインに、mysite.seesaa.netやyoursite.blogger.comのようにユーザーが好きなサブドメインを付けて利用できるわけですね。

●サブディレクトリ
ディレクトリというのは、Windowsでいうフォルダのことで、入れ物です。
(「フォルダ」は、MicrosoftがWindows OSで使い始めた独自の用語)

ドメインでのサブディレクトリは、ドメインの中に作った入れ物で、HTMLドキュメントやJPGやGIFなどの画像ファイルなど、各種コンテンツを格納します。

いちばんてっぺんのディレクトリはルートディレクトリと呼ばれ、「/(スラッシュ)」で表されます。

難しめに感じる方は、ホームページのindex.htmlファイルを置く場所だと思ってもらって結構です。

サブディレクトリは、ルートドメイン(ルートディレクトリ)の中に作る子供のディレクトリです。

僕のブログは、「www.suzukikenichi.com/blog」となっているので、www.suzukikenichi.comというドメインのルートディレクトリに「blog」という名前のサブディレクトリを作って、その中に必要なファイルを格納しています。

サブディレクトリの中にもディレクトリを作って、入れ子構造にできます。
サブ・サブディレクトリですね(こんな用語はない)。

livedoorブログは、サブディレクトリ運用なので、blog.livedoor.jpというドメイン(ちなみに、これは.livedoor.jpドメインのサブドメイン)にユーザーがサブディレクトリを所有して、運用しています。

「blog.livedoor.jp/suzukikenichi」、こんな具合です。

ドメインとしては、ユーザーみんなが共通の1つのドメインを使っていることになります。

さて、ここからが本題です。

サーチエンジンは、PageRankのように個々のページに適用する評価要素と、信頼度のようにルートドメインやサブドメインに適用する評価要素を持っています。

これを踏まえたうえで、SEOmozのrandfish氏は、使用するドメインは1つだけにして(サブドメインを複数作らない)、サブディレクトリでの多数サイトの展開を推奨しています。

理由として、次のような項目を挙げています。

●強いサブドメインやルートドメインに作られたページは、その恩恵を受けることができる
たとえば、自分のブログの記事がはてなnewsingに引用されると、検索結果でオリジナルの自分のページよりも上に来ることが多々あります。これは、はてなやnewsingのドメインの評価が高いからです。

●サブドメインは、同じルートドメインに作られた別のサブドメインのポジティブな評価や上位表示に貢献する要素の恩恵を、必ずしも受けるとは限らない

サブドメイン同士は、それぞれ独立した存在として認識されるということです。

●ルートドメインから恩恵をまったく受けないサブドメインも存在する
Wordpress.com, Blogspot.comのように誰でも自由にサブドメインを作って、サイトを公開できるドメインは、親ドメインのパワーを引き継ぎません。

●サブディレクトリは、置かれているサブドメインの恩恵をすべて受け取れるように思われる

●内部リンクの構成を上手に整えれば、サブドメイン同士の強さを、ある程度分かち合うことができる場合もある

結論の繰り返しになりますが、randfish氏は、ルートドメインに作成するサブドメインは1つだけにして、サブディレクトリで運用するのがランキング向上のための能力を最大限に発揮するコツだと主張しています。

サイト内にブログを作るときも、blog.yoursite.comではなくyoursite.com/blogにし、新しいカテゴリを追加するときも、yoursite.com/newstaffsのようにしてサブディレクトリで作成していくのがベストな手法です。

ただし、サブディレクトリで運用するのが適している場合もあります。

次のような場合です。

●あるキーワードで、すでに1つのドメインで2つのページが検索結果に出ている場合

Googleは、同じドメインのページは1つの検索結果ページにつき2つまでしか表示しません。
したがって、もっと多くのページを表示させて検索結果ページを独占したいなら、サブドメインで新たに展開します。

Aaron WallというSEOエキスパートは、seobookというキーワードで、www.seobook.comというドメインから2ページ、tools.seobook.comといドメインから2ページを上表示させて、1人で上位4位を独占しています。

●サブドメインに使用しているキーワードで、上位表示させたい場合
watch-review.com(腕時計の評価・評判)というルートドメインを持っていて、rolex.wach-review.com(ロレックス腕時計の評価・評判)のように商品名と合わせて多数展開したいときが例です。
URLにキーワードが入っていると、URLでリンクを張られたときにもアンカーテキストの効力が発生します。
日本語の環境では、該当しないですかね。

●すでに確立されたサブドメインで運用している場合
成果を出して上位表示を達成しているなら、無理してサブディレクトリに移動することはありません。rankfish氏自身、サブドメインをリダイレクトしてルートドメインのサブディレクトリに移行した経験がありますが、大量のサブドメインで展開しているときにそうすべきであって、5個以内なら問題にはならないと言っています。

これらのケースでは、サブドメインでの運用が考慮されますが、本当に確信を持ってサブドメインでの運用が最適だと分かっていないようなら、サブディレクトリで運用すべきだとも、付け加えています。

以前にWebmasterWorldのスレッドを引用して説明したように、ルートドメインとサブドメイン、サブドメイン同士の関係については影響しあう場合もあるようですが、たいていの場合において影響しあわないようです。

また、サブドメインの大量作成は検索エンジンスパムにも利用された経緯があり、サーチエンジンは評価を下げたり、スパム判定の基準にもしているようです。

こうったことも踏まえると、やはり「1ドメイン複数サブディレクトリ」での展開が、今の時点では最善の選択のようです。