Googleが推奨するビューオールページとページ分割のベストプラクティス

[レベル:中〜上級]

ページネーション(ページ分割・ページ送り)による問題発生を防ぐために、rel=”prev” 要素と rel=”next” 要素のサポートをGoogleが始めたことを先週解説しました。
※余談ですが、“Pagination”の発音は日本語で書くなら「パァジネィシュン」が近いため「パージネーション」と表記しています。少なくとも「ページネーション」は本来の発音からさらにかけ離れていると僕は感じます。

Googleが提示した、ページネーション問題を解決するもう1つの方法を今日は解説します。

それは、分割したページのコンテンツがすべて載っているページを作成することです。

全コンテンツを1ページで閲覧できる、分割していない状態のページを“view-all pages”とGoogleは記事の中で呼んでいます。

適当な日本語訳を思いつかないので、ここではそのまま「ビューオールページ」と表現します。

検索ユーザーにしてみると、分割されたページを検索結果に出されるよりはすべてのコンテンツが載っているビューオールページを出されたほうが好ましいという調査結果が出ているそうです。

一方、ビューオールページは表示に時間がかかることもあります。
多くの画像を貼り付けているときはなおさらでしょう。

ページの表示速度が遅いことはユーザーエクスペリエンスの低下をもたらします。

複数のページに分けたページネーションと全部を載せたビューオールページの両方を準備するときは、閲覧しやすさとスピードの両方のバランスを考慮する必要があります。

そのうえで、Googleはビューオールページを提供する際のベストプラクティスを次のように推奨しています。

1. 何もしない

page-1.html や page-2.html のようにひと続きのコンテンツがページネーションによって複数のページに分割されているとします。
同時にそれらの分割したページのコンテンツが1ページにすべてまとまっている page-all.html のようなビューオールページもあるとします。

分割ページとビューオールページの両方が存在することを検出した場合、Googleは自動的にビューオールページを検索結果に表示するようにします。

このとき、リンクなどのインデックスに関係する要素は個々の分割ページからビューオールページに統合されます(たとえば page-1.html や page-2.html に張られたリンクは page-all.html に張られたリンクとしてまとめられる)。

ビューオールページを表示するオプションを用意しているサイトは何もせずにGoogleに処理をお任せできます。

Googleは、ビューオールページを代表として検索結果に出します。

でも、Googleも完璧ではありません。
今、一生懸命に正しく処理できるように頑張っている最中だそうです。

そんなときは次の手段を使います。

2. rel=”canonical”で正規化する

ページネーションした個々のページにrel=”canonical”タグを記述し、正規化URLとしてビューオールページを指定します。

ページネーションによって分けた場合、2ページ目、3ページ目、4ページ目、……、Nページ目を1ページ目に向けることをGoogleは推奨していません。

理由は、1ページ目とNページ目のコンテンツは異なるからです。

rel=”canonical”タグは、コンテンツが同一だけれどURLが異なるページで使います。
または並べ替えによって表示しているコンテンツは同じだけれど表示順序が異なる、こんなふうに中身そのものは同一でも見た目に若干の違いがあるほぼ同じコンテンツが複数のURLで生成されるときに使います。

Googleの推奨を無視して正規化できたとしても(今のところ実際にできる)、3ページ目にある情報を求めた検索者に1ページ目を見せるのは理にかなっていません。

分割したページから別の分割したページへのrel=”canonical”による正規化を勧めない代わりに、分割したページからビューオールページへの正規化をGoogleは認めています。

サブセット(一部分)からスーパーセット(全部)へ正規化するための rel=”canonical”タグの利用にはまったく問題はありません。
詳しくは、SMX WestのレポートSMX Advancedのレポートと、先週の記事に載せたスライドを見てください。

以上、ビューオールページがあって、それをページネーションしたページの代表として検索結果に表示させたいときは、Goolgeに任せるかこちらから明確に導いてあげるかのどちらかになります。

ビューオールページをどうしても検索結果に出したくないときは、ビューオールページをnoindex robots meta タグで非表示にします。

ビューオールページは検索結果に出てこなくなります。

このとき、ページネーションしたページをrel=”canonical”タグでビューオールページに正規化しないでください。
結局どのページも検索結果に出てこなくなってしまいます。

ページネーションで分割した個別のページをそれぞれ検索結果に出したいときは、前回説明した rel=”prev”/”next” を利用します。

rel=”prev”/”next”の処理に何もトラブルが発生せずに思惑通りに機能すれば嬉しいのですが、どうなることでしょう。

ビューオールページを作成していて、1ページのコンテンツ量や表示速度に問題がないのであればこの記事で説明したサブセットページ(ページネーションページ)からスーパーセットページ(ビューオールページ)へのrel=”canonical”タグによる正規化を使いたいところです。