ページの表示速度は日本でもランキング要因になっていた 〜 Google社員に尋ねた11個の質問 at #SMX Advanced Seattle 2012

[対象: 全員]

今日はSMX Advanced Seattle 2012のレポート第3弾です。

SMX Advancedには“Birds of Feather Lunch”といって、セッションスピーカーや検索エンジン会社の社員と同じテーブルでランチを食べながら自由にトークできるプログラムがあります。
ホールで振舞われる通常のランチとは別で、事前申込みで先着順になります。

毎年Googleのエンジニアも招かれるので僕も申し込んでGoogleの中の人にいろいろ質問してきました。

今回のSMXでBirds of Feather Lunchに来ていたのは、プロダクト・マネージャのAnthony Chavez(アンソニー・チャベス)氏とウェブマスター・トレンド・アナリストのJonathan Simon(ジョナサン・サイモン)氏です。

ともにシアトルでGoogleウェブマスターツールの開発・運用に関わる部署で働いています。

Chavez氏は、ときおりGoogle Webmaster CentralブログにGoogleウェブマスターツール関連の記事を投稿しています。日本に5、6回訪れたことがあるそうです。

Simon氏は、英語版のウェブマスター向け公式フォーラムでユーザーをサポートしたりGoogle+でウェブマスター向けのハングアウトを提供したりもしています。

そんな2人との11個のQ&Aです(2人の職種を考慮してGoogleウェブマスターツール関係の質問が中心になります)。

では行ってみましょう!

Meet a Googler

Q: 一度に大量のコンテンツを公開すると検索からのアクセスが一気に伸びるが、しばらくすると今度は急降下することを経験している。新規公開したコンテンツは本来よりも高く評価されるように見えるのだがどうなのか?
A: そういう仕組みが確かに存在する。ユーザーがそのコンテンツに興味を持つか確かめるためだ。

※鈴木コメント: 公開直後に上位表示されてしばらくすると下がるケースってみんなも経験ありますよね。ページを大量に公開すると急激にトラフィックが跳ね上がるんですが今度は急激に下がります。どうやらそういうアルゴリズムがあるっぽいですね。フレッシュネスとも関係しているのかもしれません。

Q: 経路が異なる複数のパンくずリストを設定してもいいか?検索エンジンを混乱させないか?リッチスニペットはどちらが採用されるか?
A: 問題ない。リッチスニペットはクエリによるのではないだろうか。

※鈴木コメント: 今関わっているサイトで複数パンくずリストを実装することになったので聞いてみました。

Q: GooglebotはJavascriptやAjaxを実行できるようになっている。Javascriptのリンクを使っても問題ないか。それともやはりテキストリンクを勧めるか?
A: 適切に使っているならJavascriptリンクで構わない。ただしクローキング等に悪用されることがあるので間違えられないように注意する。

※鈴木コメント: SEOエキスパートたちが参加者からの質問に回答する“Ask SEOs”というセッションでは「ぜんぶ読めるとは限らないし変な動きをすることもあるからテキストリンクがいい」と言っていました。シンプルであればJavascriptでもいいでしょうが、複雑であればまだテキストリンクが安心ですかね。

Q: Fetch as Googleを実行した時のクローラは本物のGooglebotと同じIPからやって来るのか?
A: 同じ。ただし1つのIPではなくIPのレンジがあるし変わることもある。

※鈴木コメント: ハッキングされてIPクローキングのスクリプトを埋め込まれたときにFetch as Googleで診断できるか知りたくて質問しました。

Q: ページの表示速度は米Google (google.com)以外でも導入されているのか?
A: すでにインターナショナルで展開が完了している。

※鈴木コメント: なんと!(後ほど詳しく)

Q: Googleウェブマスターツールのリンクレポートで見つけたスパムリンクは無視してもいいのか?
A: 指定したリンクを無視する機能の要望が数多く寄せられているのは認識している。でもそういう機能を追加するかどうかは今は分からない。

※鈴木コメント: これを聞いた日の午後にMatt Cutts氏がこの機能を提供予定だとリークしました。

Q: GoogleウェブマスターツールでURLパラメータを設定したURLはPageRankも統合するか?
A: しない。この機能はクローリングの制御で正規化とは違う。

※鈴木コメント: URLパラメータ機能でのパラメータ制御はrel=”canonical”とは異なることを確かめました。

Q: 301リダイレクトはすぐに処理が始まるのか?
A: すぐに始まるはずだがGoogleに任せてほしい。

※鈴木コメント: 301リダイレクトの処理に時間がかかることがあり処理が始まるまでに数回のクロールが必要なのか聞いてみました。普通は、301リダイレクトを1回発見するだけで処理を始めるようです。

Q: 急激なトラフィックの変化の通知はどう対応するべきか?
A: ただのお知らせで変化があったことを伝えているだけ。

※鈴木コメント: 検索結果でのクリックが著しく減少または増加したことを通知するメッセージがウェブマスターツールに届くことがあります。でも、だからどうしたらいいのかがまったく分かりません。ただのお知らせということです。

Q: Googleウェブマスターツールのバックリンクレポートのデータの更新間隔は?
A: 数日おきにパイプライン処理している。そのサイトも同じでサイト間で差別することはない。

※鈴木コメント: リンクレポートはサイトの評価とは無関係に平等にデータ更新されるそうです。

Q: 次に来るGoogleウェブマスターツールの新しい機能は?

※鈴木コメント: これは答えが返って来ないことを分かっての冗談交じりの質問です。「どんな機能が欲しい?」と聞き返されたので同じテーブルのみんなとともに提供してほしい機能をリクエストしてきました。

以上が11個のQ&Aです。

もっとたくさん質問できればいいのですが他の人たちも話すので独り占めするわけにはいきません。
それでもわりとたくさん聞けた方です。

ページの表示速度が、米Google (google.com) だけではなく日Google (google.co.jp) でもランキング要因になっていたことには驚きました。しかも世界規模で適用済みです。

最近の話ではなくしばらく前から入っていたふうでした。

「公式アナウンスがないけど?」と尋ねると「1つ1つの変更を公表したりはしないでしょ」と切り返されました。

たしかにそのとおりですね。
今でこそ毎月の検索品質改善を公表していますが、ほんの数ヶ月前から始まったばかりです(先月分が公表されています。来週紹介します。)

それにパンダやペンギンと違って大きなインパクトを与えるアルゴリズムではありませんから言わなくてももっともとです。

……でも教えてほしかった。

ページスピード評価がアルゴリズムに組み込まれたとしても小さな要因です。
これも確認してきました。
米Googleでは検索結果全体に与えた影響は1%未満でした。
日本でもたいして変わらないでしょう。

ただしページ表示のスピードを速めることはユーザーエクスペリエンスやコンバージョン率のことを考えると積極的に取り組む価値があります。

微々たるものとはいえSEOにも影響するなら取り組むべき理由が1つ増えましたね。

「Googleは速いサイトのほうが評価が高くなります」とおおげさに上司に言ってスピードアップのための予算を確保しましょう。(笑)

とはいえページスピードを誇張して売り込みしてくるSEO業者さんやレンタルサーバー会社には注意してください。

明日はこの流れでページスピードのセッションをレポート予定です。
お楽しみに。