Googleマット・カッツ、「スパム対策を強化する(日本でも)」 at PubCon

先週参加したPubCon Las Vegasのいちばんの目玉は、GoogleのMatt Cutts(マット・カッツ)氏のセッションでした。

PubConでスピーチするMatt Cutts

4、500人は収容できるだろうホールが満席でした。
そんななか、前から2番目の列に陣取って(笑)、Googleのスパムハンター隊長のMatt Cutts氏のプレゼンテーションを目の前で聴いてきました。

1時間以上のセッションで話題は多岐に渡ったのですが、今日はそのなかからGoogleのスパムに対する取り組みをレポートします。

これまでの1年間、Googleが特に力を入れてきたテーマに「セキュリティと信頼性」が挙げられます。
このなかにはスパムサイトへの対抗も含まれます。

Googleは、Chromeブラウザにスパムレポート用のエクステンションをつい先日公開しました。
このエクステンションを使うと、必要なフィールドを自動で入力してGoogleにスパムレポートを送信することができます。

スパムレポートから報告のあったサイトは人間が目視チェックします。
ただしすべての報告をチェックするわけではなく、ユーザーに与えるインパクトの多いものを優先します。
このへんは以前に僕がブログで説明したとおりですね。
またスパムレポートは4倍の優先度を持つとのことです。

ハッキングにあったサイトにはGoogleウェブマスターツールに警告メッセージを通知します。
Googleがハッキング被害を検知したときの通知にすぐに気付くように、ウェブマスターツールでのメッセージ転送機能を必ず有効にしておくようにとMatt Cutts氏は指示していました。

昨年は他の分野に人員を回していたためスパムへの対応が停滞していたそうですが、今後はスパム対策により多くのリソースを割くと明言しました。

特に今問題になっているのは、ハッキングを受けたサイトです。
Googleは、検索結果に出てくるハッキングサイトを90%減らすことに成功したそうです。

Googleが公開したURL短縮サービスのgoo.glはリアルタイムスパムの検出にも役立てています。
一般ユーザーからのスパムレポートを http://goo.gl/linkspam から受け付けています(日本語ページはこちら)。

スパムに関連するGoogleウェブマスターツールの機能を近日中に追加するとのことでした。
今よりも多くの警告メッセージが届くようになるそうです。
また再審査リクエストの処理を改善するそうです。

さて、ここまでは会場にいた参加者全員に向けてのスピーチ内容です。

今日のエントリで僕がいちばん伝えたかった重要な情報はここからになります。

セッション終了後にMatt Cutts氏に直接、Google日本(Google.co.jp)のスパム対応について質問してきました。

Q(僕): Google.comのペナルティはGoogle.co.jpのそれよりもずっと厳しいように思える。ペナルティの基準やレベルには言語や国によって違いがあるのか?

A(マット): そのとおりで米国と日本では違いがある。Google.comはスパムとの戦いの歴史が長いし事例が多いから、厳しい対応ができるようになっている。でも日本のGoogleでのスパム対応やペナルティもこれから強化していけるだろう。グローバルで共通の仕組みが作れたらいいと考えている。
※Matt Cutts氏は今年日本に観光旅行に来ていて、Google日本にも訪問したそうです。

SEMリサーチで渡辺隆広さんが次のようにコメントしています。

おまけ:グーグル日本版は本当にウェブスパムに対応しているのか?
Googleのウェブスパムの対応の実態については、欧米では昔からずいぶんといろいろな事例を元に「それなりに、厳しく対応」していることが報告されているが、グーグルにとって見れば世界の中の1国でしかない日本の状況はどうなっているのだろうか。
…(中略)…
日本のGoogleも検索結果の品質改善のために努力しているといえるのではないだろうか。

警告しておきます。
スパム行為はやめておいたほうがいいです。

Googleが定めるガイドラインに違反しているとか道徳的に間違っているとかそういう正義感からではなく、リスクが高いという観点からです。

Yahoo!がGoogleに切り替わった後(どこぞの政党が横槍を入れているので破談になる可能性はゼロではないかもしれませんが)、Googleでペナルティを受けたりインデックス削除された場合は、ほぼ確実にYahoo!の検索結果にも反映されると予想します。

「Googleでペナルティを受ける」 ⇒ 「Yahoo!でもペナルティを受けている状態に等しい」 ⇒ 「検索エンジンからのトラフィックが激減もしくはほとんどゼロ」、
こんな事態になるでしょう。

隠しテキストやキーワードスタッフィング、コメントスパムなど古典的なスパム行為はもちろんNGとして、自作自演リンク・期限切れドメイン利用・繰り返されたアンカーテキスト・カモフラージュのためのIP分散・ワードサラダなど、今はGoogleの目をかいくぐって効果を上げている施策もこれからはどうなるか分かりません。

しばらくは乱用を続けられるかもしれませんが、少なくとも見つかる確率が高くなることは間違いないでしょう。

今回PubConに参加してこれから僕たちはどのようにSEOを施策していくべきなのかという問題について思うところがあり、これは後日ブログにアップしてみなさんの意見も聞きたいと思っています。

今簡潔に言うと、たとえばMatt Cutts氏に「私はこんなSEOをやっています」と堂々と言えないSEOは先が不安だということです。

さっきも言ったように正義感からではなくてリスクの大きさからの考えです。

Matt Cutts氏に面と向かって言えないSEOを多少なりともやっているのであれば、それなりの覚悟をしておかなければならないと僕はまさに感じています。